処刑された王女は隣国に転生して聖女となる

空飛ぶひよこ

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連載2

対決23

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 【聖女】もしくは【災厄の】魔女として、ユーリアは国内外から畏怖の感情を向けられている。
 【狂戦士】と呼ばれ他国の騎士達を蹂躙してきた、エイドリーも同様だ。
 けれど、それを従えているルイス王自体の評価は高くない……寧ろ、最悪と言ってもいいだろう。
 ルイス王とアシュリナの父にあたる王は、人間性には問題はあったが、セーヌヴェットを繁栄させた優れた為政者だった。けれどその後を継いだルイス王は、違う。
 神として思うがままに振る舞った結果、国を崩壊させ、人口を著しく減少させた。彼は混沌の神なのだから当然と言えば当然の結果だが、そんな国王が評価されるはずがない。
 セーヌヴェットに関わるほとんど全ての人間が、ルイス王を愚王だと思っている。……そんな状況で、彼が十分な力を取り戻せるはずがない。
 「ルイス王はユーリアの傀儡だ」なんてうわさまで流れているくらいなのに。

「……本当にお前は、どこまでも気にくわない女だな」

 不意に、ルイス王の声の調子が変わった。
 向けられる眼差しの強さに、ぞくりと鳥肌が立つ。

 ーー私は、この目を知っている。

「アシュリナの頃から気にくわなかったが、小賢しくなった分、よけいに不愉快だ! 卑しい平民の分際で!」

 かつてアシュリナがルイス王に向けられていた、憎悪と嫌悪の目だ。

「っあなたは……」

「卑しい女の腹から生まれた分際で、聖女だなぞともて囃されているアシュリナが気にくわなかったが、今世では王家の血すら引いていないなんて、ますます落ちぶれたな! よくもそんな女が、王である私に生意気な口を聞けたものだ!」

 ギリと親指の爪を噛みながら、ルイス王は私を睨みつける。

「何がユーリアだ! エイドリーだ! あいつらは、ただの私の駒だ! 従えている私こそが、誰より畏怖されるべきなのだろう!? 何故皆、わからない!」

「…………」

「私は、神の神体だぞ! 選ばれた、特別な人間なんだ!」

 ヒステリックにわめき散らすルイス王の姿を目の当たりにして、思い違いに気づく。
 この亜空間で出会ってからは口調も変わっていたし、かつてアシュリナに向けられたような視線を向けられることがなかったから、てっきりルイス王の人格は完全にトリアスに飲まれたのだと思っていた。
 けれど、これでは……。

「あなたは……もしかしてトリアス神よりも、元々のルイス王の人格の方が強いのですか?」
 
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