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マジ天使がやってきた!
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ジーク王子は先ほどまでの余裕のある微笑みも消え、必死に自分を保つのでやっとであった。
『オレ、ここで死ぬかもな。前に暗殺者に狙われた時よりも死が近付いている』
まだジークも10歳にもならない子供なのだ。泣き出さないのは、ジークが王者の素質があり、厳しい王子教育の賜物であろう。
なんとか深呼吸をしてから言葉を発した。
「………本日は、まだ決まっていないシオン令嬢に婚約の申込に来ました」
この地獄の鬼とも言える父親を前に良く言ったとジークは自分を誉めてやりたかった。
カール公爵は向かいのソファーに腰かけると、微笑みながら言った。
(目は笑っていない)
「ほぅ?こちらの了承も得ずに突然きて、礼儀もなってない者が大口を叩くな……」
ゾクッと手の平だけでなく、全身から冷や汗が止まらなかった。後ろの護衛など倒れている者もいるが、誰も気にしなかったくらいである。
「と、突然の無礼は謝ります。しかし、それほど他の者にシオンを取られたくなかったのです!」
「ふむ、その気持ちは少しわかるが、順序を守らねば、欲しい物は手に入らないと知るべきだな。王子と言う立場で、欲しい物が簡単に手に入ると勘違いしていないか?」
「貴方を前にして簡単に手に入るなど誰も思わないでしょう。一国の全ての兵力を動員しなければ無理だと痛感していますよ」
なんとか軽口を叩けるくらいは慣れてきたジークだったが、気が抜けなかった。
「買ってくれるのは嬉しいですな。しかし、シオンはどこぞのバカ王子のせいで傷付いております。さらには、天才画家として才能を伸ばしている最中。正直、万が一………いや、億が一に王子の婚約者となった場合、王妃教育などで時間を取られて、好きな絵が描けなくなると、国の損失になりませんかな?」
離れた席で聞いていたライト王子はグサッグサッと言葉の刃が刺さり机にふっしてしまった。
「はぁ、元気だしなさい。シオンも気にしてないんだから」
「…………ああ。どうしてカール公爵の前にいるのが自分じゃないんだよ」
ジークの今の立場と自分の立場に恨みの声が出る。
「シオンの絵は拝見しました。自分もシオンには好きな絵を描いていて欲しいと思います。シオンと一緒になれるなら王位継承権を辞退する覚悟です」
ここからは兄達と話したのと同じことを言った。
しかし──
「なるほど、まだ若いのに素晴らしい覚悟です。だがまだ甘い。当家の『戦力』を知っていれば適当な爵位を得てシオンを隣国に連れて行っても利益になりますからな」
!?
ジーク王子は顔には出さなかったが、自分の内心を知られていることに驚いた。
「それに、情報の行き違いがあったみたいですな」
「情報の行き違いとは?」
カール公爵は自分の息子達に視線を送り説明するよう促した。
「シオンは、イースト王国の『人間国宝』に認定されたんだ」
!?
「なっ!?」
人間国宝とはその国になくてはならない人物と言うことで、国を出る時など国王の許可が必要になるのだ。他国との王子の婚約など国王が許可しないと無理である。
「いやー、とても良い縁談だと思いますが、残念ですなー!」
ようやく殺気を引っ込めたカール公爵だったが、殴りたくなるくらいうざい顔で言った。
『くっ、ぶん殴りてぇーな!』
流石のジーク王子も怒りを滲ませた。
「…………それに、我が天使にバイ菌を着けた落とし前はまだ着いておりませんが?」
!?
これだけやり込めて、まだ足りないと言うのか!?
「さて、どう落とし前を着けますか?」
カール公爵はスーと立ち上がった。
『殺られる!?』
ジークは『死』を覚悟した。
その時、奇跡が起こった。
いや、天使が舞い降りた。
バンッ!!!
