39 / 232
第二部 プロローグ
3
しおりを挟む
ファーマはハクを抱きしめて、頭を撫でているし、カーラは自分の推察した以上の話に驚いているし、アウリースはハクの前で土下座して謝っているし、メリーも普段ではほとんど見せない表情でハクを見ていた。
神の使徒だと言われて、皆が『そんな馬鹿な』って言わないのは、俺自身の神様から授かった人外の力を知っているし、ハク自身の頭の良さや、並みの獣らしからぬ強さを探索中に見ているからだと思われる。
「ということなんで、みんなもこれからは、ハクに敬意をもって接してくれるとありがたい。ちなみに、みんなが成長したら、俺と同じように声が頭の中に聞こえるようになるみたいだぞ」
「本当に!」
ハクに抱き着いて頭をワシワシとしていたファーマの眼がキラキラと輝き出していた。
「本当にハクちゃんとお喋りできるの! グレイズさん! ファーマ、お喋りしたいよー」
「ああ、成長したら聞こえるようになるらしいぞ。ハクがそう言っている」
「了解、だったら今日もダンジョン潜る。自主練で早く強くなってハクの声が聴きたい。グレイズ、付き合ってくれるか?」
カーラはいそいそとダンジョンに潜るため、自分の部屋に向かって駆け出していた。
それを見たアウリースも装備を取りに自室に向かっている。
「それは大変いいことを聞きました。なるべく早急にハクちゃんの声を聞ける人材にならねば。グレイズさん、私もカーラさんと潜るんでお付き合いしてもらっていいですか?」
「ファーマも潜るー!! ハクちゃんの声が聴きたいー! 準備してくるねー」
「朝食は冒険者ギルドで済ませましょう。私もハクがどんな声か聴いてみたいし、冒険者としては、みんなよりちょっと劣っているから、経験を積みたいわね」
メリーも何度かの探索を成功させて急成長しているのだが、まだ自身が納得できるほどの力量には至っていないらしい。
「みんな、やる気に溢れているなぁ。どうせ潜るなら、店も開くか。荷物も商店街の連中が準備してくれているはずだし」
皆のやる気に押され、休養日に当てていた今日も店を開き、探索する気になっていた。
ただ、疲労は冒険者にとっては十分に気を配らなければならないため、あまり深い階層までは潜らないつもりだ。
店の方もあるし、疲労が重なれば、ミスや怪我、病気だって誘発しかねない。冒険者は適度な休息も必要だと思われる。
と言っても、皆のやる気に水を差すつもりもないので、疲労が溜まらない程度に店も開き、ダンジョンで魔物を退治してこよう。
装備を取りにそれぞれの自室に戻ったメンバーたちであったが、残されたハクが『皆さんの愛が溢れすぎてて』って呟いていたのを、俺は聞き逃さなかった。
愛されてるなぁ。ハク。
『グレイズ殿ほどでは無いですけどね。皆さん好意はあたしとしても嬉しいですし、あたしも皆さんとお話したいですからねぇ。連続での探索ですけど、きっと怪我だけをしないようにグレイズ殿がきっと気を配ってくれるんで大丈夫ですよね?』
ああ、そのへんは任せておけ。なにせ、俺は探索中、ほとんど何もさせてもらえないからな。その分、みんなの観察はしっかりとしている。疲れていそうなメンバーがいたら、探索を打ち切るつもりだ。
『確かに何もしてないですね。それだけ、みんなの成長が顕著だってことの証拠かと』
危ないって思える場面はかなり少なくなってきたのは確かだ。おかげで戦闘外のことに意識を向ける余裕も出て、ダンジョンの販売店の方もわりと繁盛しているとも言える。
販売店もおかげさまで繁盛しており、そっち側も運営しているため、普通の冒険者よりも忙しくなりつつあるのだ。
そろそろ、店は冒険者から売り子を募集してお任せしていきたいと思っているが、中々、俺とメリーの眼に叶うやつは見つからないでいる。
引退間近の中堅冒険者で若手に舐められず、金管理の厳しいのがいたら、高額で雇ってもいいんだがな。条件に当てはまるやつが中々いない。それに冒険者でない者をダンジョンに送り込むのは気が引ける。
『そちらもいい人が見つかるといいですね。店はあたしのおかげで万引きする馬鹿者はいなくなりましたけどね』
ああ、それは助かってる。冒険者たちもメリーからの高額請求とハクの摘発能力を見て、リスクが高いと判断してくれたようだ。
ダンジョン販売店の成功のおかげか、闇市関係の摘発を恐れたのか分からないが、フラマー商会がブラックミルズから撤退してくれたおかげで、商店街の連中の店も前の賑わいを取り戻し、更に俺たちのもたらすダンジョンでの販売によって利益も増している。
おかげで俺の嫁候補の賭けのレートが上がったとおばばから聞かされたが、余計なお世話だとしか言えなかった。
そんなことを考えていると、装備を整え終えた皆が部屋から出てきてこちらを見ていた。
「あとは、グレイズさんの準備待ちよ。私たちが準備した方がいいかしら?」
