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廃村 心霊スポット巡り⑮
しおりを挟む私と透が恐怖で動けない中、祐司君が思いがけない行動に出る。
「何か?」
突然助手席の窓を開け、老婆に話し掛けのだ。
私達は呆気に取られ、言葉が出て来なかった。
「いやぁ、あんちゃん何か調子悪そうだね?ちょっと戻った所に儂の家がある。休んでいかんね?」
笑顔で老婆が尋ねるが、私は微かに首を振っていた。
それは老婆からの提案に対してというより、早くその窓を閉めてくれと、祐司君に訴えていたんだと思う。
「いやぁ有り難いけど、早く家に帰りたいからもう行きますよ」
祐司君がそう言うや否や、透が車を発進させる。
「そうか、ちゃんと帰れるかいね?」
去り際老婆の言葉が耳に入り、思わず私は老婆を見つめた。
老婆は相変わらず人の良さそうな笑みを浮かべており、私は思わず背筋が凍りつくような思いだった。
車はそのまま県道からメインである大きな国道に合流し、私達は何処かに寄り道をする事もなくそのまま祐司君のアパートまで帰って来た。
停めていた透の車と祐司君の車を入れ替えると、まだ何処か上の空の祐司君に声を掛ける。
「おい、祐司。俺達帰るけど、お前大丈夫だよな?」
「何言ってるんだよ?大丈夫に決まってるだろ?ちょっと疲れただけさ」
私達の心配を他所に、祐司君は笑っていた。その笑顔を見て私は一抹の不安を感じたが、その日はそのまま別れる事になった。
私のアパートに向かう車内は特に会話もなく、まだ重い雰囲気に包まれていた。
「ねぇ、今日も泊まっていってくれるよね?」
私がお願いするように尋ねると、透は「ああ勿論」と笑って答えていた。
私達はアパートに戻って来るとシャワーを浴びてさっさと就寝の準備に入る。
一緒にベッドに入り「おやすみ」と互いに言葉を交わし眠りについた。
透と共に眠りについた私だったが、気が付くと暗い山中に立っており、戸惑い周りを見渡すと崩れた家屋等が目についた。
ここはまさか……廃村――?
困惑しながら歩いて行くと例の黒ずんだ小さな廃屋が視界に入った。
私が廃屋から発する異質な恐怖を感じ立ち尽くしていた時、廃屋から一人の女の子が姿を現す。
女の子は前髪がまっすぐ揃えられたおかっぱ頭でえんじ色の着物に身を包んでおり、まっすぐ私の事を見つめていた。
その表情は、怒るでもなく悲しむでもなく、言うなれば完全なる無表情だった。
そんな無表情のまままっすぐ見つめてくる女の子があまりにも不気味で私は恐怖のあまり逃げ出した。
暗い廃村の中を走り、逃げ出した私だったが、振り返ると女の子は表情を変えることなく無表情のまま私を見つめ追いかけて来る。
私は全力で走り逃げようとするが、女の子を振り切る事は出来ず、徐々にその距離は近付いていた。
私は恐怖でおかしくなりそうだった。
だがそんな時、何処からともなく私を呼ぶ声が聞こえてきた。
「……真咲……真咲!」
はっと気付くと心配そうに私の顔を覗き込む透と目が合った。
「……透!……怖かったよ!」
私は咄嗟に透に抱きつき思わず叫んでしまう。
「大丈夫か?かなりうなされてたぞ」
そう言って透は混乱する私を優しく抱きしめてくれた。
透の言葉を聞き、少し落ち着いた私はようやくそこで夢を見ていたんだと気付いた。
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