処刑された王女は隣国に転生して聖女となる

空飛ぶひよこ

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連載2

決戦の時24

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 生まれた国を捨てて他国に亡命することに成功したとしても、その国にきちんと適応して職を得て、新しい国民の一人として生活できるとは限らない。
 職がなければ、人は生きる為に犯罪に手を染め、難民の母数が増えれば増える程その数は増える。

「よくそのような状況をアニリドが許していますね。アシュリナの時代のアニリドなら、荒れた国を建て直すという大義名分でセーヌヴェットに攻め込んでいたでしょうに」

 父様の活躍によって撤退を余儀なくされたアニリド国と、セーヌヴェットの遺恨は深い。
 セーヌヴェットを手にすることは、アニリド国にとって地理的な利があるし、今の荒廃したしたセーヌヴェットであったとしても併合することができれば十分旨味はあるように思う。
 それなのに何故、アニリドはこの状況を黙認しているのだろう。

「それはアニリドが自国民が【災厄の魔女の呪い】に侵されることを恐れているからです」

「アシュリナの呪いに?」

「セーヌヴェットに都合の悪い人間ばかりが【災厄の魔女の呪い】に侵されている現状をみて、未だに呪いの原因が故アシュリナ王女にあると思っている他国の王はいませんよ。政に携わる人間なら、誰しもある程度真実に気づいています。その真実を公にするかどうかは、国によって対応が違うだけで」

 ルシトリアが未だに【災厄の魔女の呪い】の原因を訂正していないせいか、シャルル王子はどこかばつの悪そうな表情で笑いながら、言葉を続けた。

「アニリドは恐らく、ルシトリア以上に呪いについて理解できていない。だからこそ今のアニリドは、呪いを恐れ、他のどの国以上に、ルシトリアの聖女である貴女が災厄の魔女ユーリアを打ち倒すことを待ち望んでいます。ユーリア逝去の話を耳にするやいなや、民を救うという大義名分を掲げてセーヌヴェットに攻め込むつもりでしょう」

「……せっかく父様が守ったセーヌヴェットが、私のせいでアニリドに併合されてしまうのは複雑ですね」

「いや、ディアナ。セーヌヴェットは最早頭が変わってくらいではどうしようもない。一度滅びるべきだと俺は思う。多分父さんだって同じ意見のはずだ。……本当なら、攻め込むのはアニリドよりルシトリアの方がありがたいけどな」 

「マーナアルハの森に国境があるルシトリアにとって、セーヌヴェットを併合する利点はあまりないのですよ。マーナアルハの森は強力な護符がなければ立ち入れない危険地帯ですし、何よりあの森にはルシトリア国内随一の剣士であるお父様がいます。たとえアニリドがセーヌヴェットの併合に成功したところで、あそこを突破してルシトリアに攻め込むのはまず不可能でしょう」

「……勝手に、父さんを国境の警備要員に組み込むなよ。ルシトリア王宮から、何の手当ももらってないぞ」

「父上は必要なら、お父様に辺境伯の地位を授与するくらいの心づもりはあると思いますよ? お父様の拒絶を見越して、今は特に何もしていないだけで」

「いや……辺境伯って、国にとってかなり重要な身分でしょう。そんな軽々しく授与できるものじゃ……」  

「だからですよ」
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