【完結】恋愛経験ゼロ、モテ要素もないので恋愛はあきらめていたオメガ男性が運命の番に出会う話

十海 碧

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 木原真希は蓮の漫画家デビューに関し考えていた企画があった。
「編集長、私、京都に出張していいですか?」
「どした、木原、里帰りと出張は違うぞ」
 編集長はのんびりと冷やかす。真希は京都生まれのK大出身であった。
「関西アニメーションにアポイントのお願いしたら会って下さるとご返事頂いたので」
「なんかアニメ化の企画あった?」
「私が企画したんです」
「は?!」
「桐生柊里先生の10周年記念パーティで桐生蓮の紹介する予定なんですが、その時にコミカライズ作品の映像を流したら素敵なのではないかと思って。桐生先生に相談したら資金は出して頂けると了承してもらえたんです」
「桐生先生の10周年記念パーティはうち主催しているから、その仕事で出張するのはいいけど、そんな数分の映像を関アニが作ってくれるのか?」
「分かりません。でも桐生蓮の繊細な画をアニメ化するのであれば関アニなんです。伊集社の名前使ったら面談はして頂けるようなのでお願いしてみたいんです」
「お前は桐生先生の担当として十分頑張っているし、桐生先生はうちの稼ぎ頭だし、費用は桐生先生持ちというのなら反対する理由はないな。OK、出張にしてやる」
「ありがとうございます」
 真希が向かう関アニは京都の有名なアニメ制作会社である。繊細な画、感情表現では他社を圧倒している。

 関アニの社長は真希の持参した蓮の漫画を見る。
「ふむ、この作品は知っている。小説が売れてて、映画化もしたよね。今度は漫画なんだ。上手い画だね」
 隣に座っていた作画監督の女性も一緒に見る。
「この方、基礎がしっかりしてるから、キャラデザはしやすいですね。画も綺麗」
 10周年記念パーティに3分ほど映像を流したい。その映像の作成を依頼した。
「うちは今、大きな仕事いくつか抱えていて、そういう小さな仕事請け負ってないんだ」と社長が真希に言う。
「私、この作品をアニメ映画化したいんです」
 真希が思い切って言う。
 社長が冷ややかに言い返す。
「でも、この作品、実写映画化したでしょ。あれ、結構面白かったよね。今更アニメ映画に作り直す必要ある?」
 作画監督も言う。
「私も見ました。○○様、カッコ良かった!」
 真希は説明し始めた。
「この原作の『運命に逆らって』なんですが、実は主人公のオメガ、原作では男性、女性の性別はっきりさせてないんです」
「え? 映画では美少女女優の△△ちゃん主演だったよね。めっちゃ可愛かったけど」
「最初、原作読むと主人公は女性と思っちゃうんですよね。映画も女優さんだったから先入観持っちゃう。何度も読み返したんですけど一言も女性って言ってないんですよ。桐生先生に確認したら敢えてそうしたんだそうです。普通は主人公を女性と思って読むんですけど、男性と考えるとまた違う面白さが出てきて。1冊で2回楽しめる小説ならではのトリックだそうです。そこでコミカライズの主人公オメガは男性でいくことになったんです」
 作画監督の女性の目が光る。
「というとBL?」
「漫画はBLです。これでアニメ映画にもしたいと考えております。そのイメージ動画で」
 作画監督は急にやる気に満ち溢れてきた。腐の同志の匂いを感じる。
「映画化決まったらイメージ動画作ったうちの仕事になりそうだね」
 社長がポツンと言うと真希のボルテージが上がった。
「私、御社の作品すごく好きで。この桐生蓮の繊細な美をアニメ化するとしたら是非、御社にと思ってまして」
 作画監督もイメージが湧いてきたようで漫画を眺め真希と話し始める。
 社長はにが笑いし「ま、伊集社さんのような大手と縁ができるのはいいことだし。今回に限って言えば3分間のイメージ動画だから、君がやりたいのなら受けていいですよ」と作画監督に振って出て行った。
 真希と作画監督は打ち合わせをし、気がつくと夜遅くなっていた。お腹もすいたので監督行きつけの小料理屋に移動。大いに飲んで話して、意気投合しアドレス交換した。
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