おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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第二部 プロローグ

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 休養日だったが、ハクと喋れると知ったメンバーの猛烈な熱意に負け、店の販売と探索をすることにしたのだが。

 依頼の受注はみんなに任せ、隣で床にうずくまって尻尾をパタパタとさせていたハクが脳内に話しかけてきた。

『でも、すでに綺麗な嫁が四人ですからねぇー。地味生活だとか言ったら、独身の男性冒険者から刺されることは間違いなしでしょうよ』

 オオカミの身体に宿った神器の意識体であるハクが、俺を茶化してくる。

 脳内で会話できるのは、簡単便利だが、こちらの思考が筒抜けになっているため、わりと面倒だと思うこともあるのだ。

 ハク、訂正。嫁じゃなくて、『大切な仲間』だ。俺の嫁とか言ったら、彼女たちに失礼だし、可能性を摘み取りかねないからな。

『あー、前にもいいましたけど、グレイズ殿専用にアクセルリオン神が力を与えられた『天啓子』の子たちは、一度出会った後で、グレイズ殿から離れると破格の能力を得た反動で、とてつもない不幸に巻き込まれ兼ねないんで、責任は取ってくださいね。時期はグレイズ殿にお任せしますが、彼女たちを幸せにするのも善きなる行いの一つかと思いますよ』

 その話は前にも聞いたから知っている。だがな、それはそれ、これはこれだと言うしかな。

『まー、でも彼女たちはやる気十分で外堀埋めてきてますからねぇ。気付いたら、ゴールって可能性もありますよ』

 確かにハクの言う通り、全員が全員、とても魅力的な女性であることは否めないのが、ツライところだな。

『あら、実はもう結構な具合で心が皆さんの方に傾いてたりしてました? 結婚云々は~って話は恥ずかしさを隠すポーズなんですねー。へー、これはいい傾向ですねぇ』

 うっさい。今のは個人的感想だ。もう、この話はここで終り。

 俺はハクと脳内で会話するのをやめると、冒険者ギルドで今回の探索依頼を決めて戻ってきたメンバーたちを出迎えた。

「グレイズさん。今回は第十一階層まで足を延ばしてみようと思うのー。あそこは地底湖エリアだし、お魚系の魔物と戦ってみたい」

 追放者アウトキャストのスピードスターとして、冒険者たちに認識され始めたファーマが、アルマたちと決めた、依頼を俺に報告してきていた。

「水中戦闘っていう特殊環境の戦闘経験も必要かと思いましたので、今回は魚人マーマン蜥蜴人リザードマンの討伐依頼を受けてきました。ともに人型で武装もしている魔物ですので、戦闘訓練にはうってつけかと思います」

 パーティーの中で俺に次ぐ冒険者としての経験を持つ、アウリースがパーティーの依頼受注の方を仕切ってくれていた。彼女のチョイスする依頼は、俺が冒険者として経験をした方が良いと思う物を選びだしてくれている。今回も、中堅冒険者になり立ての者が、中層階で苦戦する地底湖エリアの水中戦闘を選んだのは、見事だと言ってやりたい。

「私、水中呼吸できる魔法覚えた。水中戦闘、安心」

 カーラは、ダンジョン店でもらえる日当や割り当ての分配金を、すべて魔法の習得するために使っており、おばばの店に入り浸り、精霊魔法のコレクターになりつつあった。水中呼吸アクアブレスも、そのコレクションの一つなのであろう。回復支援の手段が充実すれば、それだけパーティーの戦闘力が高まるはずだ。

 カーラが習得した、水中呼吸アクアブレスを使い水中戦闘にもちこまれた時も慌てずに対応ができる。魔法取得はお任せしているため、あとでカーラ用に作った別口座に魔法代金をパーティー資金から補填しておくつもりだ。

 水中呼吸アクアブレスさえ有れば中堅なり立てのパーティーが苦戦すると言われる魚人マーマン蜥蜴人リザードマンの戦いも余裕で進行できそうであった。

「水中で鎧着たまま戦えるのはありがたいわね。水着戦闘とかしなくちゃいけないのかしらとか思ったけど大丈夫みたいだわ」

 重装の戦士が地底湖に引きずり込まれて、溺死ってのも、冒険者界隈ではまったく無い話ではない。対抗策があるのと無いのでは、重装戦士であるメリーの不安感も違ってくるだろうと思われる。

「おっけい。今回は魚人マーマン蜥蜴人リザードマンの討伐だな。その前に、探索前の商売を終わらせないとな。今回もすまんがみんな手伝ってくれるとありがたい」

 俺はダンジョン販売店用に荷造りされた背負子、六五〇〇デフィールキログラムに増量された物資を担ぎ立ち上がった。

「お、今日はグレイズさんたちが潜るのか。ってことは、ダンジョン販売店は開店するってわけだな。だったら、うちは依頼増やして探索日数増やすか」

「そうだな。中層階の探索増やそうぜ。グレイズところで物資買って鑑定してもらえば利益は増えるしな。ちょっとお高めの納品系増やそうぜ。いらないのは、グレイズたちに売却すればいいからさ」

 周りで休憩していた冒険者たちも最近では、うちが潜るのに合わせて、探索を組むところが増えてきていた。

 物資量が物を言うダンジョン内で、唯一物資を補充できる場所となる、ダンジョン販売店は冒険者たちにとっては利益増やすチャンスなのだ。

 なので、うちが潜る日を心待ちにしているパーティーも結構多くなったと、アルマからもチラリと聞いていた。

「さて、お客さんもお待ちねのようだし、いざダンジョンに出発するとするか」

「おおぉ! ファーマ頑張りまーす! ハクちゃん、ダンジョンまで競争だよー!」

「わふうぅ!(ファーマちゃん! 今日は負けませんよ!)」

「ファーマ、ハク、冒険者ギルド内を走ったらダメ」

「カーラさんも走ってますから。待ってください」

「あらあら、みんな元気ねぇ。グレイズさんも急がないと置いて行かれるわよ」

「ああ、いそがないとな」

 放たれた矢のように飛び出していったファーマたちを追いかけて、俺たちはダンジョンの入り口に向かい駆け出していった。
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