薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳

文字の大きさ
228 / 269
第十二章

第二十話 シャカール、ペットを飼う

しおりを挟む
~ルーナ視点~





 弟の魂を解放するために、ワタシはマネットライムを倒そうとした。しかし、シャカールのやつに止められ、時間をくれないかと言われた。

 最初は迷ったが、彼なりの考えがあるのだろうと思い、シャカールのことを尊重してあの場から一旦さった。

「そろそろ10分くらいになるだろうか。さて、これくらい時間があれば、もう充分だろう」

 それなりに離れた場所まで移動したので、シャカールの声はまったく聞こえてはいない。あの男はワタシの目を盗んで何をしようとしていたのだろうか?

 そんなことを思いつつも、シャカールが居るところへと歩みを進める。

 戻って見ると、シャカールの姿はあった。しかし、マネットライムの姿は見えない。

「ワタシの弟の魂が融合したマネットライムはどうした?」

「ルーナか。あいつは俺の説得に応じてくれたよ。無事に成仏してくれると良いがな」

「そうか。辛い役目を押し付けてしまったな」

 彼はきっと、ワタシの手でとどめを刺させる訳にはいかないと思い、汚れ役を引き受けてくれたのだろう。

「別に構わないさ。多分、俺じゃないとできないことだったと思う」

 シャカールが振り返る。すると、彼の腕にはなぜか子犬が抱き抱えられていた。

「うん? その子犬はどうした?」

「ああ、ルーナが来るちょっと前に、突然現れたんだ。どっからか迷い込んだみたいでさ、首輪もされていないから野良犬みたいなんだ。こいつ、賢いんだぞ」

 そう言うと、シャカールは抱き抱えている子犬を地面に下ろす。そして彼自身も屈むと、手を前に出した。

「お手!」

 どうやら芸をさせようとしているようで、定番の言葉をシャカールは口に出す。

 すると、ぎこちない動きで右の前足をシャカールの手に乗せた。

 なぜだろうか? ワタシには、嫌々指示に従っているように見える。尻尾を振ってもいないし、子犬の表情も嫌そうに見受けられる。

 試しにワタシもしてみるか。

「子犬、こっちを見ろ」

 ワタシの方を見るように、子犬に向かって指示を出す。すると、やつはこちらに顔を向け、体の方もワタシに向ける。

 自分が子犬だと言うことを自覚しているだと! 確かにある意味賢いのかもしれない!

 予想以上に賢いことに衝撃を受けるも、ワタシは冷静に振る舞うことを心掛ける。

 そしてワタシも屈むと右手を前に出す。

「よし、ではお手だ」

 シャカールの時のように芸をするように指示を出す。その瞬間、子犬は右の前足を手に乗せ、尻尾を素早く左右に振った。さらに、何も指示を出していないのにも関わらず、今度は右の前足を一度引っ込ませ、今度は左前足をワタシの手に置いた。

 こいつ、何も指示を出していないのに、まるでワタシの心を読んだかのように、次の行動に出ていやがる!

 衝撃を受けていると、子犬は更に次の行動に出た。

 何も指示を出していないのにも関わらず、伏せを始めたのだ。

 子どもの頃に犬を飼っていた経験があり、ワタシは必ずお手、お代わり、伏せの順番で芸を仕込んでいた。

 この子犬は、ワタシの指示を出すパターンがまるで分かっているかのようだ。

 正直、賢いを通り越して少し不気味に感じてしまう。

「この子犬、賢いかもしれないが、可愛げがあまりないな」

『クーン、クーン、クーン』

 可愛げがない。そう呟いた途端に、子犬は甘える時のような鳴き声を出し始める。

 この子犬、ワタシが可愛げがないと言った途端に可愛い鳴き声を出し始めたな。

 人間の言葉を理解して即座に行動するとは、どれだけ賢いんだ。

「この子犬、幼いにしては賢すぎるな。まさか、研究所で改造された特殊な犬なのでは?」

 あまりにも賢すぎる子犬に訝しむ。すると、子犬はバカな行動に出始めた。

 自分の尻尾を追いかけるように、その場で何度も回転を始める。

 ワタシの言葉に反応してそれに応えようと必死になっているようであり、ますます怪しい。

「なぁ、ルーナのところでこの子犬を飼ってくれないか? シェアハウスでは、流石に飼えないだろう?」

「断る!」

 ワタシに子犬を育ってくれないかとシャカールが言ってきたので、即答で拒否した。

 誰が、こんな賢すぎるあまりに不気味な犬を側に置くか。

 拒絶した瞬間、子犬はショックを受けたかのように、突然横に倒れ出す。

「ちょっと待ってくれ! どうして飼ってくれないんだ! 可哀想だとは思わないのか!」

「この子犬を可哀想だと思うのであれば、シャカール、お前が飼ってやれ」

「いや、シェアハウスで飼えないだろう?」

「シェアハウスでペットを飼えないなんて誰が言った? ワタシが許可を出す。お前が拾ったんだ。責任を持ってお前が育てろ」

「でも、他の奴らは犬が嫌いかもしれないだろう?」

「いや、ワタシの知っている限りは、別にアレルギー持ちや犬が嫌いなやつはいなかった。良かったな。シェアハウスのマスコットキャラができて」

 こうして、シェアハウスに新たな仲間が加わった。ワタシは極力近付きたくないが、きっとシャカールたちがしっかりと躾けてくれるだろう。

 後でペット用品を取り寄せないといけないな。流石にそれくらいのサポートはするべきだろう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...