【完結】恋愛経験ゼロ、モテ要素もないので恋愛はあきらめていたオメガ男性が運命の番に出会う話

十海 碧

文字の大きさ
35 / 48

35*

しおりを挟む
 初めてのクリスマスは相談して箱根の温泉宿のお泊りにした。優斗が予約してくれた所は立派な旅館で部屋に露天風呂が付いていた。
 チェックインして荷物を置いてから2人で町をぶらついた。
「寒いでしょ」
 優斗が蓮の手を恋人繋ぎして自分のコートのポケットに入れる。いつも部屋でデートだったから2人で散歩できるのが嬉しい。
 蓮はにこにこして「お外デートだ。嬉しい。初めて」と喜ぶ。
 優斗は顔をしかめて「そんな外で急に可愛い顔をされると困る」と変な困り方をしていた。
 ぶらぶらとお土産物屋を見て回る。寄木細工の店があり、蓮は柊里にオルゴールをお土産に買った。柊里は工芸品が好きで机の周りに色々飾っている。そうこうしてると小説の中に小道具として出てくる。これも新作の小道具になれればいいなと思いながら選んだ。
 優斗はEASTに持っていくお菓子を買っていた。お土産を買い部屋に戻る。
 12月22日放映したあず先輩の密着テレビを録画したものを2人で見た。最後の10分で蓮が出てきた。
「……!!」
 優斗が声にならない絶叫をする。停止ボタンを押し「こんな格好するなんて聞いてない!」と蓮に噛みつく。
「あず先輩の希望で……、僕はやっぱり似合ってないよね」
 蓮はしょんぼりして答える。優斗は慌ててぶんぶん首を振る。
「違う……可愛すぎる。こんなの公共の電波に乗せたなんて信じられない。俺が見る前に何人に見られてしまったのか」
「優斗……、それは贔屓目だよ」
 再生ボタンを押し、続きを見る。
 蓮は助手役なのであず先輩がクリスマスケーキを作る横で材料を持ってきたり、使い終わったのを片付けたりしていた。ゴスロリ服はあず先輩がミニスカで蓮はショートパンツだった。スカル模様の黒タイツをはいている。白いエプロンはゴージャスなレース付きで汚したらどうしようと少しはらはらしていた。
(あず先輩は似合ってて可愛い)
(僕もちょっと似合ってるかも)
 あず先輩が行きつけのゴスロリ店はあず先輩の従姉の宝条美樹、24歳オメガ女性のショップ、Miki Hojoである。オメガのオメガによるオメガのためのファッションがポリシー。蓮にも着こなせるようにデザインしてくれてプロってすごい。
 最後に蓮のインタビューで番組は終わった。蓮はあず先輩のおかげで自分のやりたい事がわかり漫画を描き始めたと話した。1月に発売する『運命に逆らって』のコミカライズも宣伝してもらえた。上手く編集されていて、てきぱき話しているように見えた。いつもの蓮より賢そうに映っている。テレビ制作の人にも感謝だ。
 番組が終わりCMになったので再生を終了した。優斗がいきなり蓮にがばっと抱きつく。
「どうしよう。どうしよう」
 優斗が呟くので「どうしたの?」と聞く。
「こんな犯罪的に可愛い蓮の姿が全国ネットで放映されたなんて。みんな蓮を好きになっちゃう。どうしよう」
