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第二部 第0章 天啓子
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※ファーマ視点
ファーマが、グレイズさんのパーティーに拾われてからは世界が一気に変わったみたいだった。
それまでのファーマは、みんなから『バカ』、『頭悪い』、『出来そこない』、『アホの子』って言われて怒られてて、いつも何でみんなが怒っているのか、分からなくて泣いて過ごしてた。
両親がいなかったファーマを育ててくれた村長も、いつも怒っていたし、できないと叩いてきたりもしていた。
育った村では、色々とみんなのためにと思って、嫌だなと思う仕事も頑張ってたけど、それでもやっぱりみんなは怒ってて、ファーマにはみんなが怒る理由が分からなくて、ずっと苦しんで一人で泣いてた。
そんな、怖い世界でファーマはずっとビクビクして、人の顔色を窺って生きてきていたのを、今でも夜寝るときに思い出して、怖くて寝られなくて、カーラさんとかアウリースさんとかメリーさんにお願いして一緒に寝てもらってる。
グレイズさんのパーティーに所属するメンバーのお姉さんたちはみんな優しい。
ファーマが分からないことがあると、分かりやすく、丁寧に、実際に一緒にやってくれたり、分かるまで根気よく教えてくれて、嫌そうな顔をまったくしないし、怒らないし、叩かない。
カーラさんはファーマの苦手な計算と文字を教えてくれるし、アウリースさんはお店の使い方とか、お買い物の仕方とか教えてくれるし、メリーさんはお洗濯とか掃除の仕方をファーマに教えてくれる。
みんなが優しく教えてくれるから、ファーマも泣いて謝りながら、怒られるのを怖がらずに色々とおべんきょーできて、ちょっとはみんなに近づけてきたかなって思えてきた。
それもこれも、グレイズさんが、前の仲間に棄てられたファーマをパーティーに誘ってくれたおかげだと思う。
グレイズさんが、あの時ファーマを受け入れてくれなかったら、きっと今頃はご飯も食べられなくて、ダンジョンでゾンビさんの仲間入りしてたかも。
そんなグレイズさんや仲間のみんなと一緒にいると、心の奥がポカポカして、とっても嬉しい気持ちがずっと続くし、毎日がわくわくして楽しいって感じられる。
グレイズさんは他の子には居たおとーさんみたいな絶対的に信用をして甘えたりできる存在だし、カーラさん、アウリースさん、メリーさんたちはファーマのことを心配してくれる優しいお姉さんって思えて、ファーマにとってこの追放者のパーティーは家族って思える。
生まれて物心が付いてから、ずっとひとりぼっちだったファーマだけど、今は家族って呼べる存在ができて、とっても嬉しいし、それと同時にこの大事なファーマの家族を馬鹿にする子は絶対に許さないって決めてるんだ。
グレイズさんも、カーラさんも、アウリースさんも、メリーさんも、そしてハクちゃんも大事な家族の一員。
お金も、両親も、友達も、何も一つ持ってなかったひとりぼっちのファーマが手にした大事な家族なんだ。
だから、みんなに甘えると同時にもっともっとファーマは賢く、強く、家族のみんなから頼ってもらえる子になりたいって思ってる。
そのためにファーマは今日も頑張るんだ。
※カーラ視点
世界に数多ある色々な知識を収集したい欲に駆られ、生まれ育った辺境のエルフの村を飛び出して、外の世界にでてきた私だったが、外の世界は知性の欠片もない無能な者が多くて、苛立ちばかりが募っていた。
エルフの村でも神童と称され、村の書物をわずか数年で読破した私には、幼稚すぎる言語である人間の世界の言葉は実に使いにくく、そのことを知り合った人族たちは嘲弄していたが、まったくもって納得がいかない。
エルフの言語を相手が理解するのであったならば、言論戦に持ち込み、コテンパンにしてやれる自信はあったが、生憎と外の世界の人間は高等なエルフ語を理解できる者は少ない。
そして、私は人間の言葉を上手く喋れない、言いたいこと、伝えたいことの九割はエルフ語を人間の言葉に翻訳しているが、未だ語彙が足りず、発声の仕方も異なるので、訥々とした物言いになってしまうのが、更なる苛立ちを増していた。
