お飾りの私と怖そうな隣国の王子様

mahiro

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恨めしく屋敷を見つめた所で、端から見れば寂しさを惜しんでいるようにしか見えないのであろうなと思う。
そんな風には見られたくなくて、屋敷に背を向けて町のある方へと歩き始めた。
こうして屋敷の外を歩くのは学園に通っていたとき以来だ。
ブライアンは車で通っていたけれど、私は歩いて通っていたなぁ。
本当は一緒に通いたかったけれど、通学中も勉学に励むブライアンの邪魔をしたくなかったし、到着したらしたで部活に真っ先に行って朝の練習に専念していたから私がいない方が良かったみたい。
お昼も別々だったし、帰りも別々。
ただ住んでいた屋敷は一緒でパーティーや社交場では横に立たせて貰えていた。
手に触れることや、肩に触れることすら許されなかった。
唯一許されたのは黙って必要なときだけ隣に立たせて貰えるだけ。
それだけで十分だと思っていたけれど、そんなわけないのにね。
そう思いながら歩いていたら、屋敷へと繋がる長い橋の向こうに二人の男性の姿が見えた。
彼らもマリー王女とゆかりのある人物だろうか。
だとすると、いつまでものんびりと歩いていたら邪魔だろうとフードを深く被り急ぎ足で歩き始めた。
一歩また一歩と足を進めながら、今まではここを当たり前のように通ることを許されていた道がもう許可がなければ歩けなくなるのかと寂しく感じた。


「…………」


無言のままあと一歩で橋を歩き終える、というタイミングで視界に地面と男性ものの茶色のブーツが見えた。
この靴は誰のものかと、フードで視界が狭まったまま地面から上へと徐々に顔を上げていけばそこには、ベージュのマントを着用し、それについているフードを深く被った長身の男がいた。
その後ろには同じような格好をした男性がもう一人いる。
どうやら先程見えていた二人が動かずにいたようだ。
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