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第4章 どんな姿でも
未来の叔父さん
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この後に続く尚希の話。
それに、実は息を飲んで硬直することになる。
「オレもさ、必死に勉強しながら、心のどこかではずっと思ってた。……どうせ食い殺されるのに、未来のために必死になって何になるんだろうってな。」
「―――っ!!」
「とはいえ、そんな後ろ向きな気持ちの中に、届かない未来に憧れる気持ちもほんのちょっとあってさ。……ほんと、複雑だよな。諦めながら生きるのっては。」
尚希は持っていた紙とペンを机に置くと、言葉を失っている実にそっと近寄った。
「でも、今は違う。当たり前に未来を考えることができるし、未来を語れることがすごく楽しくて嬉しいんだ。実にも、早くこの気持ちを感じさせてやりたいな。そのためなら、どんな協力も惜しまないつもりだ。」
尚希は目元を和らげ、実の髪を優しく梳いた。
同じ気持ちを知っているからこそ、強く強く願ってしまう。
今自分が感じている晴れやかな気持ちを、実にも感じることができる日が来てほしいと。
そんな尚希の心情を感じ取ってしまい、実はとっさに顔を背けた。
「よく、そんなことが言えますよね。……所詮は、他人なのに。」
辛辣な言葉を吐きながら、ソファーに寝転がる。
肘かけを抱えるように手を回し、その腕の中に顔をうずめた。
だめだ。
これ以上、尚希の顔を見ていられない。
ただでさえ、心が大きく揺れているのが分かる。
脳裏にひらめく彩り。
聴覚を掻き乱すノイズ。
これ以上は考えちゃいけない。
これ以上は―――
「強情だなぁ……」
尚希は、どこか呆れたような息を吐いた。
だが、頭をなでる手には優しさがこもっていて、それを敏感に感じてしまったからこそ、実は顔を上げることができなかった。
「でもさ。」
実の内心を知ってか知らずか、尚希はそこでガラリと口調を変えた。
「他人っていうのは言いすぎじゃないか?」
「……本当のことじゃないですか。」
自分でも過ぎた言葉だと理解していたので胸が痛んだが、実は意地を通してそう言い切った。
しかし、尚希は別にこちらを責める意味でそう言ったわけではなかったらしい。
「どうだかねぇー。」
含みのある尚希の声は、何やら意地の悪そうな響きを伴っているように聞こえる。
「……何が言いたいんですか?」
無視するのも気持ち悪くなって、実は顔だけを尚希に向ける。
振り向いた先にあった尚希の顔は、想像どおり意味ありげな笑みに彩られていた。
「だって、オレがエーリリテと結婚したら―――オレは、お前の義理の叔父さんってことになるんだぞ?」
「………」
実は、時の流れが遅くなってしまったかのように、やたらとゆっくりまばたきを繰り返した。
尚希の言葉を脳内で噛み締め、自分の知識を当てはめて事実確認。
「………………うっわ!?」
出た言葉がこれである。
思わず飛び上がって目を白黒させる実の反応に、笑いのツボを大いに刺激されたようだ。
尚希は小さく噴き出すと、そのまま腹を抱えて笑い始めた。
「なんだよそれ。ちょっと考えれば分かるだろうが。」
「いやいや、そんなこと考えませんって!」
即座に反論したが、尚希の笑い声は収まるどころかむしろ大きくなっていく。
本人も笑うのを抑えようとしているようだが、何が面白いのか、なかなか笑い声を止められないようだった。
「ま、そういうわけだからさ。」
なんとか落ち着くことに成功した尚希は、目の端に浮いた涙を拭うと、実に向かって満面の笑みを向けた。
「改めてよろしくな。未来の甥っ子君?」
他人ではなくなるのだから、さっきまでの言葉は大袈裟ではないだろう?
