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男の顔から、みるみるうちに血の気が引いていくのが分かった。
そこに広げられているのは、貸借対照表と損益計算書である。
この世界にはまだない、会計学の粋を集めた書類だった。
彼がそれを理解できないのも、無理はないことだった。
しかしそこに記された数字の重みは、商人である彼にも嫌というほど伝わったはずだ。
「先月の純利益が、金貨三枚ですと。
馬鹿な、あのガラクタ屋がたった一ヶ月で!」
男は信じられない様子で、帳簿と私の顔を何度も見比べた。
その目にはもう、先ほどの侮りの色は見えない。
ただ畏怖と混乱だけが、ありありと浮かんでいた。
「何か、書類に不備でもありましたか」
私が落ち着いて問いかけると、男は慌てて首を横に振った。
「い、いえ不備など、とんでもないことです。
むしろ、これは完璧すぎます。
こんなに詳細で正確な帳簿は、私も初めて見ました」
男の声は、かすかに上ずっていた。
周りにいた商人たちも、何事かとこちらに注目し始めている。
「登録料の金貨一枚は、ここにあります」
私は懐から重い金貨を一枚取り出し、カウンターの上に置いた。
カキンという硬い音が、静まり返ったギルド内に響く。
その音はまるで、新しい時代の幕開けを告げる鐘のようだった。
男は金貨と帳簿と私の顔を、順番に何度も見つめている。
「分かりました、登録を受理します」
やがて男は、絞り出すような声で言った。
彼は震える手で登録用紙に判を押し、私たちに新しい組合員証を手渡す。
「『バエルズ・セレクト』、確かにギルドへの登録を認めます」
こうして私たちは、いとも簡単にポルタ商業ギルドへの加入を果たしたのだ。
周囲の商人たちは、唖然とした表情で私たちを見つめていた。
中にはざわめきながら、私たちの店の名前を口にする者もいる。
「おい聞いたか、あの『バエルズ・セレクト』だそうだ」
「ああ、今街で一番評判の店だな。
あのルビーベリージャムは、絶品らしいじゃないか。
まさかあの店の経営者が、こんな子供だったなんてな」
してやったりという満足感が、私の胸に広がった。
子供だからと侮るなら、その知識と実力で黙らせればいいのだ。
「さあ、行きましょうかバエルさん」
私は組合員証を受け取ると、呆然と立ち尽くすバエルさんを促した。
フェンとノクスも、私の足元で満足そうに尻尾を揺らしている。
「は、はい師匠!」
バエルさんははっと我に返ると、慌てて私の後を追った。
私たちがギルドを後にする時、背中に刺さる視線の質は入る時と全く違う。
そこには好奇心と驚愕、そして少しの尊敬が混じっていた。
店に戻る道すがら、バエルさんは興奮した様子で何度も話しかけてくる。
「師匠、見ましたかあの男の顔を。
まるで、化け物でも見たかのようでしたぞ。
帳簿一つで、彼らを黙らせてしまうとは。
師匠の知識は、百万の軍勢にも匹敵しますな」
「大袈裟ですよ、事実を数字で示しただけです」
「それができるのが、すごいことなのです。
俺なんて、今まで何となくでしか商売をしてきませんでした。
本当に、恥ずかしい限りです」
バエルさんは、心から反省しているようだった。
彼が自分の至らなさを自覚し、変わろうと努力しているからこそ私も力を貸すのだ。
店に戻ると、噂を聞きつけた商人たちが何人も訪ねてきた。
彼らは皆、私たちの店と取引をしたいと申し出てきたのだ。
「ゲルトさんの石鹸を、ぜひうちの店でも扱わせてほしい」
「ルビーベリージャムの卸売は、していないのかね。
ぜひ、王都の店で売りたいのだが」
以前なら門前払いされてもおかしくない、大手の商人たちばかりだ。
ギルドという後ろ盾の効果は、本当に絶大だった。
しかし私はそれらの申し出を、きっぱりと断る。
「申し訳ありませんが、ゲルト様の石鹸とレオの玩具は独占販売契約です」
「ルビーベリージャムに関しても、今は生産が追いついていません。
ですから、卸売は考えていないのです」
私の言葉に、商人たちは残念そうな顔をした。
しかし、彼らは簡単には引き下がらない。
「そこを何とか、条件はいくらでも相談に乗るぞ」
「そうだそうだ、この通りだお嬢ちゃん」
彼らは四歳の子供である私相手に、深々と頭を下げてきた。
その光景は、傍から見ればかなり異様だろう。
「分かりました、では一つだけ条件があります」
私は少し考えてから、彼らに言った。
「皆さんがお持ちの『情報』を、私に提供してください」
