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連載2
対決24
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「どちらの人格が強いとかどうでもいいだろう! 私は神で王であるという事実は変わらないのだからっ」
がりがりと頭をかきむしりながら、ルイス王が血走った目で睨みつける。
「私は我で、我は私だ。神であり、王であり、選ばれた特別な人間なんだ……! 私は、我はこの世界を統べる強力な存在であらねばならぬ。そうであるべきだろう?」
「…………」
「だが、今は力が足りない。実に腹立たしいことこの上ないが私が再びかつてのような畏怖を取り戻す為には、聖女、お前の力が必要だ。お前の補助さえあれば、我はかつてのような強大な神の力を取り戻すことができる。私は世界を統べる王になることができるのだ」
「……なら、ますます協力するわけにはいきませんね」
「なら協力したくなるように仕向けるまでだ……!」
歪んだ顔で高笑いをしながら、ルイス王は私に立てた指をつきつけた。
「かつての神殿を模したこの亜空間の中でなら、我は神としての力を取り戻すことができる……! かつての力とは比べものにはならないはした力だが、お前をこの場に拘束し、考えを代えさせる為には十分過ぎるほどの力だ! 死なないぎりぎりの状態で甚振り続け、お前が自分から私の配下に加えて欲しいと頼みこむように教育してやる!」
「…………」
「言っておくが、この亜空間は我の許可なくば出入りは不可能になっている。誰もお前を助けられぬし、どこにも逃げ場なぞないぞ……!」
ルイス王の言葉に、とっさに手にはめられた指輪を見る。
予言者は、絶体絶命の危機が訪れれば自動で私を聖堂まで転移してくれると言っていたけど、それはこの亜空間でも有効なのだろうか。
指輪は何も反応することなく、指の上で光っていて。とてもじゃないけど、ここを脱出する為に役に立てられそうにない。
それなのに不思議と焦りは感じなかった。
「私に従うのか、ここで苦しみ抜いた上に一人で朽ち果てるか、選ぶがいい!」
「……一人じゃないです」
亜空間を通り抜けられない可能性は、指輪と同じだ。絶対に、作用するという根拠があるわけでもない。
けれど、私には確信があった。
「兄様が、必ず私を助けに来てくれるから」
だって兄様はいつだって、私がピンチの時は駆けつけてくれたから。
ルイス王は一瞬虚を突かれたような表情を浮かべたが、すぐに馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
「兄様とは、お前に付き従っていた役立たずの騎士のことか? 馬鹿げたことを! 何の特別な力も持たないただ人がここに来られるわけ……っ!?」
不意に、私とルイス王の間にある、何もない空間が揺らいだ。
「……ほら、やっぱり来てくれた」
「大丈夫か!? ディアナ!」
そして次の瞬間、【黎明】を掲げた兄様が、私を守るように目の前に立ちはだかっていた。
「兄様、【黎明】に主として認められたんだね……」
がりがりと頭をかきむしりながら、ルイス王が血走った目で睨みつける。
「私は我で、我は私だ。神であり、王であり、選ばれた特別な人間なんだ……! 私は、我はこの世界を統べる強力な存在であらねばならぬ。そうであるべきだろう?」
「…………」
「だが、今は力が足りない。実に腹立たしいことこの上ないが私が再びかつてのような畏怖を取り戻す為には、聖女、お前の力が必要だ。お前の補助さえあれば、我はかつてのような強大な神の力を取り戻すことができる。私は世界を統べる王になることができるのだ」
「……なら、ますます協力するわけにはいきませんね」
「なら協力したくなるように仕向けるまでだ……!」
歪んだ顔で高笑いをしながら、ルイス王は私に立てた指をつきつけた。
「かつての神殿を模したこの亜空間の中でなら、我は神としての力を取り戻すことができる……! かつての力とは比べものにはならないはした力だが、お前をこの場に拘束し、考えを代えさせる為には十分過ぎるほどの力だ! 死なないぎりぎりの状態で甚振り続け、お前が自分から私の配下に加えて欲しいと頼みこむように教育してやる!」
「…………」
「言っておくが、この亜空間は我の許可なくば出入りは不可能になっている。誰もお前を助けられぬし、どこにも逃げ場なぞないぞ……!」
ルイス王の言葉に、とっさに手にはめられた指輪を見る。
予言者は、絶体絶命の危機が訪れれば自動で私を聖堂まで転移してくれると言っていたけど、それはこの亜空間でも有効なのだろうか。
指輪は何も反応することなく、指の上で光っていて。とてもじゃないけど、ここを脱出する為に役に立てられそうにない。
それなのに不思議と焦りは感じなかった。
「私に従うのか、ここで苦しみ抜いた上に一人で朽ち果てるか、選ぶがいい!」
「……一人じゃないです」
亜空間を通り抜けられない可能性は、指輪と同じだ。絶対に、作用するという根拠があるわけでもない。
けれど、私には確信があった。
「兄様が、必ず私を助けに来てくれるから」
だって兄様はいつだって、私がピンチの時は駆けつけてくれたから。
ルイス王は一瞬虚を突かれたような表情を浮かべたが、すぐに馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
「兄様とは、お前に付き従っていた役立たずの騎士のことか? 馬鹿げたことを! 何の特別な力も持たないただ人がここに来られるわけ……っ!?」
不意に、私とルイス王の間にある、何もない空間が揺らいだ。
「……ほら、やっぱり来てくれた」
「大丈夫か!? ディアナ!」
そして次の瞬間、【黎明】を掲げた兄様が、私を守るように目の前に立ちはだかっていた。
「兄様、【黎明】に主として認められたんだね……」
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※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
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