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連載2
対決1
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「ルイス王が兵にこの通路の存在を教えていない限りはな」
結界魔法すら施していないことを考えれば、王が一般の兵士に秘密通路の存在を教えている可能性は低い。
だからといって、完全に安心することはできないのだけど。
「……通路で捕まえられたら逃げ場がないし、できるだけ早く外に出よう」
通路に入る際は複雑な仕掛けの操作が必要だけど、出るのは簡単だ。ユーリアの離宮に隣接する庭へと続く階段をのぼり、頭上の蓋を少しだけ押し開ける。蓋は庭の中央に設置された、モニュメントの裏につながっていた。
「……大丈夫。誰もいない」
蓋の隙間から外の様子を確認してから、蓋を開けて外へと出る。
兄様が出るなり、すぐに倒れた状態のモニュメントを立てて、再び蓋を閉じた。
「あとは何とかして、ユーリアを離宮からおびきだせば……」
「ディアナ! 危ない!」
「え?」
次の瞬間、私は兄様に抱き締められた状態で地面を転がっていた。
何が起こったのかすぐに理解できないでいると、風切り音とともに、さっきまで私が立っていた場所に何かが突き刺さった。
「……槍」
庭に敷き詰められた、レンガのタイルに太くて重そうな槍が突き刺さっていた。
もし私があそこに立ったままだったら、あの槍は今頃私の胸を貫いていただろう。
「……俺の槍に咄嗟に反応できるところをみると、まだアルバート・キートラントよりは腕が立ちそうだ」
少し離れた所の木の葉が揺れ、上から隆々とした巨体が降ってきた。
「だが、よけいなことをしたな。せっかく俺がお前の主に自らの死を気づかせないまま、一突きで殺してやろうと思っていたのに。お前がしたことは、主に無駄な死の恐怖を与えるだけだぞ」
それなりの高さから降りたはずなのに、一切体勢を崩すことのないまま着地したエイドリー・ノットンは、獲物を狙う猟犬の目を私と兄様に向けて、皮肉っぽく口元を歪めた。
「お前も、お前の主である偽聖女も今ここで死ぬのだからな」
「……死ぬのはお前だ! エイドリー!」
【黎明】を抜いた兄様がエイドリーに切りかかったけど、エイドリーは背中から大太刀を抜いてそれを防いだ。
金属がぶつかり合うキンとした音が、庭に響く。
「ふん……戦を知らない未熟な剣だな」
「俺個人の復讐よりも、ユーリアを倒すことを最優先にするつもりだったが、ここで立ち塞がるなら話は別だ! お前はここで死んでいけっ!」
「青二才が、よく吠えたものだ! お前程度の腕で俺に勝てるはずがないだろう!」
結界魔法すら施していないことを考えれば、王が一般の兵士に秘密通路の存在を教えている可能性は低い。
だからといって、完全に安心することはできないのだけど。
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「……大丈夫。誰もいない」
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「ディアナ! 危ない!」
「え?」
次の瞬間、私は兄様に抱き締められた状態で地面を転がっていた。
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もし私があそこに立ったままだったら、あの槍は今頃私の胸を貫いていただろう。
「……俺の槍に咄嗟に反応できるところをみると、まだアルバート・キートラントよりは腕が立ちそうだ」
少し離れた所の木の葉が揺れ、上から隆々とした巨体が降ってきた。
「だが、よけいなことをしたな。せっかく俺がお前の主に自らの死を気づかせないまま、一突きで殺してやろうと思っていたのに。お前がしたことは、主に無駄な死の恐怖を与えるだけだぞ」
それなりの高さから降りたはずなのに、一切体勢を崩すことのないまま着地したエイドリー・ノットンは、獲物を狙う猟犬の目を私と兄様に向けて、皮肉っぽく口元を歪めた。
「お前も、お前の主である偽聖女も今ここで死ぬのだからな」
「……死ぬのはお前だ! エイドリー!」
【黎明】を抜いた兄様がエイドリーに切りかかったけど、エイドリーは背中から大太刀を抜いてそれを防いだ。
金属がぶつかり合うキンとした音が、庭に響く。
「ふん……戦を知らない未熟な剣だな」
「俺個人の復讐よりも、ユーリアを倒すことを最優先にするつもりだったが、ここで立ち塞がるなら話は別だ! お前はここで死んでいけっ!」
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