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13話を修正しました。ご指摘ありがとうございます。
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村に十の蜂の家族が根付いてから、穏やかな一月が過ぎた。
季節は進み、村の周りの野山には色とりどりの花が咲いている。
働き蜂たちは、日の出と共に巣箱を飛び立っていた。
そして、日の入りまで蜜と花粉を集めてきた。
彼女たちの勤勉な働きのおかげで、村の畑は驚くほどの豊作となった。
蜂たちが花から花へと飛び回り、受粉が活発になったからだ。
豆は、さやがはちきれんばかりに実った。
カボチャは、ずっしりと重い実をつけた。
村人たちは、養蜂がもたらす恵みを実感していた。
それは蜂蜜だけではないことを、日々の暮らしの中で感じていた。
食生活も、驚くほど豊かになった。
朝食の固いパンには、たっぷりの蜂蜜を塗るのが当たり前になる。
子供たちは、蜂蜜ジュースをおやつの時間に飲むのを楽しみにしていた。
それは、水で薄めただけの簡単な飲み物だ。
料理が得意な女性たちは、肉料理の隠し味に蜂蜜を使う方法を編み出した。
蜂蜜は、料理に照りと深い味わいを出す。
村全体が、甘く優しい幸福感に包まれていた。
そして何より重要なのは、交易品の備蓄だった。
蜂蜜が、順調に増えていることだ。
村の一角には、涼しい貯蔵庫が作られた。
そこには、女性たちが作った素焼きの壺がずらりと並んでいる。
その中には、黄金色に輝く濃厚な蜂蜜が満たされていた。
壺の蓋を開けるたびに、豊かな花の香りが広がる。
それは、この土地の自然の恵みが凝縮された証だった。
生産の体制は、これで十分に整ったと言えるだろう。
「よし、機は熟したわ。いよいよ、交易計画を具体的に進めましょう」
その日の夜、私は広場の中央に大きな木のテーブルを運び出した。
そして、村の主な者たちを集めた。
集まったのは、若者たちのリーダーであるカイだ。
村の知恵袋である長老もいる。
仕事の段取りがうまい大工の棟梁と、私の忠実な執事アルフレッドもいた。
テーブルの上には、古い羊皮紙の地図を広げる。
それは、長老が代々受け継いできたというものだった。
蜜蝋のロウソクの柔らかな灯りが、地図をぼんやりと照らし出した。
古びたインクで描かれた、見慣れない世界がそこにあった。
地図の紙は、乾いて少し硬くなっていた。
端の方は、長い年月によって擦り切れている。
私はその地図を指し示しながら、皆に語りかけた。
「この地図によると、この村から東の方角に一つだけ町が記されているわ。まずは、ここを目指すのが現実的だと思うの」
私が指差した場所には、インクがにじんだ文字があった。
それは、かろうじて『ラトナ』と読める。
そこには、小さな家々が集まる絵も描かれていた。
しかし、情報はそれだけだった。
村から町までどれくらいの距離があるのか、分からない。
どんな人々が暮らし、どんな領主が治めているのかも不明だ。
地図は、何も教えてくれなかった。
「ラトナ、でございますか。そのような町の名は、わしも聞き覚えがありませぬな」
長老が、長い髭を撫でながら不安そうな声でつぶやいた。
「そもそも、この地図が描かれたのがいつの時代のものかも分からぬ。今も、その町があるという保証はどこにもない」
長老の慎重な意見に、大工の棟梁もうなずいた。
「それに、もし町があったとしても問題です。よそ者の我々を、快く受け入れてくれるかどうか。町の決まりも、使うお金が何かも分からぬまま乗り込むのは危険すぎます」
現実的な問題が次々と出され、広場の空気は少しだけ重くなった。
外の世界との交流が途絶えて久しいこの村の者たちにとって、未知は不安なのだ。
期待よりも、不安の方が大きかった。
アルフレッドも、私の身を案じるあまり青い顔でうつむいている。
カイは、腕を組んだまま黙って皆の意見を聞いていた。
私は、皆の不安を一つ一つ消すように語り始めた。
穏やかに、しかし力強い声で話す。
