処刑された王女は隣国に転生して聖女となる

空飛ぶひよこ

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連載2

幸せの条件4

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 触れるだけの私のキスとは違って、兄様から仕掛けられたキスは、喰らい尽くすような激しいものだった。
 口の中で兄様の舌が暴れ回って、息ができない。
 酸欠で真っ赤になる私の鼻を、兄様が指先でちょんと触れた。……そうか。鼻で息をすればいいのか。
 必死で鼻で息をしようとしたけど、兄様の舌の動きに奔放されてしまって、呼吸の仕方がわからなくなる。
 困ったな。私はいつも、どんな風に息をしていたのだっけ。

「ーーわかったか、ディアナ。これが異性同士のキスのやり方だ」

 解放された時にはもう、息も絶え絶えだった。……兄様は、こんなキスのやり方をどこで覚えてきたんだろう。兄様に恋人がいたなんて、聞いたことはないのに。
 胸をちりと焦がすような嫉妬心を抱えたまま、必死で呼吸している私に、兄様は険しい眼差しを向けた。

「妹としてではなく、異性として俺の隣にいることを望むのなら、こんなもんじゃ済まないぞ。お前は本当にそれを理解してその言葉を口にしたのか?」

「…………」

「お前が理解しているというなら、俺はやめないぞ。今すぐでも、お前を俺のものにする。たとえお前が後悔しても、だ」

 兄様の指先が、私の口の端から垂れた唾液をそっと拭いとった瞬間、反射的にびくりと体が跳ねた。
 そんな私の反応に、兄様は自嘲するような笑みを浮かべる。

「……そんなの、嫌だろ? 知っているよ。お前はまだまだねんねさんだからな」

 そのままため息を吐いて、兄様は私から離れた。

「少し頭を冷やせ。……あまりに色々なことがあったから、お前もまだ混乱しているんだろ。お前の無事がわかったことだし、俺も自分の部屋で休むよ」

 背を向けてベッドを下りようとした兄様の背中に、手を延ばす。

 ーー駄目だ。このままじゃ、兄様が行ってしまう。

 まだ、私の気持ちを、全然伝えられてないこに。

「ディアナ?」

「……てるよ」

 兄様の服を後ろから掴んだまま、絞りだすように必死に言葉を紡いだ。
 恥ずかしくてたまらないけど、今はそんなことを言っている場合じゃない。

「……赤ちゃんの作り方なら、私も知ってるよ」

 次の瞬間、兄様はぶーっと音を立てて噴出し、そのまま激しく咳き込みだした。

「デ、ディアナ? 何を……」  

「赤ちゃんの作り方なら、ちゃんと知ってるから、大丈夫なの! たとえ兄様がさっきのキスより激しいことをしても!」

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