92 / 109
許してあげてっ!?
しおりを挟む
シオンの絵が強奪された事はその日の内に国王の所まで伝わった。
「なんだと!?おい!私に報告する前に、全ての検問所に通達したんだろうなっ!なに!まだだと!すぐに閉鎖して国外………いや、王都から逃がすなっ!!!」
シオンが絵を渡したのは学校が終わった後なので夕方前、時間にして16時頃である。
馬車にて、バーニングハート公爵家に向う途中で、人通りの少なくなる田畑が広がる街道で襲われた。馬車には3人の護衛も着いていました。
しかし、1番に馬車を操縦している従者を人質に取られて、動けない内に薬で眠らされたそうです。
使用人は必死に絵を守ろうと抱き抱えていたことで乱暴されたのです。
そして──
「失態だったな」
「「「申し訳ございません!!!」」」
護衛の騎士達は平伏して侘びていた。
目の前にはシオンの父親であるカール公爵が黒いオーラを出しながら座っていた。
「お前達はまだシオンの絵の価値を理解していなかったのか?」
護衛の騎士達は激しく首を横に振った。
「いいや、理解していない!今回、お前達や従者が無事だったのは相手が大事にしたくなかったからだ。絵を盗まれただけと、死傷者が出たのでは、調査の本気度が変わってくるからだ」
カール公爵はここで話を区切った。
「だが、それは相手の都合に過ぎん!もし絵が見つからなければこの国が滅ぶかも知れないのだぞ!」
!?
いやいや、それは言い過ぎでは?と、普通は思うが、騎士達は心当たりがあり、真っ青な顔が真っ白になっていた。
「………ようやく気付いたか。『あの方々』が動きだすぞ」
騎士達はガバッと立ち上がると素早く腰をくの字に曲げて大声で叫んだ。
「この度の失態、命を賭けてお詫び申し上げます!ただ、絵が無事に見つかるまでは調査に加えて下さい!!!」
カール公爵はため息を付きながら許可した。
「お前達は貴重な目撃者だからな。調査に協力しろ。罰としてあの方々の側に付いて指示を仰げ」
騎士達はその罰の恐ろしさに大量の冷や汗を描いていた。
「俺達……死んだ…………」
ドナドナ~される感じで部屋を後にするのだった。
そしてガゼボテラスに向かうと──
「よく顔を出せたな?まだ死んでいなかったのか?」
赤髪の女性、古龍ファフニールは騎士達の訓練を見ている。その面倒を見ている騎士達の失態なのだ。機嫌が悪いのは当然だろう。
「まぁまぁ、失態はしましたが、生きていれば挽回できるチャンスもありますから。短気は起こさないでね」
アクエリアスは騎士達を庇った。
しかし──
「──でも、盗まれたのが私のお気に入りの絵だったのは頂け無いわね?」
急に周囲の空気が重くなった。騎士達は血の気の無い顔で涙を流しながら謝った。
しかしアクエリアスや古龍の母親達はしばらく無言でみていた。そのプレッシャーで倒れそうになった時、とある者がやってきた。
「お待ち下さい!全ては私のせいなのです!私はどうなっても構いません!どうか騎士様達に寛大なご処置をお願い致します!」
飛び込んできたのは馬車を操縦していた従者と絵を預かった使用人であった。
そして前にくると土下座をするのだった。
「黙れ。騎士達の性分はお前達を守り、絵を守るのが仕事だった。その両方を守れなかったのは職務怠慢としかいえん」
まったくの正論であった。
「しかし、騎士様は真っ先に人質となった私の命を守るためにあえて汚名を被ったのです!この後、どうなるかわかった上で。どうか私の命に免じてお許し下さい!」
必死に頼み込む二人に深いため息を着いた。
「本当にこの公爵家の人間達はな…………」
「そうね。悔しいことに人望が厚いのが玉にキズよね」
古龍の二人は『理解』していた。
ただの職務怠慢ならあっさり殺していただろう。しかし、人命のために騎士の1番の職務である人の命を守る為に敢えて動かなかったと理解しているのだ。
そして使用人や従者も公爵家に忠誠を誓っている事も理解していた。
「お前達は運が良かっただけだ。騎士達が手を出さなく殺されていたら、人質となったお前達も殺されていた。少なくとも従者1人を犠牲にして絵と使用人を守るのがベストだったのだ」
「それは………理解しておりました」
騎士の1人が絞るような声で話した。
「ならばどうしてそうしなかった?」
「……シオンお嬢様が悲しむからです」
!?
