迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

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185. お土産の魔牛

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 トムさんとトーマスがやってきた。

 シーナとの会話に入ってきて、ソワソワしている。

「もうーっ! お父さんは、お土産が早くほしいだけでしょ?! マークが帰って来るまでは、ダメよ!」


「えっと、ただいま……帰って来たけど、よかった?」

「おーーっ! おかえり! 待っていたぞっ!」

「マークっ! おかえり!!」

 トムさんと、トーマスのお出迎えがすごい……


「おかえりマーク! ギルドの用事は済んだの?」

「ああ、なんとかな……パールそれじゃあ、お待ちかねの土産を渡そうか」

「待ってましたっ!!」

 珍しく、トーマスのテンションが高い……

 まずは、魔牛以外のお土産をだしていく。

「まあ、キレイな青! パールこれはなに?」

「あっ! それ、キレイなコバルトブルーでしょ? これね、リョジンボクの種なんだ! 部屋や宿屋に飾っておいてもいいし、一応食べられるみたいだよ」

「なんて、パール? この種、食べられるのか?」

「うん、トーマス。たしかギルドの図書室の資料にそう書いてあったよ。オイルもとれるみたい」

「ほーぅ、今度ギルドに行ってみるよ」

「あとね、七色エビビとレインボーサーモンもあるけど……それは、どうする?」

「「なにーーっ!?」」

「パール! ホントか?! 見せてみろ!」

「いいよ、トムさん」

 雷の魔法でとった、凍ってない方の七色エビビとレインボーサーモンを二匹ずつ出していく。

「「おーーっ!!」」

 二人が一匹ずつ手に持たないで、テーブルの上に置いて眺めてる。

「パール! これははやく、マジックバックへしまってくれ!! 鮮度が落ちる!」

「そうです!! パール! はやくしまってっ!」

「えっ?! 料理しないの?」

 トムさんが、ニターッと笑って教えてくれた。

「いまはもっと大物の、調理があるだろう?」

「そうですよ! そっちが優先です。パールそろそろ倉庫に行こう!」

 待ちきれない気持ちが、二人溢れているよ……
 四人で倉庫へ行く。

 シーナはいまは、見ないでおくようだ。
 宿屋のほうでお留守番してもらう。
 それが正解だと思う。

「トムさん、トーマス。魔牛はいっぱいとってきたから聞くけど、一番大きな個体にするか、小さいのにするかどうする?」

「今回は練習だから、一番小さな個体を一頭出してくれ。二人でまずは一頭、捌いてみるよ」

 告げられたところに、一番小さな個体を一頭だしてみた。

「「うわーっ!! でかい!!」」

 そうなるよね…… 
 気持ちは、わかる……

「これは、やりがいがあるぞ……」

「そうですね……」

 二人はすぐに、始めるみたいだ……

「じゃあ、パールとマークはシーナのところへ行っててくれ」

「マーク! 今日はシーナと二人で適当に食事は食べてくれ。捌くのに時間がかかると思うからな……」

「ああ、わかった。無理なら、あきらめてくれよ」

 ハッハハ! 

「「それは、ないっ!!」」

 ホントあの二人……
 料理に対する熱意には、感心するよ……


 シーナのところへ戻ってマークから、七色エビビとレインボーサーモンの関係性についての情報を、冒険者ギルドで高く買ってもらったと知らされる。

 お金を渡そうとしたので、お腹の赤ちゃんに使ってと言っておいた。
 シーナがホントに良いのか確認してきたから、わたしにお金は必要ないと言っておく。
 マークも苦笑いしていた……

 今回の用事は済んだ。
 マジックバックから今日の二人の夕食と、リンゴのパイとオレンジのパイをホールごと二つ出してシーナに渡す。
 
「トムさんとトーマスの分も考えてパイは多めに渡しておくね。戻ってきて、二人が何か食べられそうならこれを食べてもらって!」

「ありがとうパール! 助かるわ!」

「すまないな、パール。気をつけてボードで帰るんだぞ」

「うん。また明日くるね! そうだっ、モナルダのところにも行かないとね……明日行こうかな?」

「パール、ライ様かソードさんに確認しろよ! あの家にいるあいだは、相談してから動くんだぞ」

「うん、わかった! そうするよ」


 ボードで素直にライのところまで戻てきた。

 なんだかこの裏庭の囲い、久しぶりだな。
 セバスチャンが、迎えに来てくれる……

「パール様。 おかえりなさいませ」

「セバスチャンいつもありがとう。ただいま……」
 

  ♢♢♢


 今日は朝からマークのところに一度顔を出して、それからモナルダへお土産を渡しに行くことにした。

 ライたちにも昨日のうちに、魔牛を一頭丸ごといるか聞くと、待ってましたとばかりに、料理長が捌かせてもらうと言ってきた。
 研修を兼ねてみんなで今日、捌くそうだ。

 なぜかライのところにも、そういう倉庫ができていた。

 不思議に思っているとソードが教えてくれる。

「トムたちが今回魔牛を捌くことは、みんな知っていましたからね。倉庫も新しく作ってましたし。ですから同じように、ここにも料理長と相談して倉庫を作っておきました。トムたちが経験するのなら、ここの料理長たちも経験したいでしょうし、それにパールが土産でこちらにも用意しているのは、想定内ですよ」
 
「そうなんだ……料理人の人たちってすごいね。魔牛を捌きたいとか、もう信じられないよ……」

 朝、ライの倉庫にも程よい個体を一頭出しておく。

 それからソードに今日はマークたちのところへ行ったあと、モナルダのところへお土産を渡して泊まって来ると告げておいた。


 宿屋では珍しく、トムさんとトーマスがグッタリしている。
 聞くと徹夜で、捌くのに思ったより時間がかかったそうだ。
 疲れているみたいだけど二人、やりきったいい顔をしているな……

「二人とも大丈夫?」

「ああ、大丈夫だ。いい勉強になったよ」

「ヒールかけようか?」

「おっ?! いいのか? 頼むよ!」

 二人に軽くヒールをかけてあげる……キランッ!


「からだが楽になった! これで続きができる、トーマス行くぞ!」

「はいっ! 料理長! 行きましょう!  パール、ボクにまでヒールを、ありがとうなっ!」

 走って倉庫まで行ってしまった……

 あれっ、ヒールをかけないほうが、よかった?

「シーナごめん。二人にヒールをかけないほうが休んでくれたから、よかったのかな?」

「あらっ、そんなことないわよ。ヒールをかけてくれて感謝しているわ。 あの二人はどんなに疲れていても、料理をするから一緒なのよ。それならお父さんはいい歳だから、少しでも負担が軽いほうが安心よ! だからホントにありがとうね、パール」

「よかった! 少しでもシーナたちの役に立てて……また、ヒールをかけてほしいときには言ってね!」

「ふ、ふふ。ええ、そうさせてもらうわね」

 マークはいない。
 また、冒険者ギルドに行っているようだ。

 シーナに数日帰ってこないと伝えて、モナルダのところへ向かう。
 

 久しぶりのモナルダの家。

 みんなが笑顔で、おかえりと言ってくれる。


 なぜかちょっと照れ臭い……

 ここも安心する、わたしの家だ。
 

 

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