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⑤激甘溺愛への反撃は(3)
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パチン!
「.....っっ!よし!.....やっと完成したわ。我ながら上出来じゃないかしら?」
モモネリアは、自室の机に向かって糸切りばさみを片手に、満足げな顔だ。
今仕上がったばかりのリードネストへのプレゼントを見つめている。
リードネストには、あれから会っていない。
モモネリアとしては、作業時間を確保したかっただけなので、食事などはいつも通りリードネストととるつもりだった。
しかし、リードネストは、あれから食事の時間もずらしているのか全くモモネリアの前に現れない。
....会いたいわ。やっぱり、怒っているのかも。嫌われては....いない、はず.....よね?
初めて、ただ喜んでほしいと何かしてあげたいと思った相手と、こんな状況になってモモネリアは少し落ち込んでいた。
番であるモモネリアを、嫌うはずはないのだが、会えていないとどうしたって悪いことを考えてしまう。
....傷つけたのかしら?
.....プレゼントを渡して、謝りましょう。
モモネリアは、早速プレゼントを綺麗にリボンで包んだ。
そのまま、侍女のハルカにリードネストの居場所を尋ねる。
「旦那様でしたら、先ほど庭のほうに向かわれたと聞いております。ただ....」
「ありがとう!」
「....あっ!!モモネリアさま!!」
ハルカが、何か言いかけていたのを最後まで聞かずにモモネリアは急いで庭に向かった。
どうしても早くリードネストにこれを渡したくて、はやる気持ちを抑えられなかった。
庭に続く道を足早にすすみ、角を曲がったところで、リードネストの後ろ姿が見えた。
「リー.....。あれ、は......?」
声をかけようとした瞬間、モモネリアは固まった。
リードネストの腕に、可愛らしいクリーム色の垂れ耳を揺らした美しい女性が絡みついていたからだ。
見たところ、リードと同じく獣人のようだ。
陽の光を受けてキラキラ輝く透明感のあるブロンドの髪の毛は、腰までふわふわ伸びて風に靡き。
髪の毛よりハッキリとした金色の瞳をした目は、長いまつ毛に縁取られている。
鼻筋は通り、唇はふわふわ柔らかそうで思わず触れたくなる。
グリーンの色味を基調としたドレスが、とてもよく似合っていた。
彼女は、何やら嬉しそうに隣のリードネストを見上げ、頬を染めている。
リードネストは.....不思議なほど仏頂面で、表情をピクリとも変えていない。
モモネリアに向ける顔とは、まるで違った。
それを見て、モモネリアは何故か胸を撫で下ろす。
....え?どうして、私、ホッとしてるの?
胸に手をあて、掌をぎゅっと握る。
変だ。リードネストが、あの女性に笑いかけていないことが嬉しいだなんて。
あの甘い笑顔を向けるのは.....私だけであってほしい、なんて。
そう自覚した途端、自分がひどく独占欲の強い狭量な人間に思えて、モモネリアは恥ずかしくなった。
モモネリアが混乱しながら、再び、視線を二人に向けるとーーーー。
リードネストが笑っていた。
なんとも愛おしげに、頬をほんのり染め、優しげに目を細めている。
モモネリアに向けるものと同じ、あの、特別なはずの笑顔ーーーーー。
モモネリアを、固いもので頭を殴られたような衝撃が襲った。
何も考えられなくなった。
......見たくない。
そう思うより早く、モモネリアの身体は勝手に踵を返して、その場を離れていた。
声は聞こえなかった。
何を話していたのかは、わからない。
でも、カーヴィンやハルカ、他の者から、リードネストは女性に興味がなかった、と聞いている。
それなのに、あの笑顔を.....先日までモモネリアに向けてくれていたはずの、あの胸を締めつけるような笑顔を....自分以外の女性にも向けていた。
その事実だけで、モモネリアの心はひどくいたんで、苦しくて。
モモネリアは、逃げたのだ。
涙が、ぽろぽろと溢れて止まらない。
......私以外に、あんなに優しく笑わないで。
......どうしてその女性の隣にいるの?私には....最近食事のときでさえ、会ってくれなかったのに。
........私を見てよ。その子を見ないで。こっちを、向いて。
さっき見た光景が頭の中をぐるぐるまわり、心の中がそんな醜い思いで真っ黒に染まっていく。
......馬鹿みたい。これじゃ、まるで....嫉妬、だわ。
モモネリアは、この日、初めて『嫉妬』という感情を知った。
.......リードに会ってから、知らない感情に出会ってばかり。
.......リードに会って、愛されることを知って、ただ相手に喜んでほしいと思える温かい気持ちを知って......独占欲や嫉妬みたいなドロドロした黒い気持ちを知った。
........こんな私、きっとリードは嫌になるわ。
.........私は.....どうしたら、いいの?
その時ーーー。
必死に駆け込んだ自室のドアがノックされた。
パチン!
