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207. 若夫婦と先代
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わたし好みがソードにも伝わった。
「きっと、ブレンダが言うように貴族から、庶民にまで売れる商品になるでしょう。パールの書いた絵には、それだけの値打ちがあります。ホントに先に聞いてよかったですよ」
なぜか、みんながうなずいている。
「どうしましょう、ライ?」
「ここに来ているんだ、そう悪い商会ではないんだろ?」
「はい。審査は通っていますが、それは前の代の話で最近息子は儲けに走っているという情報もあるんですが……」
「そうか……パール? このゆりかごが気に入ったんだな?」
「うん。こんなにしっかりした良いモノを作る商会なら、安心だと思うよ」
「しょうがない。ソード、儲けさせてやれ」
この一言で、ガーベ商会はお金儲けができることが決定したようだ……
すごいな、ライ……
しばらくして、ガーベ商会の夫婦が呼び戻される。
夫婦も、うすうすわたしが気に入ったものがないと感じているようで、夫のフレーさんの方がすぐに話し出してきた。
「お嬢様。もしここにお嬢様のお気に召すモノがないようでしたらすぐに明日、他のお気に召すモノをお持ちいたします。ガッカリなさらず、どうかお好みを教えてくださいませ」
頭を下げて、低姿勢で伝えてくる。
ソードが小さなゆりかごを見せて夫婦に尋ねだす。
「こちらの商品は? 少し他のモノと違いますね」
「「あっ!!」」
「も、申し訳ありません! どうして紛れ込んだのか? 隠居した父、先代エミールの手遊びの品でございます! お目汚しいたしました……」
どうしてこんなモノが紛れ込んだのかと低姿勢で誤っているフレーさんの横で、わたしたちの話をメモしておこうとペンを握りしめていた妻のベルさんが握りしめていたペンを少し震わせながら話し始める。
「わ、わたくしなのです。わたくしがお義父様、先代の作品を紛れ込ませました。良いモノだとホントに良い品だと思ったからです……申し訳ございません……」
「なんだって! お、おまえ……なんてことを、申し訳ございません! すぐに片付けさせていただきます!」
夫のフレーさんの方は、想定外のことが続いてワタワタしている。
奥さんも頭を下げて、恐縮した感じだな……
見かねてソードが口を開いた。
「違うのですよ。これがね、気に入ったそうなんです。そうですよね、パール」
「うん、すごく良い商品だと思うよ。ひと目で気に入ったしねっ!」
「わかりましたか? 良かったですね。ではこの商品は先代の作った作品だったということですか? これはベルあなたが先ほど部屋を出るときに置いていったモノでしたね。これについて説明できますか? 無理なら先代を呼びますが?」
「あ、ありがとうございます! この商品はお義父様、先代エミールがわたくしたちの子どものために作ってくださったものなのですが、あまりに素晴らしい作品でしたので小さなモノを作ってもらったのです」
「じゃあ、もう赤ちゃん用はあるんだね! わたしはこのゆりかごを、赤ちゃん用に大きくしてもらうつもりでいたからよかったよ」
「ゆりかご……はい。わたくしたちの子どもが使っておりましたが、よく寝てくれて助かりました」
「パール、よかったですね。これで、パール好みに作ってもらえますよ」
「うん! でもやっぱり、本物を見てみたいなぁ?」
「わかりました。ではフレー、きみたちの子どもが使っていたゆりかごを持ってくることはできますか?」
「はい! できます。明日でよければ父親、先代を連れて参ります。わたしどもより、もっと詳しく説明ができるでしょう!」
「パール? 細かいことは、また明日でもよいですか?」
「ありがとうソード! 忙しいのに明日もいいの? うれしい! そうだ先にラトルの説明をしておいたら、明日先代と話すときに話が早くて良いかも?」
「そうですね。明日は先代のエミールでしたか? 連れてきてくださいね」
「はい! 必ず先代を連れて参ります。今日はそれで、あの……ラトル? について、ご説明していただけますでしょうか?」
ソードがわたしの描いた絵をもとに、もう一度注文する二個だけ描いて、夫婦に説明しだした。
夫婦は顔を見合わせて、これに近いモノを先代が自分たちの子どもに作ってプレゼントしてくれていると話し出す。
話がはやい!
