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夜明けの光が水平線を黄金色に染め上げる。
アルス連合の首都となった俺の拠点、その港には歴史的な船出を迎えようとする連合艦隊が威容を誇るように停泊していた。
各国の旗が朝風にはためき、これから始まる偉大な航海への期待とほんの少しの緊張感を港全体に漂わせている。
「アルス様、皆様、行ってまいります」
艦隊の旗艦、エルグランド王国が誇る最新鋭の帆船「ホープ号」の甲板からリリアーナ王女の凛とした声が響き渡った。
美しい純白の服の上に連合の議長としての権威を示す青い外套を羽織ったその姿は、気高く神々しささえ感じられた。
その隣にはゼフィルス様や各国の代表者、そして屈強な護衛の騎士たちが決意を新たにした表情で並んでいる。
「リリアーナ議長、ご武運を」
「南の大陸に希望の光を」
港に集まった拠点に住む多くの人々から割れんばかりの歓声と声援が送られる。
俺はクロと共に一番高い埠頭からその光景を静かに見守っていた。
リリアーナ王女の視線が人混みの中からまっすぐに俺を探し当てる。
俺は彼女に向かって力強く頷いてみせた。
彼女もまた俺に応えるように、これまでで一番の明るい笑顔を向けてくれた。
その笑顔だけで十分だった。
やがて出航を告げる長く、そして力強い汽笛の音が港中に響き渡る。
ホープ号を先頭に連合艦隊の船たちがゆっくりと、しかし確実に港を離れていく。
目指すはまだ見ぬ南の大陸。
絶望に沈む人々に俺たちが作り出した希望、『生命の雫』を届けるために。
船影が水平線の向こうに豆粒のように小さくなるまで、俺はその場を動かずに見送り続けた。
クロが俺の足元で心配そうに「きゅるん」と鳴いた。
「大丈夫だ、クロ。彼女たちならきっとやり遂げるさ」
俺はクロの頭を優しく撫でた。
「さあ、俺たちも俺たちの仕事をしよう。彼女たちが安心して帰ってこられるように、この拠点をもっと素晴らしい場所に変えていくんだ」
「きゅい」
頼もしい相棒の返事に俺は力強く頷いた。
リリアーナたちが旅立った後も俺のやるべきことは山積みだ。
研究所の本格稼働、食糧のさらなる安定供給、そしてこの拠点に住む人々の生活の向上。
俺の穏やかな暮らしは、もはや俺一人のものではなく、この地に集う全ての仲間たちのためのものへとその意味合いを変えていた。
数週間後、研究所はついに本格的な稼働を開始した。
ガイア帝国から提供された最新の魔導技術と各国の学者たちの知恵が結集したその施設は、ただの研究所ではなく世界の未来を創造する重要な拠点となっていた。
俺はそこで行われる研究のために、日々様々な特性を持つ新しい作物や薬草を生み出し続けた。
例えば天候を安定させる効果を持つ「晴天草」。
これを畑に植えておくだけで周囲の天候が穏やかになり、干ばつや長雨といった異常気象を防ぐことができる。
あるいは人々の心を癒し、娯楽を提供する「幻燈花」。
この花は夜になると花びらから美しい光の粒子を放ち、見る者の記憶の中にある最も幸せな光景を幻のように映し出すのだ。
拠点の人々は夜になると幻燈花の周りに集まり、それぞれの思い出に浸りながら穏やかな時間を過ごすようになった。
俺の能力はもはや、ただ食料や薬を生み出すだけでなく人々の心そのものを豊かにする力へと進化を遂げていたのだ。
そんな穏やかな日々が続く中、リリアーナ王女の艦隊から定期的に報告が届くようになった。
伝書鳩が運んでくる手紙には彼女の美しい文字で航海の様子が詳細に綴られている。
『アルス様へ。航海は驚くほど順調に進んでおります。あなた様が作ってくださった「晴天草」のおかげで嵐に遭遇することもなく、穏やかな日々が続いておりますわ。船乗りたちも、こんなに楽な航海は初めてだと皆あなた様に感謝しております』
『南の大陸に近づくにつれ、石化病の惨状がより鮮明に伝わってまいります。ですがわたくしたちの心にもはや恐れはありません。なぜならこの手には、あなた様が作ってくださった絶対的な希望があるのですから』
手紙の文面からは彼女の強い決意と、そして俺への深い信頼がひしひしと伝わってきた。
俺もまた彼女からの便りを毎日の楽しみにしていた。
