怖いお話。短編集

赤羽こうじ

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廃村 心霊スポット巡り⑭

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 そうして私達を乗せた車はゆっくりと獣道を進み、暫くして細い県道へと戻って来た。

「……これ、どっちだったっけ?」

 県道に入る所で祐司君が問い掛ける。
 私達が来たのは明らかに右方向であり、こんなほぼ一本道のような単純な道順を尋ねられて、私と透は一瞬顔を見合わせる。

「いや、右だろ。大丈夫か?」

 真剣な表情で透が問い掛ける。今は来た時と違い日も落ち暗くなってるとはいえ、こんな単純な道がわからないなんて事は普段の祐司君では考えられなかった。

「はは、大丈夫さ。一応聞いただけだから」

 祐司君は気にする様子もなく笑っていた。

 そして車内は妙な緊張感に包まれたまま細い県道を走って行く。
 獣道から県道に出たとはいえ、この県道は車一台分ぐらいの幅しかなく、その上他の車なんかは走っていない為、明かりといえば私達の車のヘッドライトぐらいだった。

 そうしてそんな細い県道を走って暫くした時だった。
 祐司君が突然車を停めてハンドルに寄りかかった。

「おい、どうした?」

 慌てて透が声を掛けるが、祐司君は虚ろな目をしたまま車のヘッドライトが照らす真っ暗な県道をまっすぐ見つめていた。

「……いやぁ、何か疲れたなぁ……少し休憩しないか?」

 こんな何もない真っ暗な細い県道でそんな事を言う祐司君に、私達は言葉を失った。
 確かに他の車が来そうにないとはいえ、こんな所で堂々と車を停めて休憩する訳にはいかない。

「……いや、疲れるのもわかるけど。だったら俺が運転代わってやるよ」

 そう言って透は車を降り、運転席へと回り込んだ。
 そして祐司君は透の提案に素直に従い助手席へと移った。

 そうして透が車内のバックミラーを整えていた時だった。

「えっ……何だ?」

 バックミラーを覗く透の表情がみるみる困惑に満ちていく。
 何があったのか聞こうとした時、私にもその理由がすぐにわかった。
 バックミラーには後ろから歩いてくる人影がすぐそこに映っていた。
 そしてその人影は車に近付き、助手席の横までやって来ると足を止めゆっくりと中を覗き込んできた。

 それはにこやかな笑みを浮かべた老婆だった。
 
 私は怖くて仕方なかった。透の顔を見ても恐怖のせいか顔を強ばらせていた。

 それもその筈だ。私達が今いる県道は左側が急斜面で右側は断崖絶壁の崖になっている。そして道幅は車一台分ぐらいの幅しかない。

 なのに今助手席側からにこやかに覗き込んでいる老婆は私達の後ろから現れた。
 こんな暗い道で老婆が一人歩いていたら目に付く筈だ。だけどこんな一本道で私達は歩いている老婆を追い抜いたりしていない。

 この老婆は一体何処から――?

 私の恐怖心はどんどん高まり、呼吸も荒くなっていった。
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