「じょ、情報ですと」
商人たちは、きょとんとした顔で私を見つめる。
「ええ、例えば近々王都で開かれる夜会の日程や、そこで流行りそうなものの情報です。
あるいは隣国との交易で、今一番儲かる商品の情報などですね。
皆さんが持つお金に変わる『生きた情報』と、私たちの商品を交換するということです」
私の提案に、商人たちは一瞬顔を見合わせた。
そしてすぐにその意味を理解したのか、にやりと笑みを浮かべる。
「はっはっは、面白い。
お嬢ちゃん、あんたはただの子供じゃねえな。
いいだろう、その条件を飲んだ。
こっちも、商売敵に差をつける好機だ」
商人たちは口々にそう言うと、とっておきの情報を私に話し始めた。
王都の貴族社会が持つ、最新の流行。
南の港町で、近々大きな商談会が開かれること。
東の国で、新しい染色の技術が開発されたこと。
私の頭の中にあるデータベースへ、新たな情報が次々と入力されていく。
これらは、金では買えない貴重な情報なのだ。
この情報こそが、次の商機に繋がるだろう。
商人たちが帰っていくと、バエルさんが感心したようにため息をついた。
「師匠、商品を売るのではなく情報と交換するとは。
俺には、到底思いつきもしませんでした」
「物々交換ですよ、交換するものが形のあるものかどうかの違いだけです」
私は、冷静に答えた。
「それに彼らに商品を卸すより、この方がずっと利益率は高いのです。
情報は、元手がほとんどかかりませんから」
「なるほど、そういうことでしたか」
バエルさんは、また一つ賢くなったという顔をしている。
私は彼が優秀な経営者として成長していくのを、頼もしく感じていた。
その日の夜、店の二階にある私の部屋で私は情報を整理していた。
フェンは私の足元で丸くなり、ノクスは窓辺で月明かりを浴びている。
コンコン、と控えめなノックの音がした。
入ってきたのは、バエルさんだ。
「師匠、夜分に申し訳ありません。
少し、よろしいでしょうか」
その顔は、いつになく真剣だった。
「どうしたのですか、改まって」
「実は師匠に、お見せしたいものがあります」
バエルさんはそう言うと、懐から古びた羊皮紙の束を取り出した。
それは、何かの地図のようだった。
「これは、何ですか」
「私の亡くなった祖父が、残したものです。
『幻の黄金郷への地図』だと、言い残しまして」
「まさかそんなおとぎ話を、本気で信じているわけではないでしょうね」
私は、呆れて言った。
「いえ、もちろん信じてなどいません。
ただ、ですね」
バエルさんは、地図の一点を指差す。
「この地図に記されている『霧の谷』という場所、ここから採れる薬草が万病に効くという伝説があるのです」
「もし、それが本当なら一攫千金の好機ではないかと」
バエルさんの目は、子供のようにキラキラと輝いていた。
どうやら彼は、根っからのロマンチストでもあるようだ。
私はやれやれと首を振りながらも、その地図を受け取った。
古文書のような文字で、呪文のような言葉も書き連ねられている。
「まあ、いいでしょう。
少し、調べてみる価値はあるかもしれませんね」
私は、その地図を預かることにした。
幻の薬草なんて、眉唾物だろう。
しかしもし本当に価値があるなら、莫大な利益を生む可能性もある。
経理とはリスクを管理し、リターンを最大化させる仕事だ。
この地図も一つの投資案件として、検討してみることにしよう。
そんなことを考えていると、窓辺にいたノクスが不意に低い唸り声を上げた。
見ると、ノクスの黒い毛が逆立っている。
その視線は、窓の外の暗闇にまっすぐ注がれていた。
フェンも、私の足元で警戒するように立ち上がる。
「どうしたのですか、二人とも」
私が窓に近づくと、路地の暗がりで何かが動いたのが見えた。
人影だろうか、いやそれにしては動きが俊敏すぎる。
次の瞬間その影は、驚くべき跳躍力で屋根の上へと飛び乗った。
月明かりに照らされて、一瞬だけその姿が見える。
それは、黒いマントを羽織った小柄な人影だった。
人影は私と目が合うと、一瞬だけ動きを止めた。
そして、すぐに闇の中へと姿を消してしまう。
まるで、黒猫のようなしなやかな動きだった。
一体、何者だったのだろうか。
ただの、空き巣や泥棒とは思えない。
その夜、私はなかなか寝付けなかった。
昼間の商人たちの熱気と、バエルさんの持ち込んできた謎の地図。
そして夜の闇に消えた、あの黒い影。
このポルタという街は、私が思っていた以上に多くの謎を秘めているのかもしれない。
