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連載2

対決21

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 全てを捧げて尽くしてきた神の拒絶に、ユーリアは絶叫した。
 いや、絶叫しようとしたようだった。
 けれどその時にはもう、ユーリアは口の所まで結晶化が進んでいて。
 声を発することもできないままに、ただ硬直していた。

 次に鼻が結晶化し、涙で濡れた目も固まっていく。

 そして、次の瞬間には、ユーリアの姿をした一体の石像が、その場に佇んでいた。

「ふん……最後までやかましい女だったな」

 ルイス王は不愉快そうに眉間に皺を寄せながら石像を一瞥すると、再び私に向き直った。

「それで聖女よ。我が軍門に下る覚悟は決まったか?」

「……何故そんなに私を配下に加えたいのですか」

「しれたこと。ユーリアの力は元々、我が与えたもの。【厄】を作り出すことはユーリアに頼らずともできる。だが混沌の神である我では、【厄】が持つ破壊衝動を押さえ込むことは叶わぬ。【厄】が飽和する度、それを納める壊れてもよい【器】を調達せねばならぬ。だがお前の制御の力があれば、飽和した【厄】をそのまま保存し、好きな時に望む【器】に納めることができるだろう」

「……好きな時とは、具体的にどのような時ですか」

「当然、我が野望を邪魔するものが現れた時よ。聖女たるお前にとっても悪い話ではあるまい? お前が我に手を貸すことで、【器】を手配するために罪なき民を殺める必要がなくなるのだからな」

 確かに【厄】の為に無差別に民が殺され続けることを考えたら、ルイス王が望む人物だけが限定して殺される方がまだましかもしれない。
 けれど、それはあくまで「まし」というだけだ。いや、寧ろそっちの方が最悪かもしれない。
 ルイス王の野望は、他国を併合し、向けられる畏怖によって神としての力を増強すること。
 破壊と混乱を好む、混沌の神が支配する世界なんて、ろくなものであるはずがない。

「何故私が、そのような提案を飲むと思うのですか?」

「我の提案を飲む以外の選択肢がお前にあるのか?」

 ルイス王は私の問いを、鼻で笑い飛ばした。

「この城全体が我の【神殿】だ。我がかつての力を取り戻した今、この城の中にいるものは、何人も我に逆らうことはできぬ。お前はこの城に入った瞬間から、我に負けていたのだ」

 嘲るように告げられた言葉が本当なら、待ち受けているのは絶望だけだ。
 ただの人間が、万全な状態の神に叶うはずがない。
 私ができるのは、せいぜいルイス王の隙をついて、自ら命を絶つことくらいだけど、神ならばそれすら防いでしまうかもしれない。

「……【人間に作られた神】は、ずいぶんと嘘つきなのですね」

 そうーールイス王の言葉が、本当ならば。 

「あなたにそんな力なんてあるはずがないのに」
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