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184. 王妃様とお話し

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 ソファとかわいい椅子がたくさんある別の部屋に連れて行かれる。

 でも、座る場所は選べないようだ。
 それとなく、案内された。

 王妃様の横……
 ライは、反対側の王妃様の横。

  こんなにソファがあるのに……

 それから小さなテーブルが自分の横におかれる。
 これでいただくのかな?

 デザートはベリー などの果物が品よく、切れ目付きで飾り付けられたパイ。
  二口で食べれる工夫つきだ。

 んっ?!
 これ、カベルネのところの干しブドウの味が少しする。

 あっ!
 ブレンダも気がついたみたい……

 最近カベルネのところのブドウにワイン、干しブドウも全部 口にしたからね。

 ブレンダと目が合う。
 二人で、にっこり笑っておいた。

 いつもより 一段と、香り高いお茶を 一口飲む。
 これは…… 鼻からも香りが広がる……すごいな。


「さあ、デザートもいただいたし、ライアン紹介してくれるかしら?」

「ああ…… この子はパール。 最近知り合ったんだ」

「まさか、それだけ……?」

「ハァー パールすまない。 話させてもらうよ。 パールは最近迷い人になったそうで、ピアンタ王国からラメール王国へ逃げてくる途中で知り合って……  おれたちを、当たり人にしてくれたんだ」

「まあまあ、ホントに迷い人なの? ディランがわたしと知り合う前に迷い人に会っているけど、それ以来だわ!」

「ああ。  記録として残っているわが国の迷い人だと、千四百三十年ぶりだよ母上。 そして当たり人の王族は、初めてだ」

「そう…… パールさん、母親としてライアンを当たり人にしてくれてありがとう。 感謝するわ」

「いえ、こちらこそ当たり人になってくださって感謝しています。 どうか王妃様、わたしのことはパールとお呼びください」

「ふっふ そうさせてもらうわね。 パールは、ブレンダも助けてくれたんでしょう? どうお礼をしたらいいのかしら?」

「そんなのは、いりません。 わたしは静かに暮らしたいだけなんです。 明日からは、準備ができた新しい家に住もうと思っています」

「パール! それは、どういうことだ! ここを出て行くのか!?」

「ライ…… 新しい家の用意ができたみたいだから、そっちへ住むだけだよ。 はじめから決まっていたことでしょ?」

「うっ」
 
 ソードが、王妃様に会釈してから話し出す。

「パール。 明日はマークのところにお土産を持っていくのですよね? トムたちが倉庫を建てて、魔牛を待っていますよ。 しばらくは、料理どころではないんじゃないですか? シーナもお腹が大きいですし、これからはマークもなにかと忙しくなる時期では? そこへパールがひとりで暮らすとなったら、どうなります? マークが心配して、家が近いだけに行ったり来たりして、もっとたいへんになるでしょう。それにパール?  ストックの料理もだいぶ少なくなってますよね?   また補充しないといけません。 新しい家には、料理の補充が終わってからでどうですか?」

「ソード……そうなのかな? 家が近いから、マークがたいへんになるのかな……」

「そーだよ! パール。 マークがたいへんになるよ。 それよりもまた、おいしい料理を料理長に頼んでおくから、いっぱい作ってもらおうな」

「うん、ありがとう……ライ」

「パール! 帰ってきたところだぞっ。 ゆっくりして、今回の冒険の話を聞かせてくれよ!」

「ガント…… 冒険は、すごく楽しかったんだ!」

 パッ!

 王妃様が、おもむろに扇子を広げて……

「なんだか、パール……    あなた、たいへんね……     パール…… あなた、何歳なの?」

「はい、十歳になりました」

「そう、まだ 十歳なのね……」

「これからも いろいろと まあ……  あると思うけど、ライアンをよろしくね……  もう少しブレンダからも聞いて、それから……少し考えるわ」

「いえ。 わたしのほうが、いろいろライたちに助けてもらっています」

 ちょっと、意味不明な会話を王妃様と最後にして、お開きになった。

 わたしはもう少しここで、お世話になるみたいだ……


  ♢♢♢


 朝はやく、王妃様はブレンダを連れて王宮に帰って行った。

 朝食のときに教えてもらう。
 あいさつできなかったけど、いいんだろうか?
 ライは大丈夫、いつものことだと言っていた。

 マークには、朝こっちへ来なくてもわたしが行くと昨日のうちに伝言してもらっている。

 昨日のソードの話で思ってしまった。
 少しは、ゆっくりさせてあげないと……
 

 ボードで、マークのところにお土産を渡しに行く。

 ライがついてくると言ったけど断らせてもらった。
 ライが王太子だとわかったから、みんなが緊張してしまう。

「久しぶりに、家族に会うんだから緊張した顔以外で会いたいよ」

「なるほど…… では、終わったらすぐにボードで、帰ってくるんだぞ」

「わかった。 ライは、マークと 一緒で心配性だね。 マークもすぐ、ボードで帰れっていうんだよ」

「そうか…… 一緒か」

 ブフォッ!

 んっ?  なに?

 三人に送られて、ボードでマークのところへ向かう。 

 トムさんとトーマスが、サッと ボードの囲いまでやってきた。

 外で、待っていたのかなぁ?

「「パール! おかえり!」」

「昨日はたいへんだったみたいだな…… 大丈夫だったか?」

「ただいま! トムさん、トーマス。 大丈夫だよ。 軽い晩餐会みたいなのはあったけど、それだけかな?
朝はやくに、帰られたみたいなんだ」

「そうか! まずは、シーナに顔をだしてやってくれ! 心配していたからな」

「わかったよ」

 宿屋は、いつはじめてもよい状態になっていた。
 あと看板をだしたら、お客さんが勝手に入ってきそうな感じ?

 宿屋に入って元気よく。

「シーナ! ただいま!」

「パール?! おかえりなさいっ!!」

 うわーっ!

「お腹が、大きいねー!?」

「ふ、ふふ マークも昨日同じことを言っていたわよ!」

「そうなんだ~ あれっ マークは?」

「ギルドに行ってるの。 そんなことより、聞いたわよ! 王妃様に会ったんだって? ライさんが王太子? 困ったことになったわね……  あと、ブレンダだったかしら? ルート様の護衛だったアース様みたいに、格安な条件でパールについてくれるっていうのは、ホントなの?」

 すごい、質問ぜめだ……  ハッハ。

「うん、わたしが結婚するぐらいまでついてくれるって言ってくれてたけど…… 王妃様がブレンダを連れて帰ったんだよ」

 ソードから聞いた話では、あの日王妃様が洞窟にいたのは、ブレンダを探しにいくと言い出したから。
 本来なら止めるはずのライが、なぜか自分も 一緒に行くと言い出して大騒ぎになったそうだ。
 冒険者ギルドのマスター まで来て、みんなで 二人を止めているところだったと教えてくれた。

「ブレンダは、王妃様に大切にされていたみたい」

「そうなの? じゃあどうなるか、まだわからないのかしら?」

「うん」


「なぁ もういいかい? シーナ?」

 トムさんが、痺れを切らしてやってきた。


 魔牛だな……
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