そこに広げられているのは、貸借対照表と損益計算書である。
この世界にはまだない、会計学の粋を集めた書類だった。
彼がそれを理解できないのも、無理はないことだった。
しかしそこに記された数字の重みは、商人である彼にも嫌というほど伝わったはずだ。
「先月の純利益が、金貨三枚ですと。
馬鹿な、あのガラクタ屋がたった一ヶ月で!」
男は信じられない様子で、帳簿と私の顔を何度も見比べた。
その目にはもう、先ほどの侮りの色は見えない。
ただ畏怖と混乱だけが、ありありと浮かんでいた。
「何か、書類に不備でもありましたか」
私が落ち着いて問いかけると、男は慌てて首を横に振った。
「い、いえ不備など、とんでもないことです。
むしろ、これは完璧すぎます。
こんなに詳細で正確な帳簿は、私も初めて見ました」
男の声は、かすかに上ずっていた。
周りにいた商人たちも、何事かとこちらに注目し始めている。
「登録料の金貨一枚は、ここにあります」
私は懐から重い金貨を一枚取り出し、カウンターの上に置いた。
カキンという硬い音が、静まり返ったギルド内に響く。
その音はまるで、新しい時代の幕開けを告げる鐘のようだった。
男は金貨と帳簿と私の顔を、順番に何度も見つめている。
「分かりました、登録を受理します」
やがて男は、絞り出すような声で言った。
彼は震える手で登録用紙に判を押し、私たちに新しい組合員証を手渡す。
「『バエルズ・セレクト』、確かにギルドへの登録を認めます」
こうして私たちは、いとも簡単にポルタ商業ギルドへの加入を果たしたのだ。
周囲の商人たちは、唖然とした表情で私たちを見つめていた。
中にはざわめきながら、私たちの店の名前を口にする者もいる。
「おい聞いたか、あの『バエルズ・セレクト』だそうだ」
「ああ、今街で一番評判の店だな。
あのルビーベリージャムは、絶品らしいじゃないか。
まさかあの店の経営者が、こんな子供だったなんてな」
してやったりという満足感が、私の胸に広がった。
子供だからと侮るなら、その知識と実力で黙らせればいいのだ。
「さあ、行きましょうかバエルさん」
私は組合員証を受け取ると、呆然と立ち尽くすバエルさんを促した。
フェンとノクスも、私の足元で満足そうに尻尾を揺らしている。
「は、はい師匠!」
バエルさんははっと我に返ると、慌てて私の後を追った。
私たちがギルドを後にする時、背中に刺さる視線の質は入る時と全く違う。
そこには好奇心と驚愕、そして少しの尊敬が混じっていた。
店に戻る道すがら、バエルさんは興奮した様子で何度も話しかけてくる。
「師匠、見ましたかあの男の顔を。
まるで、化け物でも見たかのようでしたぞ。
帳簿一つで、彼らを黙らせてしまうとは。
師匠の知識は、百万の軍勢にも匹敵しますな」
「大袈裟ですよ、事実を数字で示しただけです」
「それができるのが、すごいことなのです。
俺なんて、今まで何となくでしか商売をしてきませんでした。
本当に、恥ずかしい限りです」
バエルさんは、心から反省しているようだった。
彼が自分の至らなさを自覚し、変わろうと努力しているからこそ私も力を貸すのだ。
店に戻ると、噂を聞きつけた商人たちが何人も訪ねてきた。
彼らは皆、私たちの店と取引をしたいと申し出てきたのだ。
「ゲルトさんの石鹸を、ぜひうちの店でも扱わせてほしい」
「ルビーベリージャムの卸売は、していないのかね。
ぜひ、王都の店で売りたいのだが」
以前なら門前払いされてもおかしくない、大手の商人たちばかりだ。
ギルドという後ろ盾の効果は、本当に絶大だった。
しかし私はそれらの申し出を、きっぱりと断る。
「申し訳ありませんが、ゲルト様の石鹸とレオの玩具は独占販売契約です」
「ルビーベリージャムに関しても、今は生産が追いついていません。
ですから、卸売は考えていないのです」
私の言葉に、商人たちは残念そうな顔をした。
しかし、彼らは簡単には引き下がらない。
「そこを何とか、条件はいくらでも相談に乗るぞ」
「そうだそうだ、この通りだお嬢ちゃん」
彼らは四歳の子供である私相手に、深々と頭を下げてきた。
その光景は、傍から見ればかなり異様だろう。
「分かりました、では一つだけ条件があります」
私は少し考えてから、彼らに言った。
「皆さんがお持ちの『情報』を、私に提供してください」
「じょ、情報ですと」
商人たちは、きょとんとした顔で私を見つめる。
「ええ、例えば近々王都で開かれる夜会の日程や、そこで流行りそうなものの情報です。