「.....っっ!よし!.....やっと完成したわ。我ながら上出来じゃないかしら?」
モモネリアは、自室の机に向かって糸切りばさみを片手に、満足げな顔だ。
今仕上がったばかりのリードネストへのプレゼントを見つめている。
リードネストには、あれから会っていない。
モモネリアとしては、作業時間を確保したかっただけなので、食事などはいつも通りリードネストととるつもりだった。
しかし、リードネストは、あれから食事の時間もずらしているのか全くモモネリアの前に現れない。
....会いたいわ。やっぱり、怒っているのかも。嫌われては....いない、はず.....よね?
初めて、ただ喜んでほしいと何かしてあげたいと思った相手と、こんな状況になってモモネリアは少し落ち込んでいた。
番であるモモネリアを、嫌うはずはないのだが、会えていないとどうしたって悪いことを考えてしまう。
....傷つけたのかしら?
.....プレゼントを渡して、謝りましょう。
モモネリアは、早速プレゼントを綺麗にリボンで包んだ。
そのまま、侍女のハルカにリードネストの居場所を尋ねる。
「旦那様でしたら、先ほど庭のほうに向かわれたと聞いております。ただ....」
「ありがとう!」
「....あっ!!モモネリアさま!!」
ハルカが、何か言いかけていたのを最後まで聞かずにモモネリアは急いで庭に向かった。
どうしても早くリードネストにこれを渡したくて、はやる気持ちを抑えられなかった。
庭に続く道を足早にすすみ、角を曲がったところで、リードネストの後ろ姿が見えた。
「リー.....。あれ、は......?」
声をかけようとした瞬間、モモネリアは固まった。
リードネストの腕に、可愛らしいクリーム色の垂れ耳を揺らした美しい女性が絡みついていたからだ。
見たところ、リードと同じく獣人のようだ。
陽の光を受けてキラキラ輝く透明感のあるブロンドの髪の毛は、腰までふわふわ伸びて風に靡き。
髪の毛よりハッキリとした金色の瞳をした目は、長いまつ毛に縁取られている。
鼻筋は通り、唇はふわふわ柔らかそうで思わず触れたくなる。
グリーンの色味を基調としたドレスが、とてもよく似合っていた。
彼女は、何やら嬉しそうに隣のリードネストを見上げ、頬を染めている。
リードネストは.....不思議なほど仏頂面で、表情をピクリとも変えていない。
モモネリアに向ける顔とは、まるで違った。
それを見て、モモネリアは何故か胸を撫で下ろす。
....え?どうして、私、ホッとしてるの?
胸に手をあて、掌をぎゅっと握る。
変だ。リードネストが、あの女性に笑いかけていないことが嬉しいだなんて。
あの甘い笑顔を向けるのは.....私だけであってほしい、なんて。
そう自覚した途端、自分がひどく独占欲の強い狭量な人間に思えて、モモネリアは恥ずかしくなった。
モモネリアが混乱しながら、再び、視線を二人に向けるとーーーー。
リードネストが笑っていた。
なんとも愛おしげに、頬をほんのり染め、優しげに目を細めている。
モモネリアに向けるものと同じ、あの、特別なはずの笑顔ーーーーー。
モモネリアを、固いもので頭を殴られたような衝撃が襲った。
何も考えられなくなった。
......見たくない。
そう思うより早く、モモネリアの身体は勝手に踵を返して、その場を離れていた。
声は聞こえなかった。
何を話していたのかは、わからない。
でも、カーヴィンやハルカ、他の者から、リードネストは女性に興味がなかった、と聞いている。
それなのに、あの笑顔を.....先日までモモネリアに向けてくれていたはずの、あの胸を締めつけるような笑顔を....自分以外の女性にも向けていた。
その事実だけで、モモネリアの心はひどくいたんで、苦しくて。
モモネリアは、逃げたのだ。
涙が、ぽろぽろと溢れて止まらない。
......私以外に、あんなに優しく笑わないで。
......どうしてその女性の隣にいるの?私には....最近食事のときでさえ、会ってくれなかったのに。
........私を見てよ。その子を見ないで。こっちを、向いて。
さっき見た光景が頭の中をぐるぐるまわり、心の中がそんな醜い思いで真っ黒に染まっていく。
......馬鹿みたい。これじゃ、まるで....嫉妬、だわ。
モモネリアは、この日、初めて『嫉妬』という感情を知った。
.......リードに会ってから、知らない感情に出会ってばかり。
.......リードに会って、愛されることを知って、ただ相手に喜んでほしいと思える温かい気持ちを知って......独占欲や嫉妬みたいなドロドロした黒い気持ちを知った。
........こんな私、きっとリードは嫌になるわ。
.........私は.....どうしたら、いいの?
その時ーーー。
必死に駆け込んだ自室のドアがノックされた。
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