独身おじさんの異世界おひとりさまライフ〜金や評価は要りません。コーヒーとタバコ、そして本があれば最高です〜

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第1章 おじさんと異世界の人々

第3話

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翌朝。

軽く伸びをして、小屋を出た俺は、昨日作った畑を眺めた。

「……やっぱ、悪くねえな」

コーヒーの木も、煙草の葉も、朝露をまとって瑞々しく輝いている。万能生成スキルの育成効果が効きすぎてる気もするが、細かいことは気にしない。

もう少し畑を広げたほうがいいかもしれない。コーヒー豆も煙草葉も、消耗品だ。俺が満足する量を確保するには、いまの倍はいる。

俺は万能生成スキルを使って、畑の拡張を始めた。雑草や小石を取り除き、土をふかふかに耕し、種をまく。その作業も、意外と悪くない。

「まあ、サボらず世話はしねえとな……」

ぼそりと呟いて、種に軽く水をやる。 不思議なもので、こういう地道な作業も、やってみると案外楽しい。なにより、誰にも邪魔されない。この自由こそ、俺が一番欲しかったものだ。



昼前。

「よし、今日も一杯やるか」

俺は小屋に戻り、昨日収穫したコーヒー豆を手挽きミルに放り込んだ。ごりごりと心地よい音を立てながら、豆を挽いていく。

湯を沸かし、丁寧にドリップする。立ちのぼる香りに、自然と顔がほころんだ。

一口含む。

「……うん。やっぱ、うめえな」

昨日よりも少しだけ、味に深みが出ている気がする。豆の熟成が進んだせいかもしれない。いや、たぶん、俺が淹れる手つきに慣れたからだ。

煙草も、昨日とは違う品種を試してみた。こっちはやや苦味が強いが、その分、吸いごたえがあった。

「ふぅー……」

紫煙を吐き出しながら、木の丸太にもたれかかる。

たったこれだけのことで、俺は今、心から満たされている。



そのときだ。

「おーい!」

不意に、遠くから声が聞こえた。どうやら、村の誰かがこっちに向かってきている。

「……んだ?」

俺は身を起こし、声のほうを見た。

近づいてきたのは、見覚えのある顔。村の若者、ギルという奴だ。筋肉質で、日に焼けた顔をしている。

「おっさん、ここにいたのか!」

ギルは息を切らせながら駆け寄ってきた。

「村長が呼んでるぞ。ちょっと手伝ってほしいってよ」

「手伝い、ねぇ……何やるんだ?」

「んー、羊が逃げたとかなんとか。おっさん、体力ありそうだしさ!」

「……俺、農作業要員じゃなかったか?」

肩をすくめて見せると、ギルはにやにや笑った。

「ま、硬ぇこと言うなよ。すぐ終わるって!」

ったく。面倒事はごめんだが、村に世話になってる以上、無碍にもできねえ。

「わかったよ。どこ行きゃいい?」

「村の広場! すぐ来てくれよな!」

ギルはそう言い残して、また走り出していった。

俺は一息ついてから、煙草の火をもみ消し、立ち上がった。

「……まあ、体動かすのもたまにはいいか」

コーヒーカップを丸太の上に置き、腰の後ろで手を組んで、のんびりと村へ向かう。

──とはいえ、早く終わらせて、またコーヒー淹れたいところだ。
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