俺の悪役チートは獣人殿下には通じない

空飛ぶひよこ

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原作アストルディア①

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 呟かれたアストルディアの言葉は悲しげで、振り返って顔を見て真意を確かめたくなったけれど、後ろから抱き込まれた体勢では叶わなかった。
 ……いつもいつも、こう言う大事な時に、アストルディアの顔が見れない気がする。ピロートークの時に思わずぽろりと本音を漏らしてもらうのだとしたら、フィニッシュは常にバックなのである意味では必然なのだけど。  

「エディは俺が思ってた以上に、クリスのことを大切に思っているんだな。少し妬ける」

 誤魔化すように、アストルディアがうなじに鼻先を擦りつけてきた。こう言う仕草は、すごくお犬様っぽくて、毎回うっかりキュンとしてしまう。

「あくまで協力者として割り切るべきか、だいぶ迷ったよ。それでも、一緒に過ごす時間が長くなるに連れて、いつの間にかクリスのことを友人だと思うようになってたし……アスティのおかげで、その気持ちを認めることができたんだ」

「俺のおかげ……?」

「そうだよ。アスティが、俺の絶対的味方になってくれたから、俺は他の人に心を開けるようになったんだよ。アスティには、本当感謝してる。……交易再開の為にも、頑張ってくれたって聞いた」

「エディが色々セネーバで奔走してくれているのに、俺が何もしないわけにはいかないだろう。と言っても、俺がしたことは、埃をかぶっていた魔道具を見つけだして発動させただけだけどな」

「発動させただけって……アスティじゃなければ、セネーバ側を納得させられなかったよ」

 アストルディアが余剰魔力で一月も結界を保たせられるようなとんでもない魔力量の持ち主でなければ、絶対に交渉は難航したはずなのに、謙遜が過ぎる。

「本当、アスティは規格外なスパダリだよなー……」

 BL小説の攻め様なのだから当たり前だと言われるかもしれないが、アストルディアがハイスペックイケメンぶりを発揮すればするほど、密かに違和感を抱く自分もいる。
 原作小説を読んだ時は、正直アストルディアがここまでスパダリな印象なかったから。

 原作アストルディアは、ぶっちゃけ俺的には二十も年下の主人公とズッコンバッコンやっているイメージしかない。
 戦闘シーンも一応あるにはあったけど、ラスボスである手負いのエドワードとの対決と、あと主人公犯してた看守をぶっ飛ばしてるとこくらいしか記憶がない。あ、一応最初に暗殺しようとした主人公を、軽くいなしてはいたか。でも、「敵うかわからない強大な敵を倒すシーン」みたいなカッコいい描写は、一切書かれていなかったことは、断言できる。
 原作アストルディアは冷徹で無感情な為政者で、正直俺からすれば全く魅力を感じないキャラクターだった。戦争や番を失ったことで心が死んだと言えばそれまでだけど、きゃわきゃわで常に魅力溢れるスパダリなアストルディアが、将来あんな風に変貌するのかと思うと、とても信じられない。てか、信じたくない。

 ……だって原作アストルディア、基本的にちんこの指し示すままにしか、動いてないんだもん!

 献上された主人公をチンぴくしたから抱いて、暗殺者と分かったから牢屋に入れたけど、ちんこが主人公の体を忘れられなかったからまた抱きに行って、主人公の体に夢中になった結果、宿敵エドワードを殺して主人公を妻にした……と思わせるくらいの、うすーいキャラクターだったんだよ。アストルディア。エロ描写ばっか力入れて、それ以外全然掘り下げられてねーの。主人公に惚れた理由、「体が良かった」「運命だったから」の二つくらいしか思いつかないくらいに。
 全編主人公視点で、主人公自体はめちゃくちゃ可哀想な過去も、自分を愛してくれたアストルディアに依存していく様も詳細に書かれてたからこそ、なお目立つアストルディアの描写の少なさ。そこから、垣間見える前世妹のアストルディアへの思い入れのなさよ。
 ぶっちゃけ、「お前は可哀想な主人公がひどい目遭った末に幸せになる話を書きたかっただけで、竿役に一切思い入れないだろ」って、最初読んだ時、前世妹に突っ込んだもんな。前世妹曰く「裏設定が濃すぎて書けなかったの!」とのことだったが、んなもん公募に応募しても受賞するはずねーだろと……。



 
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