(親子だな)
強く扉を叩いて入ってきたのは、息を切らせて、顔を少し赤くしていたシオンだった。
『『『天使がやってきた!?』』』
部屋の中にいた人々は全員そう思った。
・
・
・
・
・
この小説にまともな感性の持ち主は出てこないのか…………
『オレ、ここで死ぬかもな。前に暗殺者に狙われた時よりも死が近付いている』
まだジークも10歳にもならない子供なのだ。泣き出さないのは、ジークが王者の素質があり、厳しい王子教育の賜物であろう。
なんとか深呼吸をしてから言葉を発した。
「………本日は、まだ決まっていないシオン令嬢に婚約の申込に来ました」
この地獄の鬼とも言える父親を前に良く言ったとジークは自分を誉めてやりたかった。
カール公爵は向かいのソファーに腰かけると、微笑みながら言った。
(目は笑っていない)
「ほぅ?こちらの了承も得ずに突然きて、礼儀もなってない者が大口を叩くな……」
ゾクッと手の平だけでなく、全身から冷や汗が止まらなかった。後ろの護衛など倒れている者もいるが、誰も気にしなかったくらいである。
「と、突然の無礼は謝ります。しかし、それほど他の者にシオンを取られたくなかったのです!」
「ふむ、その気持ちは少しわかるが、順序を守らねば、欲しい物は手に入らないと知るべきだな。王子と言う立場で、欲しい物が簡単に手に入ると勘違いしていないか?」
「貴方を前にして簡単に手に入るなど誰も思わないでしょう。一国の全ての兵力を動員しなければ無理だと痛感していますよ」
なんとか軽口を叩けるくらいは慣れてきたジークだったが、気が抜けなかった。
「買ってくれるのは嬉しいですな。しかし、シオンはどこぞのバカ王子のせいで傷付いております。さらには、天才画家として才能を伸ばしている最中。正直、万が一………いや、億が一に王子の婚約者となった場合、王妃教育などで時間を取られて、好きな絵が描けなくなると、国の損失になりませんかな?」
離れた席で聞いていたライト王子はグサッグサッと言葉の刃が刺さり机にふっしてしまった。
「はぁ、元気だしなさい。シオンも気にしてないんだから」
「…………ああ。どうしてカール公爵の前にいるのが自分じゃないんだよ」
ジークの今の立場と自分の立場に恨みの声が出る。
「シオンの絵は拝見しました。自分もシオンには好きな絵を描いていて欲しいと思います。シオンと一緒になれるなら王位継承権を辞退する覚悟です」
ここからは兄達と話したのと同じことを言った。
しかし──
「なるほど、まだ若いのに素晴らしい覚悟です。だがまだ甘い。当家の『戦力』を知っていれば適当な爵位を得てシオンを隣国に連れて行っても利益になりますからな」
!?
ジーク王子は顔には出さなかったが、自分の内心を知られていることに驚いた。
「それに、情報の行き違いがあったみたいですな」
「情報の行き違いとは?」
カール公爵は自分の息子達に視線を送り説明するよう促した。
「シオンは、イースト王国の『人間国宝』に認定されたんだ」
!?
「なっ!?」
人間国宝とはその国になくてはならない人物と言うことで、国を出る時など国王の許可が必要になるのだ。他国との王子の婚約など国王が許可しないと無理である。
「いやー、とても良い縁談だと思いますが、残念ですなー!」
ようやく殺気を引っ込めたカール公爵だったが、殴りたくなるくらいうざい顔で言った。
『くっ、ぶん殴りてぇーな!』
流石のジーク王子も怒りを滲ませた。
「…………それに、我が天使にバイ菌を着けた落とし前はまだ着いておりませんが?」
!?
これだけやり込めて、まだ足りないと言うのか!?
「さて、どう落とし前を着けますか?」
カール公爵はスーと立ち上がった。
『殺られる!?』
ジークは『死』を覚悟した。
その時、奇跡が起こった。
いや、天使が舞い降りた。
バンッ!!!
(親子だな)
強く扉を叩いて入ってきたのは、息を切らせて、顔を少し赤くしていたシオンだった。
『『『天使がやってきた!?』』』
部屋の中にいた人々は全員そう思った。
・
・
・
・
・
この小説にまともな感性の持ち主は出てこないのか…………
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