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連載2
対決22
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私の言葉に、ルイス王が目を見開いた。
だがすぐに不愉快そうに顔をしかめて、鋭い眼差しで私を睨みつける。
「……我を侮辱するのか」
「侮辱も何も事実でしょう。城全体が【神殿】だと言うなら、何故わざわざ前の神殿を模したものを亜空間に作る必要があるのです? 【神殿】の中全域で神としての力が発揮できるというなら、そんなものを作る必要はないでしょう」
「…………」
「それに……エイドリーが死ぬのも、ユーリアが結晶化するのも、あなたは止めようとはしなかった」
「ふん……何故我が人間ごときの為に動かねばならんのだ。お前らにやられるような脆弱な駒などいらぬ」
「でも、二人はあなたに忠誠を誓っていたのですよ?」
「だから、どうした。あいつらが勝手に我に膝をついただけだ。それに神である我が応えてやる義理なぞ……」
「何を言ってるのです。あるに決まっているでしょう?」
もしルイス王にエイドリーやユーリアを救える力があるなら、彼は二人を絶対に救わなければいけなかった。
【人に作られた神】が、予言者の言うような存在であるのならば。
「忠誠を誓った彼らは、言うならばあなたの信者ですよ? 信仰や畏怖が力になるのならば、誰より強い忠誠を向けてくれる二人を失うわけにはいかないはずです」
ユーリアやエイドリーは、言うならばルイス王の神官だ。
存在そのものが、トリアスの力になる。
それなのに、わざわざ救わなかったわけは、一つしか考えられない。
「あなたは救わなかったんじゃなくて、救えなかったんです。この亜空間から出れば、十分な神としての力を行使できなくなるから」
ルイス王の唇が震えているのが見えた。……どうやら図星だったみたいだ。
「向けられる畏怖が神としての力を強めるのだとしたら、そもそもあなたが元の強大な力を取り戻せるはずがないんです」
トリアスが、国を二分するほどたくさんの人間に信仰されていた昔の力を取り戻せるはずがない。
「だって人々が畏怖を向けるのはルイス王ではなく、【聖女】もしくは【災厄の魔女】ユーリアであり、【狂戦士】エイドリーだから」
それほどの影響力を、ルイス王自身は持っていないから。
だがすぐに不愉快そうに顔をしかめて、鋭い眼差しで私を睨みつける。
「……我を侮辱するのか」
「侮辱も何も事実でしょう。城全体が【神殿】だと言うなら、何故わざわざ前の神殿を模したものを亜空間に作る必要があるのです? 【神殿】の中全域で神としての力が発揮できるというなら、そんなものを作る必要はないでしょう」
「…………」
「それに……エイドリーが死ぬのも、ユーリアが結晶化するのも、あなたは止めようとはしなかった」
「ふん……何故我が人間ごときの為に動かねばならんのだ。お前らにやられるような脆弱な駒などいらぬ」
「でも、二人はあなたに忠誠を誓っていたのですよ?」
「だから、どうした。あいつらが勝手に我に膝をついただけだ。それに神である我が応えてやる義理なぞ……」
「何を言ってるのです。あるに決まっているでしょう?」
もしルイス王にエイドリーやユーリアを救える力があるなら、彼は二人を絶対に救わなければいけなかった。
【人に作られた神】が、予言者の言うような存在であるのならば。
「忠誠を誓った彼らは、言うならばあなたの信者ですよ? 信仰や畏怖が力になるのならば、誰より強い忠誠を向けてくれる二人を失うわけにはいかないはずです」
ユーリアやエイドリーは、言うならばルイス王の神官だ。
存在そのものが、トリアスの力になる。
それなのに、わざわざ救わなかったわけは、一つしか考えられない。
「あなたは救わなかったんじゃなくて、救えなかったんです。この亜空間から出れば、十分な神としての力を行使できなくなるから」
ルイス王の唇が震えているのが見えた。……どうやら図星だったみたいだ。
「向けられる畏怖が神としての力を強めるのだとしたら、そもそもあなたが元の強大な力を取り戻せるはずがないんです」
トリアスが、国を二分するほどたくさんの人間に信仰されていた昔の力を取り戻せるはずがない。
「だって人々が畏怖を向けるのはルイス王ではなく、【聖女】もしくは【災厄の魔女】ユーリアであり、【狂戦士】エイドリーだから」
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