 冗談かと思ったが優斗が真剣な顔で蓮を見ている。蓮は勇気を出して自分から優斗にちゅっと啄むようなキスをした。
「僕が好きなのは優斗だけだよ」
 優斗はあっという間に笑顔になり、がばっと蓮を抱き締め、噛みつくようにキスし始めた。
 盛り上がりかけたところでトントンとノックされる。仲居さんが「夕食です」と食事を運んできたのでいちゃつきは中断した。料理は美味しくすっかり満腹になった。ごろごろいちゃいちゃの続きをしながら蓮は小一時間うたた寝をしてしまった。
 はっと起きるとそばで見ている優斗と目が合う。
「ごめん、寝ちゃった」
「いいよ。今日はずっと一緒にいれるから、時間はまだある。寝顔も可愛かったし」
 優斗は起き上がる。
「でも、せっかく来たから温泉入ろ」
「うん」
 蓮も起き上がる。
 2人で服を脱ぎ、部屋に付いている露天風呂に入った。夜の冷たい風が頬に心地よく当たり何時間でも入っていられそうだった。
「いいお湯。疲れ取れそう」と蓮は優斗に言った。
「疲れが取れた所で、また疲れることしようね」と優斗が微笑み、蓮が赤くなった。
「ふう」と優斗は立ち上がり腰掛け直す。温まったので上半身を湯から出し夜風を受けた。
 蓮がちらっと優斗を見る。綺麗に筋肉の付いた優斗の裸はミケランジェロの彫刻のようだった。
(カッコいいな)
 蓮は自分の貧相な体をお湯に沈めて隠した。すっぽり首までお湯に浸かっているとだんだんのぼせてくる。
「そんなにすっぽり入っていたら、のぼせてしまうよ。こっちにおいで。お水あげるよ」
 優斗に軽く手を引っ張られ蓮は渋々立ち上がる。蓮の白いしなやかな体は火照ってピンク色になっていた。優斗の膝に腰掛け、冷えたお水を飲ませてもらう。氷をたっぷり入れたポットのお水はキンキンに冷えていて、とても美味しくごくごくと飲んだ。飲み終わって優斗を見ると、優斗の目が欲望でとろんと溶けている。
「蓮、綺麗だね」
「優斗の方がカッコいいよ」
「こんなに美味しそうで我慢できない」
 蓮の胸の尖りがふっくらとピンク色に盛り上がっている。火照った肌のピンクと同じ色に染まっている。優斗は胸の尖りを口を寄せた。ちゅっと吸い付き、舌で転がした。柔らかくふわふわしていた胸の尖りが芯を持ち、さらに赤く染まる。胸の尖りからお腹の奥に快感が走り、蓮が喘ぐ。
 蓮の喘ぎ声を聞くと、優斗はもう我慢できなくなり、蓮を抱いて風呂から寝室に向かった。優斗は蓮の全身を舐め回し、蓮は何回もイッた。他のアルファを牽制するように首筋から胸をじゅっと吸い、キスマークをつける。たくさん付けると優斗の心が安心した。
「ゆうと、おくがさびしい。きて」
 優斗は喜んでいそいそとゴムを装着し蓮の中に入る。柔らかくぬかるんで優斗のペニスをうれしそうに飲み込んだ。前を扱きながら奥をトントンとノックする。蓮はイキすぎて段々、出る蜜が薄まってきた。
 優斗が堪えきれずに快感を蓮の奥に吐き出す。ゴム越しの振動を感じながら蓮は意識を手放した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