明日一緒に持ってきてくれるそうだ。
「楽しみだなぁ~」
ガーベ商会のフレーさんは、なんだか少し難しい顔をしていたけど、夫婦は明日の準備をするからと急いで引き上げていく。
これで明日がすごく楽しみになったよ。
ソードにはこのゆりかごについて、もう少し質問されたり、ラトルについてもいろいろ聞かれたけど水着ほどではないからホッとする。
♢♢♢
次の日、若夫婦と先代のエミールさんがやってきた。
今回は先代とお嫁さんのベルさんが中心となって話しをするようで、メモをとるのはフレーさんにかわっている。
「お嬢様、わたくしどもの商品をお気に召してくださりありがとうございます。今回お持ちいたしました商品は、息子夫婦の子どもにわたくしと商会の職人たちが精魂込めて出産の祝いに作ったモノでございます。子どもが使っておりましたので少し傷もございますが、どうぞ見てやってくださいませ」
「ありがとう! 楽しみにしてたんだよ」
うわーっ?!
見ていた小さなゆりかごより、実物の方が断然いい!
「すごくステキ! あの、触ってもいいですか?」
「ええ、ええ、触ってやってください!」
「すごい、スベスベ! 揺れも……うん、しっかりゆれている? ね……アレっ? これはちょっと、揺れすぎ?」
「はっ!」
「その通りでございます……この出来損ないの愚息が職人に命じて、昨日よく揺れるように変えてしまったのですよ……」
「あーっ、残念な感じですね……」
「はい……申し訳ございません。ホントはこんなに揺れません……」
「よかった……それなら、まあ……安心かな?」
見かねて息子の奥さんベルさんが、ラトルを出してきた。
「お嬢様……これが子どもが使っておりましたラトル? でございます」
「あっ! ホント、ラトルだ!」
続いて、エミールさんが別のラトルを取り出して渡してきた。
「これはお嬢様のおっしゃっていたラトルに似せて、昨日作ったモノでございます。どうか見てやってください」
「あっ! 棒状のラトル! キレイに作ってあるね! 軽いし、スベスベでかわいい!」
「ありがとうございます! こちらはそのままお持ちください。従弟様に使っていただけたら幸いでございます」
「えっ!?」
また、難しい……
ソードを見たら、うなずいていた。
ブレンダもうなずいている。
「ありがとう?」
もらっていいそうだ……
しかしすごいな。
わたしがテオにプレゼントすると知っているのか?
商会の情報網はどうなっているんだ?
まあ、かわいいテオが遊ぶラトルをもらったし、気分が良いから、細かいことは気にしない。
テオ、このラトルよろこぶかな~?
早く遊びたいよっ!
「きっと、ブレンダが言うように貴族から、庶民にまで売れる商品になるでしょう。パールの書いた絵には、それだけの値打ちがあります。ホントに先に聞いてよかったですよ」
なぜか、みんながうなずいている。
「どうしましょう、ライ?」
「ここに来ているんだ、そう悪い商会ではないんだろ?」
「はい。審査は通っていますが、それは前の代の話で最近息子は儲けに走っているという情報もあるんですが……」
「そうか……パール? このゆりかごが気に入ったんだな?」
「うん。こんなにしっかりした良いモノを作る商会なら、安心だと思うよ」
「しょうがない。ソード、儲けさせてやれ」
この一言で、ガーベ商会はお金儲けができることが決定したようだ……
すごいな、ライ……
しばらくして、ガーベ商会の夫婦が呼び戻される。
夫婦も、うすうすわたしが気に入ったものがないと感じているようで、夫のフレーさんの方がすぐに話し出してきた。
「お嬢様。もしここにお嬢様のお気に召すモノがないようでしたらすぐに明日、他のお気に召すモノをお持ちいたします。ガッカリなさらず、どうかお好みを教えてくださいませ」
頭を下げて、低姿勢で伝えてくる。
ソードが小さなゆりかごを見せて夫婦に尋ねだす。
「こちらの商品は? 少し他のモノと違いますね」
「「あっ!!」」
「も、申し訳ありません! どうして紛れ込んだのか? 隠居した父、先代エミールの手遊びの品でございます! お目汚しいたしました……」
どうしてこんなモノが紛れ込んだのかと低姿勢で誤っているフレーさんの横で、わたしたちの話をメモしておこうとペンを握りしめていた妻のベルさんが握りしめていたペンを少し震わせながら話し始める。
「わ、わたくしなのです。わたくしがお義父様、先代の作品を紛れ込ませました。良いモノだとホントに良い品だと思ったからです……申し訳ございません……」
「なんだって! お、おまえ……なんてことを、申し訳ございません! すぐに片付けさせていただきます!」
夫のフレーさんの方は、想定外のことが続いてワタワタしている。
奥さんも頭を下げて、恐縮した感じだな……
見かねてソードが口を開いた。
