社畜だった俺、最弱のダンジョンマスターに転生したので、冒険者を癒やす喫茶店ダンジョンを経営します

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「ふぅ……」
俺は、安心のため息をついた。
最強の盾は、こうして見事にできあがったのだ。
ガルドは、子供みたいにとても喜んでいる。
これで、俺の面倒な仕事もやっと終わった。

「さてとガルドさん、約束通りに俺はこれで帰りますよ」
俺が工房の出口へ向かうと、ガルドが慌てた様子で俺の腕をつかんだ。

「待て待てケンジ、まだ話は終わってなんかねえぞ」
「え? 何か、まだ用事が残っているんですか」
俺は、すごく嫌な予感がした。
このドワーフは、いつもろくなことを言わない。

「おうよ、この完成した盾を王都にいる依頼主に届けなきゃならねえ」
ガルドが、さも当たり前だという顔で言う。

「それは、あんたの仕事でしょう。俺には、全く関係のない話のはずです」
俺が、きっぱりと断ると、ガルドはにやりと意地悪そうに笑った。

「そうはいかねえ相談だぜ、ケンジ。この盾はな、お前のその不思議な力があってこそ初めて完成したもんだ。つまりお前さんも、この盾の立派な制作者の一人ってことよ」

「……いったい、何を言いたいんですか」

「決まってんだろ、王都に俺と一緒に行くんだよ。そして依頼主である宰相様のお嬢様に、この盾のすごさをお前の口からしっかり説明するのさ」
とんでもないことを、このドワーフは言い出した。
俺は、知らない人の前に出るのが昔から苦手なのだ。
ましてや相手は、この国の宰相の娘だという。
そんな、雲の上の人の前で、俺がまともに話せる自信は全くなかった。

「嫌です、絶対に行きませんから」
俺が、はっきりと断ると、ガルドはふんと大げさに鼻を鳴らした。

「ほうそうかい、だったら俺も約束をなしにさせてもらうしかねえなあ。お前の店の、あの厨房設備の話はきれいさっぱりなしだ」
彼は、一番効果のある交渉のカードを切ってきた。
なんという、卑怯で汚い男だろうか。
俺は、あの世界最高の厨房設備を手に入れるため、ただそれだけのためにここまで協力したというのに。

「……汚いですよ、ガルドさん。本当に、大人気ない」
俺が、心の底から軽蔑するような目でじろりと睨む。
彼は、がははと少しも悪びれることなく豪快に笑った。
「うるせえ、大人の世界はなあそもそも汚ねえもんなんだよ。それに、お前さんにとっても決して悪い話じゃねえはずだぜ」

「どういう、意味です?」

「王都に行けば、そりゃあ色々なもんが見れる。お前さんの、あの喫茶店の経営にも何かいいヒントがあるかもしれねえぞ。それに美味いもんも、星の数ほどたくさんあるぜ」
ガルドの、その悪魔みたいなささやきに俺の心がほんの少しだけ揺れた。
王都。
この国で、一番栄えていると言われる場所。
そこには、俺がまだ知らない珍しい食材や想像もつかないような料理の作り方があるかもしれない。
店の新しいメニューの、素晴らしいアイデアが浮かぶ可能性も確かにある。

それにいつまでも、あの森の奥のダンジョンに引きこもっているのも良くないのかもしれない。
少しは、外の世界を自分の目で見ておくのも悪くない経験になるだろう。

『マスター、私も王都にはとても興味があります。きっと、素敵なお店や綺麗なものがたくさんありますよ』
俺の頭の中に、コアの楽しそうな声が響いた。
彼女も、外の世界のことに興味があるようだ。
俺は、しばらく腕を組んでじっと考え込んだ。
面倒なことと、好奇心。
二つの、全く反対の気持ちが俺の心の中で激しくぶつかり合う。
やがて俺は、もうどうにでもなれという気持ちで観念したように大きく息をついた。

「……分かりました、行きますよ王都に」
俺がそう言うと、ガルドは待ってましたとばかりに満足げに頷いた。
「そうこなくっちゃな、よし話は決まりだ。早速、明日の出発の準備をするぜ」
こうして、俺の王都行きがほとんど無理やり決定してしまった。
俺が夢見ていた、平穏でのんびりした暮らしはどこへ向かっているのだろうか。