あるいは隣国との交易で、今一番儲かる商品の情報などですね。
皆さんが持つお金に変わる『生きた情報』と、私たちの商品を交換するということです」
私の提案に、商人たちは一瞬顔を見合わせた。
そしてすぐにその意味を理解したのか、にやりと笑みを浮かべる。
「はっはっは、面白い。
お嬢ちゃん、あんたはただの子供じゃねえな。
いいだろう、その条件を飲んだ。
こっちも、商売敵に差をつける好機だ」
商人たちは口々にそう言うと、とっておきの情報を私に話し始めた。
王都の貴族社会が持つ、最新の流行。
南の港町で、近々大きな商談会が開かれること。
東の国で、新しい染色の技術が開発されたこと。
私の頭の中にあるデータベースへ、新たな情報が次々と入力されていく。
これらは、金では買えない貴重な情報なのだ。
この情報こそが、次の商機に繋がるだろう。
商人たちが帰っていくと、バエルさんが感心したようにため息をついた。
「師匠、商品を売るのではなく情報と交換するとは。
俺には、到底思いつきもしませんでした」
「物々交換ですよ、交換するものが形のあるものかどうかの違いだけです」
私は、冷静に答えた。
「それに彼らに商品を卸すより、この方がずっと利益率は高いのです。
情報は、元手がほとんどかかりませんから」
「なるほど、そういうことでしたか」
バエルさんは、また一つ賢くなったという顔をしている。
私は彼が優秀な経営者として成長していくのを、頼もしく感じていた。
その日の夜、店の二階にある私の部屋で私は情報を整理していた。
フェンは私の足元で丸くなり、ノクスは窓辺で月明かりを浴びている。
コンコン、と控えめなノックの音がした。
入ってきたのは、バエルさんだ。
「師匠、夜分に申し訳ありません。
少し、よろしいでしょうか」
その顔は、いつになく真剣だった。
「どうしたのですか、改まって」
「実は師匠に、お見せしたいものがあります」
バエルさんはそう言うと、懐から古びた羊皮紙の束を取り出した。
それは、何かの地図のようだった。
「これは、何ですか」
「私の亡くなった祖父が、残したものです。
『幻の黄金郷への地図』だと、言い残しまして」
「まさかそんなおとぎ話を、本気で信じているわけではないでしょうね」
私は、呆れて言った。
「いえ、もちろん信じてなどいません。
ただ、ですね」
バエルさんは、地図の一点を指差す。
「この地図に記されている『霧の谷』という場所、ここから採れる薬草が万病に効くという伝説があるのです」
「もし、それが本当なら一攫千金の好機ではないかと」
バエルさんの目は、子供のようにキラキラと輝いていた。
どうやら彼は、根っからのロマンチストでもあるようだ。
私はやれやれと首を振りながらも、その地図を受け取った。
古文書のような文字で、呪文のような言葉も書き連ねられている。
「まあ、いいでしょう。
少し、調べてみる価値はあるかもしれませんね」
私は、その地図を預かることにした。
幻の薬草なんて、眉唾物だろう。
しかしもし本当に価値があるなら、莫大な利益を生む可能性もある。
経理とはリスクを管理し、リターンを最大化させる仕事だ。
この地図も一つの投資案件として、検討してみることにしよう。
そんなことを考えていると、窓辺にいたノクスが不意に低い唸り声を上げた。
見ると、ノクスの黒い毛が逆立っている。
その視線は、窓の外の暗闇にまっすぐ注がれていた。
フェンも、私の足元で警戒するように立ち上がる。
「どうしたのですか、二人とも」
私が窓に近づくと、路地の暗がりで何かが動いたのが見えた。
人影だろうか、いやそれにしては動きが俊敏すぎる。
次の瞬間その影は、驚くべき跳躍力で屋根の上へと飛び乗った。
月明かりに照らされて、一瞬だけその姿が見える。
それは、黒いマントを羽織った小柄な人影だった。
人影は私と目が合うと、一瞬だけ動きを止めた。
そして、すぐに闇の中へと姿を消してしまう。
まるで、黒猫のようなしなやかな動きだった。
一体、何者だったのだろうか。
ただの、空き巣や泥棒とは思えない。
その夜、私はなかなか寝付けなかった。
昼間の商人たちの熱気と、バエルさんの持ち込んできた謎の地図。
そして夜の闇に消えた、あの黒い影。
このポルタという街は、私が思っていた以上に多くの謎を秘めているのかもしれない。
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