メリーがニッコリと笑って、準備した方がいいかと聞いてきた。
神の使徒だと言われて、皆が『そんな馬鹿な』って言わないのは、俺自身の神様から授かった人外の力を知っているし、ハク自身の頭の良さや、並みの獣らしからぬ強さを探索中に見ているからだと思われる。
「ということなんで、みんなもこれからは、ハクに敬意をもって接してくれるとありがたい。ちなみに、みんなが成長したら、俺と同じように声が頭の中に聞こえるようになるみたいだぞ」
「本当に!」
ハクに抱き着いて頭をワシワシとしていたファーマの眼がキラキラと輝き出していた。
「本当にハクちゃんとお喋りできるの! グレイズさん! ファーマ、お喋りしたいよー」
「ああ、成長したら聞こえるようになるらしいぞ。ハクがそう言っている」
「了解、だったら今日もダンジョン潜る。自主練で早く強くなってハクの声が聴きたい。グレイズ、付き合ってくれるか?」
カーラはいそいそとダンジョンに潜るため、自分の部屋に向かって駆け出していた。
それを見たアウリースも装備を取りに自室に向かっている。
「それは大変いいことを聞きました。なるべく早急にハクちゃんの声を聞ける人材にならねば。グレイズさん、私もカーラさんと潜るんでお付き合いしてもらっていいですか?」
「ファーマも潜るー!! ハクちゃんの声が聴きたいー! 準備してくるねー」
「朝食は冒険者ギルドで済ませましょう。私もハクがどんな声か聴いてみたいし、冒険者としては、みんなよりちょっと劣っているから、経験を積みたいわね」
メリーも何度かの探索を成功させて急成長しているのだが、まだ自身が納得できるほどの力量には至っていないらしい。
「みんな、やる気に溢れているなぁ。どうせ潜るなら、店も開くか。荷物も商店街の連中が準備してくれているはずだし」
皆のやる気に押され、休養日に当てていた今日も店を開き、探索する気になっていた。
ただ、疲労は冒険者にとっては十分に気を配らなければならないため、あまり深い階層までは潜らないつもりだ。
店の方もあるし、疲労が重なれば、ミスや怪我、病気だって誘発しかねない。冒険者は適度な休息も必要だと思われる。
と言っても、皆のやる気に水を差すつもりもないので、疲労が溜まらない程度に店も開き、ダンジョンで魔物を退治してこよう。
装備を取りにそれぞれの自室に戻ったメンバーたちであったが、残されたハクが『皆さんの愛が溢れすぎてて』って呟いていたのを、俺は聞き逃さなかった。
愛されてるなぁ。ハク。
『グレイズ殿ほどでは無いですけどね。皆さん好意はあたしとしても嬉しいですし、あたしも皆さんとお話したいですからねぇ。連続での探索ですけど、きっと怪我だけをしないようにグレイズ殿がきっと気を配ってくれるんで大丈夫ですよね?』
ああ、そのへんは任せておけ。なにせ、俺は探索中、ほとんど何もさせてもらえないからな。その分、みんなの観察はしっかりとしている。疲れていそうなメンバーがいたら、探索を打ち切るつもりだ。
『確かに何もしてないですね。それだけ、みんなの成長が顕著だってことの証拠かと』
危ないって思える場面はかなり少なくなってきたのは確かだ。おかげで戦闘外のことに意識を向ける余裕も出て、ダンジョンの販売店の方もわりと繁盛しているとも言える。
販売店もおかげさまで繁盛しており、そっち側も運営しているため、普通の冒険者よりも忙しくなりつつあるのだ。
そろそろ、店は冒険者から売り子を募集してお任せしていきたいと思っているが、中々、俺とメリーの眼に叶うやつは見つからないでいる。
引退間近の中堅冒険者で若手に舐められず、金管理の厳しいのがいたら、高額で雇ってもいいんだがな。条件に当てはまるやつが中々いない。それに冒険者でない者をダンジョンに送り込むのは気が引ける。
『そちらもいい人が見つかるといいですね。店はあたしのおかげで万引きする馬鹿者はいなくなりましたけどね』
ああ、それは助かってる。冒険者たちもメリーからの高額請求とハクの摘発能力を見て、リスクが高いと判断してくれたようだ。
ダンジョン販売店の成功のおかげか、闇市関係の摘発を恐れたのか分からないが、フラマー商会がブラックミルズから撤退してくれたおかげで、商店街の連中の店も前の賑わいを取り戻し、更に俺たちのもたらすダンジョンでの販売によって利益も増している。
おかげで俺の嫁候補の賭けのレートが上がったとおばばから聞かされたが、余計なお世話だとしか言えなかった。
そんなことを考えていると、装備を整え終えた皆が部屋から出てきてこちらを見ていた。
「あとは、グレイズさんの準備待ちよ。私たちが準備した方がいいかしら?」
メリーがニッコリと笑って、準備した方がいいかと聞いてきた。
3
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。