そしてある日、ついに待望の吉報が届く。
『本日、我々はついに南の大領の港に到着いたしました。そして早速持ち込んだ「生命の雫」を石化病の初期症状に苦しむ患者の方々に投与したところ……信じられないことが起きました。雫を飲んだ人々が、たちどころに元の姿を取り戻したのです。港は今、歓喜とそしてアルス様への感謝の祈りで満ち溢れております』
その知らせに拠点全体が割れんばかりの歓声に包まれた。
俺たちの努力がついに実を結んだのだ。
しかしその喜びも束の間だった。
数日後、リリアーナ王女から緊迫した内容の緊急連絡が届いたのだ。
『アルス様、ご報告いたします。石化病の元凶である邪悪な水晶体に近づくにつれ、敵の抵抗が激しくなってまいりました。石化した巨大な魔物たちが、まるで意思を持つかのように我々の行く手を阻むのです。その力は凄まじく、連合軍も苦戦を強いられております』
手紙には石化した巨大なグリフォンやゴーレムのような魔物たちと、懸命に戦う連合軍の兵士たちの様子が生々しく描かれていた。
「くっ……。やはり一筋縄ではいかないか……」
俺は唇をきつく噛みしめた。
リリアーナたちの身が危険に晒されている。
いてもたってもいられない気持ちに駆られたその時。
俺の脳裏に一つの考えが閃いた。
そうだ、俺の能力は、この場所にいながらにして遠く離れた彼女たちを助けることができるはずだ。
俺は拠点の中央にそびえ立つ巨大な生命樹の元へと向かった。
そしてその幹にそっと手を触れる。
「生命樹よ、俺の想いを、力を、遠く南の大陸で戦うリリアーナたちに届けてくれ……」
俺は能力をこれまでにない形で発動させた。
それは生命樹を中継点として俺の力を大地の生命の脈流、いわゆる「龍脈」に乗せて遠隔地へと送り届けるという荒業だった。
俺の力が生命樹を通じて大地を駆け巡り、海の底を渡り、南の大陸で戦うリリアーナたちの元へと届けられる情景を強く、強く思い描く。
その瞬間。
南の大陸で絶望的な戦いを繰り広げていたリリアーナたちの足元で奇跡が起こった。
地面から俺が作り出した戦闘用の特殊植物たちが次々と芽吹き始めたのだ。
硬い甲羅を持つ魔物には、その装甲を貫く「螺旋人参」が。
空を飛ぶ敵には、粘着質の蔓で絡め取る「捕縛花」が。
そして兵士たちの疲労を癒し、闘志を蘇らせる「闘志草」が。
「こ、これは……。アルス様の力だわ」
リリアーナは戦場の真っ只中で天を仰いだ。
「アルス様がこの場所にいながらにして、我々を助けてくださっている……」
その奇跡に連合軍の士気は爆発的に高まった。
彼らは俺が送り届けた植物兵器を手に石化の魔物たちを次々と打ち破っていく。
だがその報告が俺の元に届いたのと、ほぼ同時に。
リリアーナから最後の、そして最も絶望的な連絡がもたらされた。
『アルス様……。我々はついに邪悪な水晶体の目前まで到達いたしました。しかしその水晶体は最後の抵抗として、大陸全土の生命力を吸い上げるほどの強大な邪悪の波動を放ち始めました……。このままでは南の大陸そのものが完全に石化してしまいます……。もはや我々の手には負えません……。どうか、アルス様……あなた様ご自身のそのお力で、この邪悪の根源を断ち切ってください……』
その悲痛な叫びにも似た伝言を受け取った時。
俺の決意は固まった。
「クロ」
俺は静かに相棒の名を呼んだ。
「きゅい」
クロは全てを理解したように力強く鳴いた。その赤い瞳はこれから始まるであろう最終決戦に向けて静かに、しかし激しく燃えている。
「行くぞ、クロ。南の大陸へ」
俺はクロの背中にひらりと飛び乗った。
クロはこの数ヶ月で大人が一人乗ってもびくともしないほど大きく、そしてたくましく成長していた。
「リリアーナ、待っていてくれ。今、俺がそっちへ行く」
クロが力強く翼を広げる。
目指すは南。
絶望に覆われた約束の地へ。
俺とクロの最後の戦いが今、始まろうとしていた。
俺たちを乗せた若き竜は故郷の空に一声高く鳴くと、太陽に向かって一直線に飛翔した。
アルス連合の首都となった俺の拠点、その港には歴史的な船出を迎えようとする連合艦隊が威容を誇るように停泊していた。
各国の旗が朝風にはためき、これから始まる偉大な航海への期待とほんの少しの緊張感を港全体に漂わせている。
