4 / 11
4
しおりを挟む
その二人を避けて民家の方へ向かうかと思っていたら、それを止めるかのように目の前にいた男性が口を開いた。
「やけに騒がしいな。この時期何か行事でもあったか?」
男性にしては少しだけ高い声で、不機嫌さを含んだその声に聞き覚えがあった。
あれは確かブライアンが剣術を習いに行っていたときに何度も見かけたような気がする。
「覚えがないな。もうかれこれ4年も前のことだしなぁ」
男性の後ろにいた人がそれに答えたが、その人の逞しい声にも聞き覚えがある。
誰だったかまでは思い出せないけども。
「だな、俺もほとんど覚えてねぇ」
顔を見れば思い出せそうなのに二人揃って顔が口の部分しか見えていないので、声の情報しか入ってこない。
あと背丈と体格も分かるけれど、はっきり言って誰だかまでは分からない。
その人たちの前で不自然に立ち止まってしまったからなのか、たまたまなのか分からないが、不機嫌さが増したように見える男性から声をかけられてしまった。
「なぁ、あんた。知っていたら教えて欲しい。ブライアン・ダルに用があってアポ無しで来たんだが、今日何か行事でもあるのか?屋敷の中が騒がしいようだが」
「え。あ、はい。今日はブライアン殿下がやっと………マリー王女、と婚約を結べたという」
喜ばしいことが起きている、と言おうとしたのに何故か口が上手く動かなかった。
何事もないように答えて、二人の前を去れば良いのに不自然に言葉が切れてしまったせいで、二人が変に思ったに違いない。
平然と答えれば良いだけなのに、たったそれだけの言葉が出せない。
これは私が喜ばしいことだと本音では思えていないということなのだろうか。
ブライアン本人にはいつも練習していた『おめでとう』を言えたというのに、何故この二人には言葉が出てこないのだろう。
そう思い悩んでいたら、いきなり私の顔目掛けてベージュのマントが投げつけられた。
「やけに騒がしいな。この時期何か行事でもあったか?」
男性にしては少しだけ高い声で、不機嫌さを含んだその声に聞き覚えがあった。
あれは確かブライアンが剣術を習いに行っていたときに何度も見かけたような気がする。
「覚えがないな。もうかれこれ4年も前のことだしなぁ」
男性の後ろにいた人がそれに答えたが、その人の逞しい声にも聞き覚えがある。
誰だったかまでは思い出せないけども。
「だな、俺もほとんど覚えてねぇ」
顔を見れば思い出せそうなのに二人揃って顔が口の部分しか見えていないので、声の情報しか入ってこない。
あと背丈と体格も分かるけれど、はっきり言って誰だかまでは分からない。
その人たちの前で不自然に立ち止まってしまったからなのか、たまたまなのか分からないが、不機嫌さが増したように見える男性から声をかけられてしまった。
「なぁ、あんた。知っていたら教えて欲しい。ブライアン・ダルに用があってアポ無しで来たんだが、今日何か行事でもあるのか?屋敷の中が騒がしいようだが」
「え。あ、はい。今日はブライアン殿下がやっと………マリー王女、と婚約を結べたという」
喜ばしいことが起きている、と言おうとしたのに何故か口が上手く動かなかった。
何事もないように答えて、二人の前を去れば良いのに不自然に言葉が切れてしまったせいで、二人が変に思ったに違いない。
平然と答えれば良いだけなのに、たったそれだけの言葉が出せない。
これは私が喜ばしいことだと本音では思えていないということなのだろうか。
ブライアン本人にはいつも練習していた『おめでとう』を言えたというのに、何故この二人には言葉が出てこないのだろう。
そう思い悩んでいたら、いきなり私の顔目掛けてベージュのマントが投げつけられた。
35
あなたにおすすめの小説
【完結】私の愛する人は、あなただけなのだから
よどら文鳥
恋愛
私ヒマリ=ファールドとレン=ジェイムスは、小さい頃から仲が良かった。
五年前からは恋仲になり、その後両親をなんとか説得して婚約まで発展した。
私たちは相思相愛で理想のカップルと言えるほど良い関係だと思っていた。
だが、レンからいきなり婚約破棄して欲しいと言われてしまう。
「俺には最愛の女性がいる。その人の幸せを第一に考えている」
この言葉を聞いて涙を流しながらその場を去る。