「長老の言う通り、町の存在は確かではないかもしれないわ。だからこそ、まずは偵察が必要になるの。最初から大きな商売をしようと、気負う必要はないわ。町の様子を見て、私たちの蜂蜜に興味を持つ人がいるかを探る。それだけでも、大きな一歩よ」
私は、次に棟梁の方を向いた。
「町の決まりやお金についても、心配は要らないわ。私たちは、物々交換から始めればいい。この蜂蜜の価値は、言葉やお金の違いを超えて伝わるはずよ。一度味わってもらえれば、きっと分かるわ。それに、私たちが誠意を持って接すれば相手も心を開いてくれる。人は、美味しいものを前にすれば笑顔になるものでしょう?」
私の言葉には、不思議な説得力があった。
それは、私が持つ前の世界の知識に裏打ちされた自信から来るものだ。
重苦しかった空気は少しずつ和らぎ、皆の顔に希望の色が戻り始める。
その時、今まで黙っていたカイが口を開いた。
「理屈は分かった。だが、一番の問題は誰が行くかだ」
カイの鋭い視線が、私をまっすぐに捉える。
「危険かもしれねえ場所に、巫女様を行かせるわけにはいかねえ。ここは、俺たち若者の中から何人か偵察隊を出すべきだ」
カイの提案に、長老たちが「それがよかろう」とうなずく。
しかし、私は静かに首を横に振った。
「いいえ、私が行くわ。これは、この村の未来を左右する最初の交渉よ。その席に、村の代表である私がいないでどうするの」
私は、その場にいる全員の顔を見回して言った。
「この蜂蜜の物語を、一番うまく伝えられるのは私よ。その価値を、そして私たちの村の想いを伝えるの。それに、これは危険な遠征なんかじゃない。新しい友人を作りに行く、希望の旅なのよ」
私の決意が固いことを知り、広場は再び静かになった。
村人たちの心は、揺れ動いている。
尊敬する巫女を危険な目に遭わせたくないという想いがあった。
しかし、彼女に任せればきっとうまくいくという信頼もあった。
その沈黙を破ったのは、やはりカイだった。
「……分かった。あんたがそこまで言うなら、もう止めねえ」
彼は、大きなため息をついた後できっぱりとした声で言った。
「その代わり、俺も行くぜ。あんたを一人で行かせるわけにはいかねえからな。あんたが交渉に集中できるように、周りのことは全部俺が引き受ける」
カイの言葉は、彼の揺るぎない忠誠心と信頼の証だった。
彼の力強い声に、その場にいた若者たちが次々と立ち上がった。
「俺も行きます、リゼット様。荷物持ちでも何でもします」
「カイさんだけじゃ、心配です。護衛なら任せてください」
彼らの熱い申し出は、本当に心強かった。
私たちは、町へ向かう最初の使節団を選んだ。
交渉役は私、護衛兼リーダー役はカイだ。
そして、屈強な漕ぎ手として若者四人が選ばれた。
メンバーが決まれば、話は早い。
村は、一気に旅立ちの準備で活気づいた。
女性たちは、蜂蜜を入れる壺に模様を彫り込んだ。
村のシンボルである、花の模様だ。
少しでも見栄えが良くなるようにという、彼女たちの優しい心遣いだった。
森の恵みのナッツも、きれいに炒ってから丈夫な麻袋に詰められた。
アルフレッドは、私のために旅の服を繕ってくれた。
私の身を案じながらも、旅の間も着心地が良いように工夫してくれる。
彼は、栄養価の高い保存食を夜なべして作ってくれた。
出発の日が、目前に迫っていた。
私たちは、村人たちの温かい応援を受けながら最後の準備を進める。
期待と、少しの不安が入り混じっていた。
旅に必要な装備や食料が、広場に山のように積まれていく。
誰もが、この旅の成功を信じて疑わなかった。
高揚した空気が、村全体を支配していた。
出発前夜、私は広場に一人で立っていた。
全ての準備は、もう整っている。
月明かりが、旅立ちを待つ荷物をぼんやりと照らしていた。
その時、背後から近づいてきたカイが私の隣に立った。
彼は、深刻な顔をしている。
彼の視線は、テーブルの上の地図に注がれていた。
「リゼット様、みんな浮かれてるが、俺はずっと気になってたことがある」
彼は、地図の一点を指差した。
その指先は、村とラトナという町の間に広がる空白地帯を捉えている。
