処刑された王女は隣国に転生して聖女となる

空飛ぶひよこ

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連載2

忘れられた神々9

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「おや、聖女様にシャルル王子。また、何か二人で話すために聖堂の提供をご依頼ですか?」

 青年姿の予言者は、夜中に突然訪れた私とシャルル王子をにこやかに迎え入れた。
 まるで今日この時間に、私たちが来ることが分かっていたかのように。

「聖女様の兄君は、外でお待ちのようですね。そんな警戒なさらずとも、以前のように眠らせたりしませんのに」

「……聖堂に入らずとも兄様の気配がわかるのですね」

「はい。ここからでも殺気が伝わってきますから」

 予言者の術が再び及ぶことを恐れた兄様は、例の剣を持ち帰って来たこともあり、聖堂の外で待機することを選んだ。
 兄様にとっては、苦渋の決断だったらしく、珍しくシャルル王子に頭を下げて私のことを頼んでいた。……シャルル王子には、お願いじゃなく脅しにしか聞こえなかったらしいけど。

「さあさあ、おかけください。寝る前に飲んでも大丈夫なお茶を出しましょう。お腹は空いてませんか?必要なら、軽いお菓子もお出ししますが」

「……お茶も、お菓子も結構です。私たちは、貴方と雑談しに来たわけではありませんから」

 シャルル王子は私を背中でまもるように一歩前に出ると、珍しいきつい表情で予言者を見据えた。

「単刀直入に聞きます。貴方は以前私が、地下通路から繋がっている忘れられた神の神殿について話した時、私の記憶を操作しましたね」

「さて、こんなこともありましたかね。何せ長い長い年月を生きているもので、最近の記憶は色々曖昧で」

「とぼけないでください!【災厄の魔女】について調べていたら、【災厄の魔女】が混沌の神、トリアスの信徒だと書かれた文献を見つけたんです!」

「はあ、そんなことが書かれている文献がまだあったのですね。でも一つの文献にしか書かれていない情報を、鵜呑みにするのは早計ですよ? 【災厄の魔女】に関する、根も葉もない噂だったかもしれませんし。気に入らない宗教を糾弾するために、悪評高い人物を信者だと吹聴することは昔から珍しくないことです」

「聖女様をあの神殿に連れて行ったところ、御神体の剣から【災厄の魔女の呪い】と同じ力を感じると言われました! あの神殿こそ、トリアスの神殿だという確かな証拠でしょう!」

 シャルル王子の糾弾を軽く流しながら、どこからか出したお茶を優雅に飲んでいた予言者は、私に意味ありげな視線を向けた。

「忘れられた神は、忘れられたままにしとくのが一番なのですよ。下手に認知されると、無駄に力をつけますから」

「………」

「聖女様。シャルル王子。【神】と呼ばれる存在には2種類の存在がいるのをご存じですか?」
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