アクエリアスと古龍の二人は目を開いた。
「馬車を操縦する従者はいつもお嬢様を送迎しており、シオンお嬢様はいつも御礼を言っていました。たまにお土産など渡しておりましたので」
今度は大精霊のアクエリアスが尋ねた。
「どうしてそれを最初に言わなかったのかしら?」
「シオンお嬢様のせいにしたくなかったからです!お嬢様を悲しませるくらいなら命を捨てる覚悟は出来ております」
騎士達の返答にこれだからシオンはと、小さく呟いた。
「わかった。せっかく拾った命だ。大事にしろ。現在、絵の行方を追っている。アクエリアスの状態保存の魔力を辿ればおおよその場所が分かる。おまえ達も着いてこい!」
「「「はっ!!!」」」
こうしてこの世界の最強の生物達が動きだした。
「なんだと!?おい!私に報告する前に、全ての検問所に通達したんだろうなっ!なに!まだだと!すぐに閉鎖して国外………いや、王都から逃がすなっ!!!」
シオンが絵を渡したのは学校が終わった後なので夕方前、時間にして16時頃である。
馬車にて、バーニングハート公爵家に向う途中で、人通りの少なくなる田畑が広がる街道で襲われた。馬車には3人の護衛も着いていました。
しかし、1番に馬車を操縦している従者を人質に取られて、動けない内に薬で眠らされたそうです。
使用人は必死に絵を守ろうと抱き抱えていたことで乱暴されたのです。
そして──
「失態だったな」
「「「申し訳ございません!!!」」」
護衛の騎士達は平伏して侘びていた。
目の前にはシオンの父親であるカール公爵が黒いオーラを出しながら座っていた。
「お前達はまだシオンの絵の価値を理解していなかったのか?」
護衛の騎士達は激しく首を横に振った。
「いいや、理解していない!今回、お前達や従者が無事だったのは相手が大事にしたくなかったからだ。絵を盗まれただけと、死傷者が出たのでは、調査の本気度が変わってくるからだ」
カール公爵はここで話を区切った。
「だが、それは相手の都合に過ぎん!もし絵が見つからなければこの国が滅ぶかも知れないのだぞ!」
!?
いやいや、それは言い過ぎでは?と、普通は思うが、騎士達は心当たりがあり、真っ青な顔が真っ白になっていた。
「………ようやく気付いたか。『あの方々』が動きだすぞ」
騎士達はガバッと立ち上がると素早く腰をくの字に曲げて大声で叫んだ。
「この度の失態、命を賭けてお詫び申し上げます!ただ、絵が無事に見つかるまでは調査に加えて下さい!!!」
カール公爵はため息を付きながら許可した。
「お前達は貴重な目撃者だからな。調査に協力しろ。罰としてあの方々の側に付いて指示を仰げ」
騎士達はその罰の恐ろしさに大量の冷や汗を描いていた。
「俺達……死んだ…………」
ドナドナ~される感じで部屋を後にするのだった。
そしてガゼボテラスに向かうと──
「よく顔を出せたな?まだ死んでいなかったのか?」
赤髪の女性、古龍ファフニールは騎士達の訓練を見ている。その面倒を見ている騎士達の失態なのだ。機嫌が悪いのは当然だろう。
「まぁまぁ、失態はしましたが、生きていれば挽回できるチャンスもありますから。短気は起こさないでね」
アクエリアスは騎士達を庇った。
しかし──
「──でも、盗まれたのが私のお気に入りの絵だったのは頂け無いわね?」
急に周囲の空気が重くなった。騎士達は血の気の無い顔で涙を流しながら謝った。
しかしアクエリアスや古龍の母親達はしばらく無言でみていた。そのプレッシャーで倒れそうになった時、とある者がやってきた。
「お待ち下さい!全ては私のせいなのです!私はどうなっても構いません!どうか騎士様達に寛大なご処置をお願い致します!」
飛び込んできたのは馬車を操縦していた従者と絵を預かった使用人であった。
そして前にくると土下座をするのだった。
「黙れ。騎士達の性分はお前達を守り、絵を守るのが仕事だった。その両方を守れなかったのは職務怠慢としかいえん」
まったくの正論であった。
「しかし、騎士様は真っ先に人質となった私の命を守るためにあえて汚名を被ったのです!この後、どうなるかわかった上で。どうか私の命に免じてお許し下さい!」
必死に頼み込む二人に深いため息を着いた。
「本当にこの公爵家の人間達はな…………」
「そうね。悔しいことに人望が厚いのが玉にキズよね」
古龍の二人は『理解』していた。
ただの職務怠慢ならあっさり殺していただろう。しかし、人命のために騎士の1番の職務である人の命を守る為に敢えて動かなかったと理解しているのだ。
そして使用人や従者も公爵家に忠誠を誓っている事も理解していた。
「お前達は運が良かっただけだ。騎士達が手を出さなく殺されていたら、人質となったお前達も殺されていた。少なくとも従者1人を犠牲にして絵と使用人を守るのがベストだったのだ」
「それは………理解しておりました」
騎士の1人が絞るような声で話した。
「ならばどうしてそうしなかった?」
「……シオンお嬢様が悲しむからです」
!?