そこには、広大な森と川が広がっていた。
「だけどリゼット様、この村と町の間には大きな森と川が描かれてるぜ。道なんて、どこにもないみたいだが」
***
村に十の蜂の家族が根付いてから、穏やかな一月が過ぎた。
季節は進み、村の周りの野山には色とりどりの花が咲いている。
働き蜂たちは、日の出と共に巣箱を飛び立っていた。
そして、日の入りまで蜜と花粉を集めてきた。
彼女たちの勤勉な働きのおかげで、村の畑は驚くほどの豊作となった。
蜂たちが花から花へと飛び回り、受粉が活発になったからだ。
豆は、さやがはちきれんばかりに実った。
カボチャは、ずっしりと重い実をつけた。
村人たちは、養蜂がもたらす恵みを実感していた。
それは蜂蜜だけではないことを、日々の暮らしの中で感じていた。
食生活も、驚くほど豊かになった。
朝食の固いパンには、たっぷりの蜂蜜を塗るのが当たり前になる。
子供たちは、蜂蜜ジュースをおやつの時間に飲むのを楽しみにしていた。
それは、水で薄めただけの簡単な飲み物だ。
料理が得意な女性たちは、肉料理の隠し味に蜂蜜を使う方法を編み出した。
蜂蜜は、料理に照りと深い味わいを出す。
村全体が、甘く優しい幸福感に包まれていた。
そして何より重要なのは、交易品の備蓄だった。
蜂蜜が、順調に増えていることだ。
村の一角には、涼しい貯蔵庫が作られた。
そこには、女性たちが作った素焼きの壺がずらりと並んでいる。
その中には、黄金色に輝く濃厚な蜂蜜が満たされていた。
壺の蓋を開けるたびに、豊かな花の香りが広がる。
それは、この土地の自然の恵みが凝縮された証だった。
生産の体制は、これで十分に整ったと言えるだろう。
「よし、機は熟したわ。いよいよ、交易計画を具体的に進めましょう」
その日の夜、私は広場の中央に大きな木のテーブルを運び出した。
そして、村の主な者たちを集めた。
集まったのは、若者たちのリーダーであるカイだ。
村の知恵袋である長老もいる。
仕事の段取りがうまい大工の棟梁と、私の忠実な執事アルフレッドもいた。
テーブルの上には、古い羊皮紙の地図を広げる。
それは、長老が代々受け継いできたというものだった。
蜜蝋のロウソクの柔らかな灯りが、地図をぼんやりと照らし出した。
古びたインクで描かれた、見慣れない世界がそこにあった。
地図の紙は、乾いて少し硬くなっていた。
端の方は、長い年月によって擦り切れている。
私はその地図を指し示しながら、皆に語りかけた。
「この地図によると、この村から東の方角に一つだけ町が記されているわ。まずは、ここを目指すのが現実的だと思うの」
私が指差した場所には、インクがにじんだ文字があった。
それは、かろうじて『ラトナ』と読める。
そこには、小さな家々が集まる絵も描かれていた。
しかし、情報はそれだけだった。
村から町までどれくらいの距離があるのか、分からない。
どんな人々が暮らし、どんな領主が治めているのかも不明だ。
地図は、何も教えてくれなかった。
「ラトナ、でございますか。そのような町の名は、わしも聞き覚えがありませぬな」
長老が、長い髭を撫でながら不安そうな声でつぶやいた。
「そもそも、この地図が描かれたのがいつの時代のものかも分からぬ。今も、その町があるという保証はどこにもない」
長老の慎重な意見に、大工の棟梁もうなずいた。
「それに、もし町があったとしても問題です。よそ者の我々を、快く受け入れてくれるかどうか。町の決まりも、使うお金が何かも分からぬまま乗り込むのは危険すぎます」
現実的な問題が次々と出され、広場の空気は少しだけ重くなった。
外の世界との交流が途絶えて久しいこの村の者たちにとって、未知は不安なのだ。
期待よりも、不安の方が大きかった。
アルフレッドも、私の身を案じるあまり青い顔でうつむいている。
カイは、腕を組んだまま黙って皆の意見を聞いていた。
私は、皆の不安を一つ一つ消すように語り始めた。
穏やかに、しかし力強い声で話す。
「長老の言う通り、町の存在は確かではないかもしれないわ。だからこそ、まずは偵察が必要になるの。最初から大きな商売をしようと、気負う必要はないわ。町の様子を見て、私たちの蜂蜜に興味を持つ人がいるかを探る。それだけでも、大きな一歩よ」