泡にはならない/泡にはさせない

BL
――やっと見つけた、オレの『運命』……のはずなのに秒でフラれました。――  明るくてお調子者、だけど憎めない。そんなアルファの大学生・加原 夏樹(かはらなつき)が、ふとした瞬間に嗅いだ香り。今までに経験したことのない、心の奥底をかき乱す“それ”に導かれるまま、出会ったのは——まるで人魚のようなスイマーだった。白磁の肌、滴る水、鋭く澄んだ瞳、そしてフェロモンが、理性を吹き飛ばす。出会った瞬間、確信した。 「『運命だ』!オレと『番』になってくれ!」  衝動のままに告げた愛の言葉。けれど……。 「運命論者は、間に合ってますんで。」  返ってきたのは、冷たい拒絶……。  これは、『運命』に憧れる一途なアルファと、『運命』なんて信じない冷静なオメガの、正反対なふたりが織りなす、もどかしくて、熱くて、ちょっと切ない恋のはじまり。  オメガバースという世界の中で、「個」として「愛」を選び取るための物語。  彼が彼を選ぶまで。彼が彼を認めるまで。 ——『運命』が、ただの言葉ではなくなるその日まで。

発情期アルファ王子にクッキーをどうぞ

小池 月
BL
 リーベント国第五王子ロイは庶民出身の第二公妾の母を持つ貧乏王子。リーベント国は農業が盛んで豊かな国。平和だが貴族や王族の権力争いが絶え間ない。ロイと母は、貴族出身の正妃と第一公妾、その王子王女たちに蔑まれて過ごしていた。ロイの唯一の支えは、いつか国を脱出し母と小さな洋菓子店を開き暮らすこと。ある日、ロイが隣国アドレアに友好のため人質となることが決定される。国王の決定には逆らえず母をリーベントに残しロイは出国する。  一方アドレア国では、第一王子ディモンがロイを自分のオメガだと認識したためにロイをアドレアに呼んでいた。現在強国のアドレアは、百年前は貧困の国だった。当時の国王が神に救いを求め、卓越した能力を持つアルファを神から授かることで急激な発展を実現した国。神の力を持つアルファには獣の発情期と呼ばれる一定の期間がある。その間は、自分の番のオメガと過ごすことで癒される。アルファやオメガの存在は国外には出せない秘密事項。ロイに全てを打ち明けられないまま、ディモン(ディー)とロイは運命に惹かれるように恋仲になっていく。  ロイがアドレアに来て二年が過ぎた。ロイは得意の洋菓子でお金稼ぎをしながら、ディーに守られ幸せに過ごしていた。そんな中、リーベントからロイの母危篤の知らせが入る。ロイは急いで帰国するが、すでに母は毒殺されていた。自身も命を狙われアドレアに逃避しようとするが、弓矢で射られ殺されかける。生死をさ迷い記憶喪失になるロイ。アドレア国辺境地集落に拾われ、シロと呼ばれ何とか生きて行く。  ディーの必死の捜索により辺境地でロイが見つかる。生きていたことを喜び、アドレア主城でのロイとの生活を再開するディー。徐々に記憶を取り戻すロイだが、殺されかけた記憶が戻りパニックになる。ディーは慈しむような愛でロイを包み込み、ロイを癒す。  ロイが落ち着いた頃、リーベント国への友好訪問をする二人。ディーとリーベント国王は、王室腐敗を明るみにして大掛かりな粛清をする。これでロイと幸せになれる道が開けたと安堵する中、信頼していた親代わりの執事にロイが刺される。実はロイの母を殺害したのもこの執事だった。裏切りに心を閉ざすロイ。この状態ではアルファの発情期に耐えられないと思い、発情期を一人で過ごす決意をするディー。アルファの発情期にオメガが居なければアルファは狂う。ディーは死を覚悟するが、運命を共にしようと言うロイの言葉を受け入れ、獣の発情期を共にする。狂ったような性交のなかにロイの愛を感じ癒されるディー。これからの人生をロイと過ごせる幸福を噛みしめ、ロイを守るために尽くすことを心に誓う。

君に不幸あれ。

ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」 学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。 生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。 静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。 静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。 しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。 玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。 それから十年。 かつて自分を救った玲に再会した静は玲に対して同じ苦しみを味合わせようとする。

運命よりも先に、愛してしまった

AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。 しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、 2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。 その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。

その運命に跪く時

みこと
BL
上位アルファの家系に生まれた孝太郎はオメガ嫌いの両親の影響でオメガが大嫌いだった。 フェロモンを振り撒く卑猥なオメガ…。そう思って生きてきたのに。 大学で弘海と出会って、自分の中の何かが変わっていく。でもそんな自分を受け入れられない孝太郎は…。 『運命はいつもその手の中に』の孝太郎と弘海のスピンオフです。 後半はただイチャイチャしてるだけです。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

金の野獣と薔薇の番

むー
BL
結季には記憶と共に失った大切な約束があった。 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎ 止むを得ない事情で全寮制の学園の高等部に編入した結季。 彼は事故により7歳より以前の記憶がない。 高校進学時の検査でオメガ因子が見つかるまでベータとして養父母に育てられた。 オメガと判明したがフェロモンが出ることも発情期が来ることはなかった。 ある日、編入先の学園で金髪金眼の皇貴と出逢う。 彼の纒う薔薇の香りに発情し、結季の中のオメガが開花する。 その薔薇の香りのフェロモンを纏う皇貴は、全ての性を魅了し学園の頂点に立つアルファだ。 来るもの拒まずで性に奔放だが、番は持つつもりはないと公言していた。 皇貴との出会いが、少しずつ結季のオメガとしての運命が動き出す……? 4/20 本編開始。 『至高のオメガとガラスの靴』と同じ世界の話です。 (『至高の〜』完結から4ヶ月後の設定です。) ※シリーズものになっていますが、どの物語から読んでも大丈夫です。 【至高のオメガとガラスの靴】  ↓ 【金の野獣と薔薇の番】←今ココ  ↓ 【魔法使いと眠れるオメガ】

処理中です...