外界に出た私は人族とのコミュニケーションの齟齬を感じながらも、知識を収集するための資金集めをするため、冒険者として、このブラックミルズに住んでいたが、やはりこの街でも冒険者という奴ら相手に、私のおぼつかない人間の言葉の語彙はトラブルを招いていた。
そんな最中、グレイズに出会い、彼のパーティーに入ったからは、感じていたコミュニケーションの齟齬を感じなくなっている。
リーダーであるグレイズは、私の少ない言葉からも意図を汲み取り、痒いところに手が届く感じの理解力を見せ、さりげなくトラブルになりそうな、私の物言いを察すると、進んで会話の仲介に入ってくれるのだ。
おかげで、コミュニケーションの齟齬から発するトラブルはパーティー入りから激減し、一部の商店街の店主としか、喋らなかった私が、今では初見の冒険者に話しかけるまでに成長していた。
人間の言葉は未だ発声が慣れず、勉強中であるが、以前に比べれば、通じるようになっているし、相手の言葉の意味も深く感じ取れるようになったと自分では感じている。
それも、これもグレイズやパーティーの仲間のみんなが、私の未熟な人間の言葉の中に含まれた意図を察してくれて、私が苛立ちを感じずに済むからだ。
エルフの村にいた時でも、これほどまでに私の意図を察してくれる者たちはいなかった。
おかげで、私もみんなの言いたいことが、推量できるようになり、それがまた言葉によるコミュニケーションの齟齬を無くしてくれていた。
グレイズを始め、みんなと生活していると、コミュニケーションの心地よさまで感じることができる。
物心付いてから、私にとっては対人コミュニケーションが苦手な部類のことだった。けど、みんなのおかげで今は言葉によるコミュニケーションの心地よさや楽しさを感じ取れるのだ。
だから、この心地よい空間を私に提供してくれる仲間たちを誹謗中傷しようとする輩は絶対に許す気はないし、馬鹿にする奴らを許す気はない。
ファーマも、アウリースも、メリーも、グレイズも、そしてハクも、私の大事な、大事な仲間である。
知識を収集する中で、紙の本の中でしか出会えなかった『真の仲間』という存在に、私は幸運にも出会えたと思っている。
世界で一番大事な仲間。そんなみんなと共に、私はもっと成長していつかは『賢者』と称される世界一級の知恵者になって、グレイズのお世話をするつもりだ。
これでもエルフなので、寿命は驚くほど長い。長い分、無為に過ごす同族も多いが、私は知識の収集とグレイズのお世話という目標をすでに得たことに感謝せねばなるまい。
ファーマが、グレイズさんのパーティーに拾われてからは世界が一気に変わったみたいだった。
それまでのファーマは、みんなから『バカ』、『頭悪い』、『出来そこない』、『アホの子』って言われて怒られてて、いつも何でみんなが怒っているのか、分からなくて泣いて過ごしてた。
両親がいなかったファーマを育ててくれた村長も、いつも怒っていたし、できないと叩いてきたりもしていた。
育った村では、色々とみんなのためにと思って、嫌だなと思う仕事も頑張ってたけど、それでもやっぱりみんなは怒ってて、ファーマにはみんなが怒る理由が分からなくて、ずっと苦しんで一人で泣いてた。
そんな、怖い世界でファーマはずっとビクビクして、人の顔色を窺って生きてきていたのを、今でも夜寝るときに思い出して、怖くて寝られなくて、カーラさんとかアウリースさんとかメリーさんにお願いして一緒に寝てもらってる。
グレイズさんのパーティーに所属するメンバーのお姉さんたちはみんな優しい。
ファーマが分からないことがあると、分かりやすく、丁寧に、実際に一緒にやってくれたり、分かるまで根気よく教えてくれて、嫌そうな顔をまったくしないし、怒らないし、叩かない。
カーラさんはファーマの苦手な計算と文字を教えてくれるし、アウリースさんはお店の使い方とか、お買い物の仕方とか教えてくれるし、メリーさんはお洗濯とか掃除の仕方をファーマに教えてくれる。
みんなが優しく教えてくれるから、ファーマも泣いて謝りながら、怒られるのを怖がらずに色々とおべんきょーできて、ちょっとはみんなに近づけてきたかなって思えてきた。