清々しいほどに爽やかな笑顔が、そう語りかけてくる。
実は何も言い返すことができず、口をパクパクとさせていた。
これまで一切そんなことを考えたこともなかったので、珍しく思考回路が軽くショートしていたのだ。
今までも他人とは思えないほど世話を焼いてきたというのに、そこにいずれ親戚という大義名分がくっついてくるかと思うと、尚希の世話焼きに拍車がかかりそうで怖い。
「うわぁ……なんか複雑。」
「ほんとにな。」
脱力してソファーに身を沈める実に、尚希は笑いながら同意した。
「そういえば、拓也はまだ起きてこないのか? あいつにしては珍しいな。」
ふと疑問に思ったのだろう。
尚希の呟きに、実は全力で乗っかることにした。
とにかく、今はどんな些細なことでもいいから話題を逸らしたかった。
それに、実は息を飲んで硬直することになる。
「オレもさ、必死に勉強しながら、心のどこかではずっと思ってた。……どうせ食い殺されるのに、未来のために必死になって何になるんだろうってな。」
「―――っ!!」
「とはいえ、そんな後ろ向きな気持ちの中に、届かない未来に憧れる気持ちもほんのちょっとあってさ。……ほんと、複雑だよな。諦めながら生きるのっては。」
尚希は持っていた紙とペンを机に置くと、言葉を失っている実にそっと近寄った。
「でも、今は違う。当たり前に未来を考えることができるし、未来を語れることがすごく楽しくて嬉しいんだ。実にも、早くこの気持ちを感じさせてやりたいな。そのためなら、どんな協力も惜しまないつもりだ。」
尚希は目元を和らげ、実の髪を優しく梳いた。
同じ気持ちを知っているからこそ、強く強く願ってしまう。
今自分が感じている晴れやかな気持ちを、実にも感じることができる日が来てほしいと。
そんな尚希の心情を感じ取ってしまい、実はとっさに顔を背けた。
「よく、そんなことが言えますよね。……所詮は、他人なのに。」
辛辣な言葉を吐きながら、ソファーに寝転がる。
肘かけを抱えるように手を回し、その腕の中に顔をうずめた。
だめだ。
これ以上、尚希の顔を見ていられない。
ただでさえ、心が大きく揺れているのが分かる。
脳裏にひらめく彩り。
聴覚を掻き乱すノイズ。
これ以上は考えちゃいけない。
これ以上は―――
「強情だなぁ……」
尚希は、どこか呆れたような息を吐いた。
だが、頭をなでる手には優しさがこもっていて、それを敏感に感じてしまったからこそ、実は顔を上げることができなかった。
「でもさ。」
実の内心を知ってか知らずか、尚希はそこでガラリと口調を変えた。
「他人っていうのは言いすぎじゃないか?」
「……本当のことじゃないですか。」
自分でも過ぎた言葉だと理解していたので胸が痛んだが、実は意地を通してそう言い切った。
しかし、尚希は別にこちらを責める意味でそう言ったわけではなかったらしい。
「どうだかねぇー。」
含みのある尚希の声は、何やら意地の悪そうな響きを伴っているように聞こえる。
「……何が言いたいんですか?」
無視するのも気持ち悪くなって、実は顔だけを尚希に向ける。
振り向いた先にあった尚希の顔は、想像どおり意味ありげな笑みに彩られていた。
「だって、オレがエーリリテと結婚したら―――オレは、お前の義理の叔父さんってことになるんだぞ?」
「………」
実は、時の流れが遅くなってしまったかのように、やたらとゆっくりまばたきを繰り返した。
尚希の言葉を脳内で噛み締め、自分の知識を当てはめて事実確認。
「………………うっわ!?」
出た言葉がこれである。
思わず飛び上がって目を白黒させる実の反応に、笑いのツボを大いに刺激されたようだ。
尚希は小さく噴き出すと、そのまま腹を抱えて笑い始めた。
「なんだよそれ。ちょっと考えれば分かるだろうが。」
「いやいや、そんなこと考えませんって!」
即座に反論したが、尚希の笑い声は収まるどころかむしろ大きくなっていく。
本人も笑うのを抑えようとしているようだが、何が面白いのか、なかなか笑い声を止められないようだった。
「ま、そういうわけだからさ。」
なんとか落ち着くことに成功した尚希は、目の端に浮いた涙を拭うと、実に向かって満面の笑みを向けた。
「改めてよろしくな。未来の甥っ子君?」
他人ではなくなるのだから、さっきまでの言葉は大袈裟ではないだろう?
清々しいほどに爽やかな笑顔が、そう語りかけてくる。
実は何も言い返すことができず、口をパクパクとさせていた。
これまで一切そんなことを考えたこともなかったので、珍しく思考回路が軽くショートしていたのだ。
今までも他人とは思えないほど世話を焼いてきたというのに、そこにいずれ親戚という大義名分がくっついてくるかと思うと、尚希の世話焼きに拍車がかかりそうで怖い。
「うわぁ……なんか複雑。」
「ほんとにな。」
脱力してソファーに身を沈める実に、尚希は笑いながら同意した。
「そういえば、拓也はまだ起きてこないのか? あいつにしては珍しいな。」
ふと疑問に思ったのだろう。
尚希の呟きに、実は全力で乗っかることにした。
とにかく、今はどんな些細なことでもいいから話題を逸らしたかった。
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