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第十章
第四話 どちらかの消滅
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ナナミの肉体の中に2つの魂が入っている。衝撃的な事実を知った俺は、どうするべきかを思案していた。
所長たちがやっていることは許せない。普通は一つの肉体に2つの魂が存在することは不可能だ。今はどうにかなっているかもしれないが、時が進む毎に、いずれはどちらかの魂が消滅するだろう。
「ナナミを見つけて連れ出す。それが一番だな。でも、カレンニサキホコルが表に出たら、逃げ出すかもしれない」
昨日のやり取りを思い出す限り、ナナミは俺のところに来たがっている。しかしカレンニサキホコルの方は、それを拒絶している。
どうにかして、彼女も俺のところに居たがる方法を模索した方が良いだろうな。でも、どうすれば良い?
「あ! こんなところに居たのね! みんな! シャカールが居たわよ!」
聞き覚えのある声が聞こえ、そちらに顔を向ける。茶髪の髪をツインテールにしたキツネ耳の女の子が俺のところに駆け寄ってきた。
「もう、急に居なくなって! みんな心配していたんだからね!」
「タマモ、すまない。ちょっと外の空気を吸いたくなったんだ」
彼女に謝ると、次々とシェアハウスのメンバーたちが集まってくる。
「見つかって良かったです。ママ安心しました。もう、シャカール君! 勝手に外出したらダメでしょう! ちゃんとお外に出る時には声をかけないと」
「シャカールちゃん良かった! マーヤを置いて消えたかと思ったよ」
「シスコントレーナーのシャカールトレーナー、みんなを心配させたらダメじゃないですか! いくら妹のような存在に振られたからと言っても、シャカールトレーナーには、このわたしをアイネスビジンさんに余裕で勝たせると言う使命があるので、自殺をしに向かわないでください!」
それぞれが心配する声を発する中、アイリンだけが俺に対して悪態混じりの言葉を投げかけた。
まぁ、それだけ彼女たちに心配をかけてしまったのだろう。
「みんなすまない。心配をかけたな。俺はもう大丈夫だ」
「俺はもう大丈夫? そんな訳がないだろう。シャカール、お前の顔には全然大丈夫ではないと書いてあるぞ。ここに居る間に何かあったのだろう? それを話してくれないか?」
流石ルーナと言うべきか。俺が隠そうとしても、見抜いてしまうか。
でも、ここで嘘をついたところで彼女は見逃してくれないだろう。最悪俺の嫌がるようなことをしてでも、吐かせようとしてくる。そんな予感がしてならない。
「やっぱりルーナは騙せないか。ああ、実はさっきまでナナミと合っていたんだ。いや、正確にはもうひとつの魂のカレンニサキホコルだが」
俺は数分前の出来事を彼女たちに語る。
「異世界転生馬?」
俺の説明、タマモは小首を傾げた。それもそうだろう。こんな御伽噺のような話、簡単には信じてくれそうにない。それに俺はナナミが所長に着いて行ったショックで頭がおかしくなっていると思われているに違いない。
「クリープ先輩、医学的観点からどう思います?」
「そうですねぇ、医学的に考えても、信じられないことです。でも、多重人格として考えるとしたら、ナナミさんの研究所での生活が彼女を苦しめ、自我を守るために新たな人格が生まれるそれは考えられます」
「そのカレンニサキホコルちゃんは、マーヤのことを義理の姉って認めてくれるのかな?」
「何ですかそれ! 物語のようなことが起きている人物って実際にいるのですか! 話を聞いただけで、ワクワクするではないですか!」
俺の説明に、それぞれが思ったことを口走る。
頭のおかしいやつと思って蔑んだ目線を向けてくると思っていたが、案外信じてくれている方向なので、正直びっくりだ。
「はい、はい。全員、一旦落ち着こうか。実際にこの目で見た訳ではないので、心の底から信じる訳にはいかないが、シャカールの言っていることが事実の場合、のうのうとしている場合でもない。ひとつの肉体にふたつの魂が入ることなんて普通はあり得ないんだ。いずれかはどちらかの魂が消滅してしまう」
それぞれが言葉を漏らす中、ルーナが手を叩いて注目を集めると、制止の言葉を放つ。
「あ、そう言えば、転生系の物語では、赤子からの意識がある訳ではなく、少し成長してから転生前の記憶を思い出す作品がありますね。もしかして、それってナナミさんのように、ひとつの肉体にふたつの魂が入ってしまい、最終的に元々の魂が消滅してしまったってことなのですね。どおりで、どうしてふたつの世界の記憶があるんだろうって思っていました。まさか、ここでその事実を知ることになるとは!」
ルーナが静かにするように促したのにも関わらず、アイリンが直ぐに声を上げる。
「取り敢えずは、アイリンはその認識で良いだろう。難しい言葉で説明するよりも、君は自分の好きなもので例えた方が、理解が早いだろうからね」
ルーナは一度咳払いをする。
「このままでは、ナナミかカレンニサキホコルのどちらかが消滅をしてしまう。シャカールはどうしたい?」
「そんなこと決まっている。俺はナナミを助ける。彼女の魂を消滅させてたまるか」
「分かった。シャカールがそのつもりでいるのなら、力を貸そう。実は、あの研究所の所長には、個人的に聞きたいことがあるのでな。明後日からは新学期が始まる。取り敢えずはワタシに任せて、シャカールたちは学園生活に戻ってくれ」
後のことはルーナに任せるように言われてしまった。正直、彼女ばかりに任せるのは嫌だが、こうなった以上、彼女を頼るしかない。
待っていろよ、必ず俺が救ってみせるからな。
所長たちがやっていることは許せない。普通は一つの肉体に2つの魂が存在することは不可能だ。今はどうにかなっているかもしれないが、時が進む毎に、いずれはどちらかの魂が消滅するだろう。
「ナナミを見つけて連れ出す。それが一番だな。でも、カレンニサキホコルが表に出たら、逃げ出すかもしれない」
昨日のやり取りを思い出す限り、ナナミは俺のところに来たがっている。しかしカレンニサキホコルの方は、それを拒絶している。
どうにかして、彼女も俺のところに居たがる方法を模索した方が良いだろうな。でも、どうすれば良い?