あれほど酷いことを言われってしまったのに、私はそれでもレンのことばかり考えてしまっている。
婚約破棄された当日、ギャレット=メルトラ第二王子殿下から縁談の話が来ていることをお父様から聞く。
両親は恋人ごっこなど終わりにして王子と結婚しろと強く言われてしまう。
だが、それでも私の心の中には……。
※冒頭はざまぁっぽいですが、ざまぁがメインではありません。
※第一話投稿の段階で完結まで全て書き終えていますので、途中で更新が止まることはありませんのでご安心ください。
ヒロインが私の婚約者を攻略しようと狙ってきますが、彼は私を溺愛しているためフラグをことごとく叩き破ります
奏音 美都
恋愛
ナルノニア公爵の爵士であるライアン様は、幼い頃に契りを交わした私のご婚約者です。整った容姿で、利発で、勇ましくありながらもお優しいライアン様を、私はご婚約者として紹介されたその日から好きになり、ずっとお慕いし、彼の妻として恥ずかしくないよう精進してまいりました。
そんなライアン様に大切にされ、お隣を歩き、会話を交わす幸せに満ちた日々。
それが、転入生の登場により、嵐の予感がしたのでした。
侯爵令嬢はざまぁ展開より溺愛ルートを選びたい
花月
恋愛
内気なソフィア=ドレスデン侯爵令嬢の婚約者は美貌のナイジェル=エヴァンス公爵閣下だったが、王宮の中庭で美しいセリーヌ嬢を抱きしめているところに遭遇してしまう。
ナイジェル様から婚約破棄を告げられた瞬間、大聖堂の鐘の音と共に身体に異変が――。
あら?目の前にいるのはわたし…?「お前は誰だ!?」叫んだわたしの姿の中身は一体…?
ま、まさかのナイジェル様?何故こんな展開になってしまったの??
そして婚約破棄はどうなるの???
ほんの数時間の魔法――一夜だけの入れ替わりに色々詰め込んだ、ちぐはぐラブコメ。
年下の婚約者から年上の婚約者に変わりました
チカフジ ユキ
恋愛
ヴィクトリアには年下の婚約者がいる。すでにお互い成人しているのにも関わらず、結婚する気配もなくずるずると曖昧な関係が引き延ばされていた。
そんなある日、婚約者と出かける約束をしていたヴィクトリアは、待ち合わせの場所に向かう。しかし、相手は来ておらず、当日に約束を反故されてしまった。
そんなヴィクトリアを見ていたのは、ひとりの男性。
彼もまた、婚約者に約束を当日に反故されていたのだ。
ヴィクトリアはなんとなく親近感がわき、彼とともにカフェでお茶をすることになった。
それがまさかの事態になるとは思いもよらずに。
【完結】大好きな彼が妹と結婚する……と思ったら?
江崎美彩
恋愛
誰にでも愛される可愛い妹としっかり者の姉である私。
大好きな従兄弟と人気のカフェに並んでいたら、いつも通り気ままに振る舞う妹の後ろ姿を見ながら彼が「結婚したいと思ってる」って呟いて……
さっくり読める短編です。
異世界もののつもりで書いてますが、あまり異世界感はありません。
恋心を封印したら、なぜか幼馴染みがヤンデレになりました?
夕立悠理
恋愛
ずっと、幼馴染みのマカリのことが好きだったヴィオラ。
けれど、マカリはちっとも振り向いてくれない。
このまま勝手に好きで居続けるのも迷惑だろうと、ヴィオラは育った町をでる。
なんとか、王都での仕事も見つけ、新しい生活は順風満帆──かと思いきや。
なんと、王都だけは死んでもいかないといっていたマカリが、ヴィオラを追ってきて……。
私の旦那様はつまらない男
おきょう
恋愛
私の旦那様であるロバート伯爵は、無口で無愛想な仕事バカ。
家庭を返り見ず仕事に精を出すのみのつまらない男である。
それでも私は伯爵家の妻として今日も面倒な社交の場に出なければならないのだ。
伯爵家の名を落とさないために。あぁ面倒くさい。
※他サイトで投稿したものの改稿版になります。
【完結】婚約者を奪われましたが、彼が愛していたのは私でした
珊瑚
恋愛
全てが完璧なアイリーン。だが、転落して頭を強く打ってしまったことが原因で意識を失ってしまう。その間に婚約者は妹に奪われてしまっていたが彼の様子は少し変で……?
基本的には、0.6.12.18時の何れかに更新します。どうぞ宜しくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる