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連載2

対決20

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「人間の体の【神体】はいい。神としての本来の力こそ制限されても、どこにでも好きな場所に実体のまま留まることができる」

 ルイス王は得意げに目を細めながら、続けた。

「【神体】に向けられた畏怖は、信仰同様にそのまま我の力となる。たとえ、畏怖を向けたものが我を神として認識していなくとも関係ない。その点、セーヌヴェットの次期王だったこの【器】は、実に都合がよかった」

「王そのものが【神体】だとしたら……もしかしてセーヌヴェットの王城そのものが【神殿】なのですか」  

「その通り」  

 ルイス王は大きく手を広げながら、哄笑した。

「【神体】と【神殿】、そして信仰の代わりである【畏怖】を得た我は、完全に神として復活した! この城の中は我が領域。この中に入った以上お前に勝ち目はない!」

「………」 

「聖女よ。投降し、我に従え。癪ではあるが、利用価値のある道具を生成する能力は、愚弟の方が上だったようだ。お前の力を、我が野望の為に利用してやろう。神の為に役立てることを、光栄に思うといい」

 ルイス王の言葉を、私は冷めた気持ちで聞いていた。

「ルイス王……あなたは」

「っトリアス様、お待ちください!」   

 口にしようとした言葉は、ユーリアの悲痛な叫びによってかき消された。

「その女を配下に加える前に、どうか私をお助けください! さっきは少し油断しただけなんです。どうか結晶化をお解きください。すぐにその女を殺して、私がその女より優れていると証明して見せますからっ!!」

 もはや顔以外は完全に結晶してしまったユーリアが、泣きそうな顔で叫ぶ。
 ルイス王はそんなユーリアに、冷たい眼差しを向けた。

「……聖女からの攻撃を想定することなく、無様に結晶化させられた奴が、よくも自分が優れているなどと言えたものだな」

「申し訳ありません、トリアス様! けれどもう一度チャンスを頂ければ……」

「もう一度? 我はお前に、既に何度もチャンスをやったはずだぞ。【災厄の魔女】として繰り返し転生して、我にかつての力を取り戻させるチャンスを。何度転生を繰り返しても、お前は我の為に【神体】も【神殿】も取り戻すことができなかったな。そのせいで我は、新しい【神体】と【神殿】を用意せねばならなかった」

「申し訳ありません! 申し訳ありません!」

「許さぬ。ユーリア……否、リリス。お前には心底失望した」

 ユーリアの目が、絶望に染まる。

「聖女の力を利用できるのなら、もうお前なぞ必要ない。勝手にここで一人、朽ちていけ」
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