「アルス様、皆様、行ってまいります」
艦隊の旗艦、エルグランド王国が誇る最新鋭の帆船「ホープ号」の甲板からリリアーナ王女の凛とした声が響き渡った。
美しい純白の服の上に連合の議長としての権威を示す青い外套を羽織ったその姿は、気高く神々しささえ感じられた。
その隣にはゼフィルス様や各国の代表者、そして屈強な護衛の騎士たちが決意を新たにした表情で並んでいる。
「リリアーナ議長、ご武運を」
「南の大陸に希望の光を」
港に集まった拠点に住む多くの人々から割れんばかりの歓声と声援が送られる。
俺はクロと共に一番高い埠頭からその光景を静かに見守っていた。
リリアーナ王女の視線が人混みの中からまっすぐに俺を探し当てる。
俺は彼女に向かって力強く頷いてみせた。
彼女もまた俺に応えるように、これまでで一番の明るい笑顔を向けてくれた。
その笑顔だけで十分だった。
やがて出航を告げる長く、そして力強い汽笛の音が港中に響き渡る。
ホープ号を先頭に連合艦隊の船たちがゆっくりと、しかし確実に港を離れていく。
目指すはまだ見ぬ南の大陸。
絶望に沈む人々に俺たちが作り出した希望、『生命の雫』を届けるために。
船影が水平線の向こうに豆粒のように小さくなるまで、俺はその場を動かずに見送り続けた。
クロが俺の足元で心配そうに「きゅるん」と鳴いた。
「大丈夫だ、クロ。彼女たちならきっとやり遂げるさ」
俺はクロの頭を優しく撫でた。
「さあ、俺たちも俺たちの仕事をしよう。彼女たちが安心して帰ってこられるように、この拠点をもっと素晴らしい場所に変えていくんだ」
「きゅい」
頼もしい相棒の返事に俺は力強く頷いた。
リリアーナたちが旅立った後も俺のやるべきことは山積みだ。
研究所の本格稼働、食糧のさらなる安定供給、そしてこの拠点に住む人々の生活の向上。
俺の穏やかな暮らしは、もはや俺一人のものではなく、この地に集う全ての仲間たちのためのものへとその意味合いを変えていた。
数週間後、研究所はついに本格的な稼働を開始した。
ガイア帝国から提供された最新の魔導技術と各国の学者たちの知恵が結集したその施設は、ただの研究所ではなく世界の未来を創造する重要な拠点となっていた。
俺はそこで行われる研究のために、日々様々な特性を持つ新しい作物や薬草を生み出し続けた。
例えば天候を安定させる効果を持つ「晴天草」。
これを畑に植えておくだけで周囲の天候が穏やかになり、干ばつや長雨といった異常気象を防ぐことができる。
あるいは人々の心を癒し、娯楽を提供する「幻燈花」。
この花は夜になると花びらから美しい光の粒子を放ち、見る者の記憶の中にある最も幸せな光景を幻のように映し出すのだ。
拠点の人々は夜になると幻燈花の周りに集まり、それぞれの思い出に浸りながら穏やかな時間を過ごすようになった。
俺の能力はもはや、ただ食料や薬を生み出すだけでなく人々の心そのものを豊かにする力へと進化を遂げていたのだ。
そんな穏やかな日々が続く中、リリアーナ王女の艦隊から定期的に報告が届くようになった。
伝書鳩が運んでくる手紙には彼女の美しい文字で航海の様子が詳細に綴られている。
『アルス様へ。航海は驚くほど順調に進んでおります。あなた様が作ってくださった「晴天草」のおかげで嵐に遭遇することもなく、穏やかな日々が続いておりますわ。船乗りたちも、こんなに楽な航海は初めてだと皆あなた様に感謝しております』
『南の大陸に近づくにつれ、石化病の惨状がより鮮明に伝わってまいります。ですがわたくしたちの心にもはや恐れはありません。なぜならこの手には、あなた様が作ってくださった絶対的な希望があるのですから』
手紙の文面からは彼女の強い決意と、そして俺への深い信頼がひしひしと伝わってきた。
俺もまた彼女からの便りを毎日の楽しみにしていた。
そしてある日、ついに待望の吉報が届く。
『本日、我々はついに南の大領の港に到着いたしました。そして早速持ち込んだ「生命の雫」を石化病の初期症状に苦しむ患者の方々に投与したところ……信じられないことが起きました。雫を飲んだ人々が、たちどころに元の姿を取り戻したのです。港は今、歓喜とそしてアルス様への感謝の祈りで満ち溢れております』
その知らせに拠点全体が割れんばかりの歓声に包まれた。
俺たちの努力がついに実を結んだのだ。
しかしその喜びも束の間だった。
数日後、リリアーナ王女から緊迫した内容の緊急連絡が届いたのだ。
『アルス様、ご報告いたします。石化病の元凶である邪悪な水晶体に近づくにつれ、敵の抵抗が激しくなってまいりました。石化した巨大な魔物たちが、まるで意思を持つかのように我々の行く手を阻むのです。その力は凄まじく、連合軍も苦戦を強いられております』
手紙には石化した巨大なグリフォンやゴーレムのような魔物たちと、懸命に戦う連合軍の兵士たちの様子が生々しく描かれていた。
「くっ……。やはり一筋縄ではいかないか……」
俺は唇をきつく噛みしめた。
リリアーナたちの身が危険に晒されている。
いてもたってもいられない気持ちに駆られたその時。
俺の脳裏に一つの考えが閃いた。
そうだ、俺の能力は、この場所にいながらにして遠く離れた彼女たちを助けることができるはずだ。
俺は拠点の中央にそびえ立つ巨大な生命樹の元へと向かった。
そしてその幹にそっと手を触れる。
「生命樹よ、俺の想いを、力を、遠く南の大陸で戦うリリアーナたちに届けてくれ……」
俺は能力をこれまでにない形で発動させた。
それは生命樹を中継点として俺の力を大地の生命の脈流、いわゆる「龍脈」に乗せて遠隔地へと送り届けるという荒業だった。
俺の力が生命樹を通じて大地を駆け巡り、海の底を渡り、南の大陸で戦うリリアーナたちの元へと届けられる情景を強く、強く思い描く。
その瞬間。
南の大陸で絶望的な戦いを繰り広げていたリリアーナたちの足元で奇跡が起こった。
地面から俺が作り出した戦闘用の特殊植物たちが次々と芽吹き始めたのだ。
硬い甲羅を持つ魔物には、その装甲を貫く「螺旋人参」が。
空を飛ぶ敵には、粘着質の蔓で絡め取る「捕縛花」が。
そして兵士たちの疲労を癒し、闘志を蘇らせる「闘志草」が。
「こ、これは……。アルス様の力だわ」
リリアーナは戦場の真っ只中で天を仰いだ。
「アルス様がこの場所にいながらにして、我々を助けてくださっている……」
その奇跡に連合軍の士気は爆発的に高まった。
彼らは俺が送り届けた植物兵器を手に石化の魔物たちを次々と打ち破っていく。
だがその報告が俺の元に届いたのと、ほぼ同時に。
リリアーナから最後の、そして最も絶望的な連絡がもたらされた。
『アルス様……。我々はついに邪悪な水晶体の目前まで到達いたしました。しかしその水晶体は最後の抵抗として、大陸全土の生命力を吸い上げるほどの強大な邪悪の波動を放ち始めました……。このままでは南の大陸そのものが完全に石化してしまいます……。もはや我々の手には負えません……。どうか、アルス様……あなた様ご自身のそのお力で、この邪悪の根源を断ち切ってください……』
その悲痛な叫びにも似た伝言を受け取った時。
俺の決意は固まった。
「クロ」
俺は静かに相棒の名を呼んだ。
「きゅい」
クロは全てを理解したように力強く鳴いた。その赤い瞳はこれから始まるであろう最終決戦に向けて静かに、しかし激しく燃えている。
「行くぞ、クロ。南の大陸へ」
俺はクロの背中にひらりと飛び乗った。
クロはこの数ヶ月で大人が一人乗ってもびくともしないほど大きく、そしてたくましく成長していた。
「リリアーナ、待っていてくれ。今、俺がそっちへ行く」
クロが力強く翼を広げる。
目指すは南。
絶望に覆われた約束の地へ。
俺とクロの最後の戦いが今、始まろうとしていた。
俺たちを乗せた若き竜は故郷の空に一声高く鳴くと、太陽に向かって一直線に飛翔した。
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・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
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最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
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