俺たちは、その日はガルドの工房で一晩を明かすことになった。
ガルドは、完成したばかりの盾をそれはもう本当に嬉しそうに一晩中ていねいに磨き上げていた。
その姿は、まるで生まれたばかりの自分の子供をかわいがる父親のようだった。
俺は、彼のその仕事ぶりには改めて心の底から感心させられた。

次の朝、俺たちはガルドの相棒であるブーやんが引く荷車に乗って王都へと出発した。
ガルドの工房がある、険しい山を下りる。
しばらく行くと、よく整備された広い道に出た。
そこからは、人の行き来もだんだんと多くなってきた。
様々な荷物を運ぶ商人や、吟遊詩人そして冒険者。
本当に、色々な人々がそれぞれの目的を持って王都を目指している。
俺は、荷台にごとごとと揺られながらそんな移り変わる光景をただぼんやりと眺めていた。
見るもの全てが、俺にとってはひどく新鮮で興味深いものばかりだった。

「ケンジ、腹は減ってねえか」
ガルドが、急に俺に声をかけてきた。
そういえば、朝早くに出発してからまだ何も食べていない。
俺がこくりと頷くと、彼は道沿いにぽつんと建っている一軒の茶屋を指差した。
「あそこで、何か腹に入れていこうぜ。ここの、猪肉の串焼きはなかなかの絶品だぜ」

俺たちは、その茶屋に立ち寄り少し遅い朝食をとることにした。
ガルドが、自信たっぷりに言う通り猪の肉を使った串焼きは炭火で焼かれて香ばしくとても美味しかった。
俺は、自分の店でも何か手軽な軽食のメニューを増やそうかと考えた。
例えば、焼きたてのパンを使ったサンドイッチとかジューシーなソーセージを挟んだホットドッグとか。
時間のない冒険者たちが、移動しながらでも手軽に食べられるようなものがきっと喜ばれるかもしれない。

腹ごしらえを済ませた俺たちは、再び王都への道を進んだ。
夕方ごろ、ようやく俺たちの目の前に信じられないくらい巨大な壁が見えてきた。
あれが、王都の城壁か。
そのものすごい大きさは、俺の想像をはるかに超えていた。
高さは、軽く数十メートルはあるだろうか。
それが、地平線のかなたまで続いている。

その巨大な城壁には、これまた巨大な門がいくつも作られていた。
俺たちは、その中の一つをゆっくりとくぐる。
門を抜けた瞬間、俺は思わず息をのんだ。
そこには、活気に満ちあふれた巨大な都市が広がっていたのだ。
きれいに整備された石畳の道には、本当に多くの人々が行き交う。
道の両側には、様々な種類の店がずらりと並んでいる。
その光景は、俺がいた日本の大都市と少しも変わりはなかった。
いや、むしろ中世ヨーロッパのような街並みがそれ以上の熱気と活気を生み出しているように感じられた。

「すげえ……」
俺は、思わずそんなありふれた感想をつぶやいていた。
ガルドは、そんな俺の様子を見てどこか得意げに笑う。
「がっはっは、どうだ驚いたか。ここが、この国で一番の都である王都アヴァロンだ」
王都アヴァロン。
それが、この都の正式な名前らしい。

俺たちは、荷車をゆっくりと進ませながら都の中心部を移動した。
見るもの全てが、ひどく珍しくて俺は完全に田舎から出てきた人のようだった。
様々な人種の、人々。
豪華な飾りが、たくさん施された美しい建物。
活気に満ちた、巨大な市場。
その全てが、俺の心を子供のように躍らせた。

やがて、俺たちは都の中でもひときわ豪華で大きな建物が立ち並ぶ一角へとたどり着いた。
おそらく、貴族たちが住んでいる場所なのだろう。
道を行き交う人々の服装も、明らかに庶民のものとは違う。

「着いたぜ、ここがあの宰相閣下のお屋敷だ」
ガルドが、指差した先には小さな城かと思うほどの巨大な屋敷がそびえ立っていた。
その、立派な門の前には強そうな兵士たちが何人も厳しい顔で立っている。
俺は、そのものすごい雰囲気に完全に気後れしてしまった。
本当に、こんなすごい場所に俺が入ってしまっていいのだろうか。
俺が、思わずためらっているとガルドは俺の背中をばしんと容赦なく強く叩いた。

「おいケンジ、びびってんじゃねえぞ。もっと、堂々としてろ」
「……無理です」
俺が、正直にそう答えるとガルドは心底あきれたように大きな溜息をついた。

ガルドは、門番の兵士に今回の目的を告げた。
兵士は、ガルドの顔と彼が大事そうに抱えている黒い盾を見ると少し驚いたような顔をした。
そして、慌てた様子で屋敷の中へと駆け込んでいく。
どうやら、話はきちんと通っているらしい。

しばらくして、屋敷の中から執事らしい上品な老人が現れた。
老人は、俺たちをとてもていねいな態度で屋敷の中へと案内する。
俺は、すごく緊張して心臓が口から飛び出してしまいそうだった。
屋敷の中は、外から見るよりも豪華な作りだった。
床には、ふかふかで毛足の長いじゅうたんが敷かれている。
壁には、素人の俺でも分かるくらい高価そうな絵画が何枚も飾られていた。
俺は、自分がいかに場違いな場所に来てしまったのかを強く感じていた。

俺たちが、通されたのは信じられないくらい広い応接室だった。
そこには、これまた豪華なソファとガラスでできたテーブルが置かれている。
俺とガルドは、ソファに座るようにていねいにうながされた。
俺は、こんな雲のように柔らかい高級なソファに座るのは人生で初めての経験だった。
なんだか、お尻がむずむずする。

やがて、部屋の重いドアがゆっくりと開かれた。
そして、そこに現れた人物を見て俺は息をのんだ。
そこに立っていたのは、この世のものとは思えないほど美しい少女だった。
年は、十六歳くらいだろうか。
腰まで届く、きらきらと輝く美しい銀色の髪。
透き通るような、雪のように白い肌。
そして、まるで人形のように完璧に整った顔立ち。
彼女が、あの宰相閣下の一人娘か。
その美しさは、確かに国の宝と言っても言い過ぎではなかった。

だが、その完璧な顔に浮かんだ表情はひどく冷たい。
彼女は、俺たちをまるで道端の石ころでも見るかのようにいばった目で見下ろしていた。
その、美しい瞳には一切の温かい感情が感じられない。
まさに、氷で作られた美しい人形。
それが、彼女に対する俺の正直な第一印象だった。

「あなたが、雷拳のガルドね」
少女が、鈴の鳴るようなしかしどこか体温を感じさせない冷たい声で言った。
「注文の品は、きちんとできてきたのでしょうね」
彼女の言葉には、有無を言わせぬ絶対的な力があった。
ガルドも、さすがに少し緊張した顔つきでこくりと頷く。

「へ、へい、こちらにご用意してあります」
彼は、ていねいな態度であの黒い盾をガラスのテーブルの上にそっと置いた。
少女は、その盾をちらりと見るとふんと馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
「……何これ、ただの真っ黒い鉄の塊じゃないの。もっと、宝石か何かで飾られたきらびやかなものを想像していたのだけれど」
彼女は、明らかに不満そうだった。
その、心のない言葉にガルドの顔が少しだけ引きつる。

「お、お嬢様、どうか見た目で判断なさらないでくだせえ。この盾は、この世のどんなものよりも硬いんでさあ」
ガルドが、必死な顔で説明する。
だが、少女は全く興味を示そうとしない。
「ふーん、でそっちのひょろっとしてみすぼらしい男は誰?」
彼女の、氷のように冷たい視線が今度は俺にぐさりと突き刺さった。
俺は、びくっと情けなく体を震わせる。

「あ、あの……」
俺が、しどろもどろになっているとガルドが見かねて助け舟を出してくれた。
「こいつは、ケンジと申します。この盾の、もう一人の制作者でさあ」

「へえ、こんな見るからに貧相な男が?」
少女は、心の底から俺を馬鹿にしたような目でじろりと見た。
その、見下したような視線に俺の心は深く傷ついた。
もう、帰りたい。
俺は、心からそう思った。
だが、この後の出来事は俺のそんな小さな願いをはるかに超える方向へと転がっていくのだった。
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