私は、次に棟梁の方を向いた。
「町の決まりやお金についても、心配は要らないわ。私たちは、物々交換から始めればいい。この蜂蜜の価値は、言葉やお金の違いを超えて伝わるはずよ。一度味わってもらえれば、きっと分かるわ。それに、私たちが誠意を持って接すれば相手も心を開いてくれる。人は、美味しいものを前にすれば笑顔になるものでしょう?」
私の言葉には、不思議な説得力があった。
それは、私が持つ前の世界の知識に裏打ちされた自信から来るものだ。
重苦しかった空気は少しずつ和らぎ、皆の顔に希望の色が戻り始める。
その時、今まで黙っていたカイが口を開いた。
「理屈は分かった。だが、一番の問題は誰が行くかだ」
カイの鋭い視線が、私をまっすぐに捉える。
「危険かもしれねえ場所に、巫女様を行かせるわけにはいかねえ。ここは、俺たち若者の中から何人か偵察隊を出すべきだ」
カイの提案に、長老たちが「それがよかろう」とうなずく。
しかし、私は静かに首を横に振った。
「いいえ、私が行くわ。これは、この村の未来を左右する最初の交渉よ。その席に、村の代表である私がいないでどうするの」
私は、その場にいる全員の顔を見回して言った。
「この蜂蜜の物語を、一番うまく伝えられるのは私よ。その価値を、そして私たちの村の想いを伝えるの。それに、これは危険な遠征なんかじゃない。新しい友人を作りに行く、希望の旅なのよ」
私の決意が固いことを知り、広場は再び静かになった。
村人たちの心は、揺れ動いている。
尊敬する巫女を危険な目に遭わせたくないという想いがあった。
しかし、彼女に任せればきっとうまくいくという信頼もあった。
その沈黙を破ったのは、やはりカイだった。
「……分かった。あんたがそこまで言うなら、もう止めねえ」
彼は、大きなため息をついた後できっぱりとした声で言った。
「その代わり、俺も行くぜ。あんたを一人で行かせるわけにはいかねえからな。あんたが交渉に集中できるように、周りのことは全部俺が引き受ける」
カイの言葉は、彼の揺るぎない忠誠心と信頼の証だった。
彼の力強い声に、その場にいた若者たちが次々と立ち上がった。
「俺も行きます、リゼット様。荷物持ちでも何でもします」
「カイさんだけじゃ、心配です。護衛なら任せてください」
彼らの熱い申し出は、本当に心強かった。
私たちは、町へ向かう最初の使節団を選んだ。
交渉役は私、護衛兼リーダー役はカイだ。
そして、屈強な漕ぎ手として若者四人が選ばれた。
メンバーが決まれば、話は早い。
村は、一気に旅立ちの準備で活気づいた。
女性たちは、蜂蜜を入れる壺に模様を彫り込んだ。
村のシンボルである、花の模様だ。
少しでも見栄えが良くなるようにという、彼女たちの優しい心遣いだった。
森の恵みのナッツも、きれいに炒ってから丈夫な麻袋に詰められた。
アルフレッドは、私のために旅の服を繕ってくれた。
私の身を案じながらも、旅の間も着心地が良いように工夫してくれる。
彼は、栄養価の高い保存食を夜なべして作ってくれた。
出発の日が、目前に迫っていた。
私たちは、村人たちの温かい応援を受けながら最後の準備を進める。
期待と、少しの不安が入り混じっていた。
旅に必要な装備や食料が、広場に山のように積まれていく。
誰もが、この旅の成功を信じて疑わなかった。
高揚した空気が、村全体を支配していた。
出発前夜、私は広場に一人で立っていた。
全ての準備は、もう整っている。
月明かりが、旅立ちを待つ荷物をぼんやりと照らしていた。
その時、背後から近づいてきたカイが私の隣に立った。
彼は、深刻な顔をしている。
彼の視線は、テーブルの上の地図に注がれていた。
「リゼット様、みんな浮かれてるが、俺はずっと気になってたことがある」
彼は、地図の一点を指差した。
その指先は、村とラトナという町の間に広がる空白地帯を捉えている。
そこには、広大な森と川が広がっていた。
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