アクエリアスと古龍の二人は目を開いた。
「馬車を操縦する従者はいつもお嬢様を送迎しており、シオンお嬢様はいつも御礼を言っていました。たまにお土産など渡しておりましたので」
今度は大精霊のアクエリアスが尋ねた。
「どうしてそれを最初に言わなかったのかしら?」
「シオンお嬢様のせいにしたくなかったからです!お嬢様を悲しませるくらいなら命を捨てる覚悟は出来ております」
騎士達の返答にこれだからシオンはと、小さく呟いた。
「わかった。せっかく拾った命だ。大事にしろ。現在、絵の行方を追っている。アクエリアスの状態保存の魔力を辿ればおおよその場所が分かる。おまえ達も着いてこい!」
「「「はっ!!!」」」
こうしてこの世界の最強の生物達が動きだした。
23
あなたにおすすめの小説
土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~
にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。
「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。
主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。
冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。
婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ
あげは
ファンタジー
「私は、ユミエラとの婚約を破棄する!」
学院卒業記念パーティーで、婚約者である王太子アルフリードに突然婚約破棄された、ユミエラ・フォン・アマリリス公爵令嬢。
家族にも愛されていなかったユミエラは、王太子に婚約破棄されたことで利用価値がなくなったとされ家を勘当されてしまう。
しかし、ユミエラに特に気にした様子はなく、むしろ喜んでいた。
これまでの生活に嫌気が差していたユミエラは、元孤児で転生者の侍女ミシェルだけを連れ、その日のうちに家を出て人のいない森の奥に向かい、森の中でカフェを開くらしい。
「さあ、ミシェル! 念願のスローライフよ! 張り切っていきましょう!」
王都を出るとなぜか国を守護している神獣が待ち構えていた。
どうやら国を捨てユミエラについてくるらしい。
こうしてユミエラは、転生者と神獣という何とも不思議なお供を連れ、優雅なスローライフを楽しむのであった。
一方、ユミエラを追放し、神獣にも見捨てられた王国は、愚かな王太子のせいで混乱に陥るのだった――。
なろう・カクヨムにも投稿
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
あーもんど
恋愛
ある日、悪役令嬢に憑依してしまった主人公。
困惑するものの、わりとすんなり状況を受け入れ、『必ず幸せになる!』と決意。
さあ、第二の人生の幕開けよ!────と意気込むものの、人生そう上手くいかず……
────えっ?悪役令嬢って、家族と不仲だったの?
────ヒロインに『悪役になりきれ』って言われたけど、どうすれば……?
などと悩みながらも、真っ向から人と向き合い、自分なりの道を模索していく。
そんな主人公に惹かれたのか、皆だんだん優しくなっていき……?
ついには、主人公を溺愛するように!
────これは孤独だった悪役令嬢が家族に、攻略対象者に、ヒロインに愛されまくるお語。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜
みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。
…しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた!
「元気に育ってねぇクロウ」
(…クロウ…ってまさか!?)
そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム
「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ
そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが
「クロウ•チューリア」だ
ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う
運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる
"バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う
「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と!
その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ
剣ぺろと言う「バグ技」は
"剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ
この物語は
剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語
(自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!)
しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない
神々に見捨てられし者、自力で最強へ
九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。
「天職なし。最高じゃないか」
しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。
天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。
異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい
木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。
下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。
キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。
家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。
隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。
一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。
ハッピーエンドです。
最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる