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連載2
忘れられた神々8
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兄様に、万が一何かあったらと思うと、断るべきだと思った。
けれど【災厄の魔女の呪い】の石の時と同様に、兄様が引かないことも分かっていた。
しばらく黙って、兄様の目をまっすぐに見つめる。
兄様も目を剃らすことなく、その優しいエメラルドの瞳を私に向けてくれた。
「……兄様……」
「ああ」
「……この剣、お願いできる?」
「ああ。もちろん」
私が大丈夫になったのを確かめるように、慎重に私を支える手を離した兄様が、ゆっくり剣に近づいていく。
万が一兄様に何かあった時のために、私は手に聖女の力を溜めた。
兄様の手が剣の柄に触れる。そのまま兄様はためらいなく剣を握ると、鞘をつけたままのそれを確かめるように高く掲げた。
「……大丈夫、兄様? 何か変な感じとかしたりしない?」
「大丈夫だ。何も感じない。どこにでもあるただの剣だ」
とりあえず、力の封印は成功しているらしい。
ほっと安堵の息を吐いて、すぐにまだ安心はできないと気を引き締める。
兄様には寝るときに毎日この剣を持ってきてもらって、封印を重ねがけするようにしないと。
「シャルル王子。この神殿のことは、他に誰か知っているのか? この剣の存在は?」
兄様の問いに、ちょっと放心したように剣を握る兄様を見ていたシャルル王子が、はっとしたよう真面目な顔になった。
「いえ……幼いながらも、私はこの神殿を侵して行けない禁忌の場所だと感じまして。迂闊に報告すれば、地下通路の使用自体禁止されてしまうのではないかと恐れて、父には報告しなかったんです。ここには一人で来たので、ミーシャにも教えてません。ここのことは私以外は誰も……」
そう口にしかけてから、シャルル王子は不意に愕然とした表情で目を見開いた。
「……いえ、一人だけ。一人だけ、私は報告しました。幼い私が一人で抱えるには、あまりに大きな秘密だと思ったから。……何故、忘れていたんだろう。いや、そもそも私は文献を見るまですっかり、この神殿のこと自体忘れてました……もしかして、あの人が記憶の操作を……?」
「誰だ? 誰に報告したんだ?」
「ーー予言者です」
思いがけない名前に、目を見開いた。
「初代聖女の騎士だった彼なら、きっとこの神殿のことも知っているだろうと思って、彼にだけ私は打ち明けたんです。ーー彼からはただ、『忘れるように』としか言われませんでしたが」
けれど【災厄の魔女の呪い】の石の時と同様に、兄様が引かないことも分かっていた。
しばらく黙って、兄様の目をまっすぐに見つめる。
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「……兄様……」
「ああ」
「……この剣、お願いできる?」
「ああ。もちろん」
私が大丈夫になったのを確かめるように、慎重に私を支える手を離した兄様が、ゆっくり剣に近づいていく。
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兄様の手が剣の柄に触れる。そのまま兄様はためらいなく剣を握ると、鞘をつけたままのそれを確かめるように高く掲げた。
「……大丈夫、兄様? 何か変な感じとかしたりしない?」
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とりあえず、力の封印は成功しているらしい。
ほっと安堵の息を吐いて、すぐにまだ安心はできないと気を引き締める。
兄様には寝るときに毎日この剣を持ってきてもらって、封印を重ねがけするようにしないと。
「シャルル王子。この神殿のことは、他に誰か知っているのか? この剣の存在は?」
兄様の問いに、ちょっと放心したように剣を握る兄様を見ていたシャルル王子が、はっとしたよう真面目な顔になった。
「いえ……幼いながらも、私はこの神殿を侵して行けない禁忌の場所だと感じまして。迂闊に報告すれば、地下通路の使用自体禁止されてしまうのではないかと恐れて、父には報告しなかったんです。ここには一人で来たので、ミーシャにも教えてません。ここのことは私以外は誰も……」
そう口にしかけてから、シャルル王子は不意に愕然とした表情で目を見開いた。
「……いえ、一人だけ。一人だけ、私は報告しました。幼い私が一人で抱えるには、あまりに大きな秘密だと思ったから。……何故、忘れていたんだろう。いや、そもそも私は文献を見るまですっかり、この神殿のこと自体忘れてました……もしかして、あの人が記憶の操作を……?」
「誰だ? 誰に報告したんだ?」
「ーー予言者です」
思いがけない名前に、目を見開いた。
「初代聖女の騎士だった彼なら、きっとこの神殿のことも知っているだろうと思って、彼にだけ私は打ち明けたんです。ーー彼からはただ、『忘れるように』としか言われませんでしたが」
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