「あ! こんなところに居たのね! みんな! シャカールが居たわよ!」
聞き覚えのある声が聞こえ、そちらに顔を向ける。茶髪の髪をツインテールにしたキツネ耳の女の子が俺のところに駆け寄ってきた。
「もう、急に居なくなって! みんな心配していたんだからね!」
「タマモ、すまない。ちょっと外の空気を吸いたくなったんだ」
彼女に謝ると、次々とシェアハウスのメンバーたちが集まってくる。
「見つかって良かったです。ママ安心しました。もう、シャカール君! 勝手に外出したらダメでしょう! ちゃんとお外に出る時には声をかけないと」
「シャカールちゃん良かった! マーヤを置いて消えたかと思ったよ」
「シスコントレーナーのシャカールトレーナー、みんなを心配させたらダメじゃないですか! いくら妹のような存在に振られたからと言っても、シャカールトレーナーには、このわたしをアイネスビジンさんに余裕で勝たせると言う使命があるので、自殺をしに向かわないでください!」
それぞれが心配する声を発する中、アイリンだけが俺に対して悪態混じりの言葉を投げかけた。
まぁ、それだけ彼女たちに心配をかけてしまったのだろう。
「みんなすまない。心配をかけたな。俺はもう大丈夫だ」
「俺はもう大丈夫? そんな訳がないだろう。シャカール、お前の顔には全然大丈夫ではないと書いてあるぞ。ここに居る間に何かあったのだろう? それを話してくれないか?」
流石ルーナと言うべきか。俺が隠そうとしても、見抜いてしまうか。
でも、ここで嘘をついたところで彼女は見逃してくれないだろう。最悪俺の嫌がるようなことをしてでも、吐かせようとしてくる。そんな予感がしてならない。
「やっぱりルーナは騙せないか。ああ、実はさっきまでナナミと合っていたんだ。いや、正確にはもうひとつの魂のカレンニサキホコルだが」
俺は数分前の出来事を彼女たちに語る。
「異世界転生馬?」
俺の説明、タマモは小首を傾げた。それもそうだろう。こんな御伽噺のような話、簡単には信じてくれそうにない。それに俺はナナミが所長に着いて行ったショックで頭がおかしくなっていると思われているに違いない。
「クリープ先輩、医学的観点からどう思います?」
「そうですねぇ、医学的に考えても、信じられないことです。でも、多重人格として考えるとしたら、ナナミさんの研究所での生活が彼女を苦しめ、自我を守るために新たな人格が生まれるそれは考えられます」
「そのカレンニサキホコルちゃんは、マーヤのことを義理の姉って認めてくれるのかな?」
「何ですかそれ! 物語のようなことが起きている人物って実際にいるのですか! 話を聞いただけで、ワクワクするではないですか!」
俺の説明に、それぞれが思ったことを口走る。
頭のおかしいやつと思って蔑んだ目線を向けてくると思っていたが、案外信じてくれている方向なので、正直びっくりだ。
「はい、はい。全員、一旦落ち着こうか。実際にこの目で見た訳ではないので、心の底から信じる訳にはいかないが、シャカールの言っていることが事実の場合、のうのうとしている場合でもない。ひとつの肉体にふたつの魂が入ることなんて普通はあり得ないんだ。いずれかはどちらかの魂が消滅してしまう」
それぞれが言葉を漏らす中、ルーナが手を叩いて注目を集めると、制止の言葉を放つ。
「あ、そう言えば、転生系の物語では、赤子からの意識がある訳ではなく、少し成長してから転生前の記憶を思い出す作品がありますね。もしかして、それってナナミさんのように、ひとつの肉体にふたつの魂が入ってしまい、最終的に元々の魂が消滅してしまったってことなのですね。どおりで、どうしてふたつの世界の記憶があるんだろうって思っていました。まさか、ここでその事実を知ることになるとは!」
ルーナが静かにするように促したのにも関わらず、アイリンが直ぐに声を上げる。
「取り敢えずは、アイリンはその認識で良いだろう。難しい言葉で説明するよりも、君は自分の好きなもので例えた方が、理解が早いだろうからね」
ルーナは一度咳払いをする。
「このままでは、ナナミかカレンニサキホコルのどちらかが消滅をしてしまう。シャカールはどうしたい?」
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