「違うのですよ。これがね、気に入ったそうなんです。そうですよね、パール」
「うん、すごく良い商品だと思うよ。ひと目で気に入ったしねっ!」
「わかりましたか? 良かったですね。ではこの商品は先代の作った作品だったということですか? これはベルあなたが先ほど部屋を出るときに置いていったモノでしたね。これについて説明できますか? 無理なら先代を呼びますが?」
「あ、ありがとうございます! この商品はお義父様、先代エミールがわたくしたちの子どものために作ってくださったものなのですが、あまりに素晴らしい作品でしたので小さなモノを作ってもらったのです」
「じゃあ、もう赤ちゃん用はあるんだね! わたしはこのゆりかごを、赤ちゃん用に大きくしてもらうつもりでいたからよかったよ」
「ゆりかご……はい。わたくしたちの子どもが使っておりましたが、よく寝てくれて助かりました」
「パール、よかったですね。これで、パール好みに作ってもらえますよ」
「うん! でもやっぱり、本物を見てみたいなぁ?」
「わかりました。ではフレー、きみたちの子どもが使っていたゆりかごを持ってくることはできますか?」
「はい! できます。明日でよければ父親、先代を連れて参ります。わたしどもより、もっと詳しく説明ができるでしょう!」
「パール? 細かいことは、また明日でもよいですか?」
「ありがとうソード! 忙しいのに明日もいいの? うれしい! そうだ先にラトルの説明をしておいたら、明日先代と話すときに話が早くて良いかも?」
「そうですね。明日は先代のエミールでしたか? 連れてきてくださいね」
「はい! 必ず先代を連れて参ります。今日はそれで、あの……ラトル? について、ご説明していただけますでしょうか?」
ソードがわたしの描いた絵をもとに、もう一度注文する二個だけ描いて、夫婦に説明しだした。
夫婦は顔を見合わせて、これに近いモノを先代が自分たちの子どもに作ってプレゼントしてくれていると話し出す。
話がはやい!
明日一緒に持ってきてくれるそうだ。
「楽しみだなぁ~」
ガーベ商会のフレーさんは、なんだか少し難しい顔をしていたけど、夫婦は明日の準備をするからと急いで引き上げていく。
これで明日がすごく楽しみになったよ。
ソードにはこのゆりかごについて、もう少し質問されたり、ラトルについてもいろいろ聞かれたけど水着ほどではないからホッとする。
♢♢♢
次の日、若夫婦と先代のエミールさんがやってきた。
今回は先代とお嫁さんのベルさんが中心となって話しをするようで、メモをとるのはフレーさんにかわっている。
「お嬢様、わたくしどもの商品をお気に召してくださりありがとうございます。今回お持ちいたしました商品は、息子夫婦の子どもにわたくしと商会の職人たちが精魂込めて出産の祝いに作ったモノでございます。子どもが使っておりましたので少し傷もございますが、どうぞ見てやってくださいませ」
「ありがとう! 楽しみにしてたんだよ」
うわーっ?!
見ていた小さなゆりかごより、実物の方が断然いい!
「すごくステキ! あの、触ってもいいですか?」
「ええ、ええ、触ってやってください!」
「すごい、スベスベ! 揺れも……うん、しっかりゆれている? ね……アレっ? これはちょっと、揺れすぎ?」
「はっ!」
「その通りでございます……この出来損ないの愚息が職人に命じて、昨日よく揺れるように変えてしまったのですよ……」
「あーっ、残念な感じですね……」
「はい……申し訳ございません。ホントはこんなに揺れません……」
「よかった……それなら、まあ……安心かな?」
見かねて息子の奥さんベルさんが、ラトルを出してきた。
「お嬢様……これが子どもが使っておりましたラトル? でございます」
「あっ! ホント、ラトルだ!」
続いて、エミールさんが別のラトルを取り出して渡してきた。
「これはお嬢様のおっしゃっていたラトルに似せて、昨日作ったモノでございます。どうか見てやってください」
「あっ! 棒状のラトル! キレイに作ってあるね! 軽いし、スベスベでかわいい!」
「ありがとうございます! こちらはそのままお持ちください。従弟様に使っていただけたら幸いでございます」
「えっ!?」
また、難しい……
ソードを見たら、うなずいていた。
ブレンダもうなずいている。
「ありがとう?」
もらっていいそうだ……
しかしすごいな。
わたしがテオにプレゼントすると知っているのか?
商会の情報網はどうなっているんだ?
まあ、かわいいテオが遊ぶラトルをもらったし、気分が良いから、細かいことは気にしない。
テオ、このラトルよろこぶかな~?
早く遊びたいよっ!
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