俺の悪役チートは獣人殿下には通じない

空飛ぶひよこ

文字の大きさ
310 / 311

番の最期①

しおりを挟む
「……すまない。エディ。最後、理性が飛んだ」

「……いや、大丈夫だよ。気持ち良かったし」

 繋がった状態で後ろからぎゅうぎゅうに抱き締められながら、苦笑いを浮かべる。
 気持ち良かったし、これくらい激しいプレイは全然構わないのだけど……やっぱ、ちょっと原作アストルディアの片鱗というか、ヤンデレの影が見え隠れしてたな。
 わかっちゃいたけど、本当、アストルディアがこの先どうなるかは、俺次第なわけな。積極的にしゅきしゅきアピールして闇落ち回避して、このままスパダリでいてもらうことにしよう。アストルディアが辛くない範囲で。

「……なあ、エディ。お前にどうしても頼みたいことがあるんだが、聞いてくれるか」

「いいよ。俺ができることなら、何でも聞いてやる」

 少しだけ躊躇うような沈黙の後、アストルディアは未だヒリヒリ痛む俺の項に鼻先を埋めた。

「もしこの先、エディの方が俺より先に逝くことがあれば……後を追うことを許してくれないか」

「え?」

 一瞬エッチの方の「イク」かと思って、素っ頓狂な声が出た。それを拒絶かと思ったのか、慌ててアストルディアは言葉を続ける。

「もちろん、遺されるアイルが困らないように、王としての責任は果たすつもりだ。けれど、それが一段落ついた時は……どうかお前のもとに行かせてくれ。エディがいなくなったら、正気でいられる自信がないんだ」

「…………」

「……両親を同時に失うことになるアイルには申し訳ないと思ってるが……」 

「……いや、普通に俺、自分が先に死ぬ時はアストルディアを道連れにしようかと思ってたんだが」

 アストルディアが思いの外、親としても王としてもちゃんと責任を果たそうと考えていて、逆にとても申し訳ない気持ちになった。……いくら何でもちょっと、即道連れってのは極論過ぎたかな。

「……エディ。そこまで俺のことを……」

 しかし、誤解されていたはずのアストルディア本人の声は、明らかに感極まっているので、あながち極論というわけでもなさそうだ。
 やっぱり、根本的にはアストルディア、ヴィダルスと同じなんだよなー……無理心中予定だったなんて、普通はドン引くとこだろうに。

「……いや、でも、俺は親としても、王としても責任を果たさねば……でもエディに殺されて共に死ねるなら、それ以上の幸福は……」

「ああ、わかった。わかった。とりあえず万が一の時の後追いを責める気はないけど、今は二人で長生き目指そうぜ。お互いじじいになって、引退した後なら、どんな死に方してもそこまでは迷惑はかからないだろ」

「……そうだな。二人同時に老衰で死ねるなら、それに越したことはない」

 おかしな世界に入りそうだったアストルディアを引き戻しながら、戯れのようにアストルディアの手にキスをした。
 アストルディアはド遅漏なので、今まで第二ラウンドまで発展したことはなかったけど、動かせるくらいまで瘤が萎めば、今日くらいはありかも……なんて考え始めた時、突然扉がノックされた。

「ーーお休みの所申し訳ありませんっ、アストルディア様、エドワード様! 緊急事態につき、少しお話よろしいでしょうか」

 ……え、まだ全然瘤が抜ける気配ないんだけど!?

 廊下から聞こえるチルシアさんの声に焦る俺とは裏腹に、即座に体勢を起こしたアストルディアは、繋がったまま俺を膝の上に乗せて、シーツでまとめて互いの体を覆った。

「……入れ」

「え、この状態で?」

「チルシアが緊急事態と言うなら、本当に緊急事態だろうからな」

 それはそう、それはそうなんだけど! シーツで隠しても、この状態で人と会うのはさすがに恥ずかしいんたが!

「失礼致しますっ」

 俺がアワアワしているうちに中に入ってきたチルシアさんは、状況を察していたのか一切こちらを見ないまま、その場に膝をつき目を伏せた。

「申し訳ありません! 実は私が少し油断した隙に、アイル様が脱走をっ……」

「う、嘘だろ!?」

 まだ生まればかりで、四つ足で歩くこともできなかったはずなのに、一体どうやって!?
しおりを挟む
感想 161

あなたにおすすめの小説

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する

子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき 「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。 そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。 背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。 結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。 「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」 誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。 叶わない恋だってわかってる。 それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。 君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

【8話完結】いじめられっ子だった俺が、覚醒したら騎士団長に求愛されました

キノア9g
BL
いじめられ続けた僕は、ある日突然、異世界に転移した。 けれど、勇者として歓迎されたのは、僕を苦しめてきた“あいつ”の方。僕は無能と決めつけられ、誰からも相手にされなかった。 そんな僕に手を差し伸べてくれたのは、冷酷と恐れられる騎士団長・ジグルドだった。 なのに、あいつの命令で、僕は彼に嘘の告白をしてしまう――「ジグルドさんのことが、好きなんです」 それが、すべての始まりだった。 あの日から彼は、僕だけをまっすぐ見つめてくる。 僕を守る手は、やさしく、強くて、どこまでも真剣だった。 だけど僕には、まだ知られていない“力”がある。 過去の傷も、偽りの言葉も超えて、彼の隣にいてもいいのだろうか。 これは、いじめられっ子の僕が“愛されること”を知っていく、嘘と覚醒の物語。 全8話。

処理中です...