それもこれも、グレイズさんが、前の仲間に棄てられたファーマをパーティーに誘ってくれたおかげだと思う。
グレイズさんが、あの時ファーマを受け入れてくれなかったら、きっと今頃はご飯も食べられなくて、ダンジョンでゾンビさんの仲間入りしてたかも。
そんなグレイズさんや仲間のみんなと一緒にいると、心の奥がポカポカして、とっても嬉しい気持ちがずっと続くし、毎日がわくわくして楽しいって感じられる。
グレイズさんは他の子には居たおとーさんみたいな絶対的に信用をして甘えたりできる存在だし、カーラさん、アウリースさん、メリーさんたちはファーマのことを心配してくれる優しいお姉さんって思えて、ファーマにとってこの追放者のパーティーは家族って思える。
生まれて物心が付いてから、ずっとひとりぼっちだったファーマだけど、今は家族って呼べる存在ができて、とっても嬉しいし、それと同時にこの大事なファーマの家族を馬鹿にする子は絶対に許さないって決めてるんだ。
グレイズさんも、カーラさんも、アウリースさんも、メリーさんも、そしてハクちゃんも大事な家族の一員。
お金も、両親も、友達も、何も一つ持ってなかったひとりぼっちのファーマが手にした大事な家族なんだ。
だから、みんなに甘えると同時にもっともっとファーマは賢く、強く、家族のみんなから頼ってもらえる子になりたいって思ってる。
そのためにファーマは今日も頑張るんだ。
※カーラ視点
世界に数多ある色々な知識を収集したい欲に駆られ、生まれ育った辺境のエルフの村を飛び出して、外の世界にでてきた私だったが、外の世界は知性の欠片もない無能な者が多くて、苛立ちばかりが募っていた。
エルフの村でも神童と称され、村の書物をわずか数年で読破した私には、幼稚すぎる言語である人間の世界の言葉は実に使いにくく、そのことを知り合った人族たちは嘲弄していたが、まったくもって納得がいかない。
エルフの言語を相手が理解するのであったならば、言論戦に持ち込み、コテンパンにしてやれる自信はあったが、生憎と外の世界の人間は高等なエルフ語を理解できる者は少ない。
そして、私は人間の言葉を上手く喋れない、言いたいこと、伝えたいことの九割はエルフ語を人間の言葉に翻訳しているが、未だ語彙が足りず、発声の仕方も異なるので、訥々とした物言いになってしまうのが、更なる苛立ちを増していた。
外界に出た私は人族とのコミュニケーションの齟齬を感じながらも、知識を収集するための資金集めをするため、冒険者として、このブラックミルズに住んでいたが、やはりこの街でも冒険者という奴ら相手に、私のおぼつかない人間の言葉の語彙はトラブルを招いていた。
そんな最中、グレイズに出会い、彼のパーティーに入ったからは、感じていたコミュニケーションの齟齬を感じなくなっている。
リーダーであるグレイズは、私の少ない言葉からも意図を汲み取り、痒いところに手が届く感じの理解力を見せ、さりげなくトラブルになりそうな、私の物言いを察すると、進んで会話の仲介に入ってくれるのだ。
おかげで、コミュニケーションの齟齬から発するトラブルはパーティー入りから激減し、一部の商店街の店主としか、喋らなかった私が、今では初見の冒険者に話しかけるまでに成長していた。
人間の言葉は未だ発声が慣れず、勉強中であるが、以前に比べれば、通じるようになっているし、相手の言葉の意味も深く感じ取れるようになったと自分では感じている。
それも、これもグレイズやパーティーの仲間のみんなが、私の未熟な人間の言葉の中に含まれた意図を察してくれて、私が苛立ちを感じずに済むからだ。
エルフの村にいた時でも、これほどまでに私の意図を察してくれる者たちはいなかった。
おかげで、私もみんなの言いたいことが、推量できるようになり、それがまた言葉によるコミュニケーションの齟齬を無くしてくれていた。
グレイズを始め、みんなと生活していると、コミュニケーションの心地よさまで感じることができる。
物心付いてから、私にとっては対人コミュニケーションが苦手な部類のことだった。けど、みんなのおかげで今は言葉によるコミュニケーションの心地よさや楽しさを感じ取れるのだ。
だから、この心地よい空間を私に提供してくれる仲間たちを誹謗中傷しようとする輩は絶対に許す気はないし、馬鹿にする奴らを許す気はない。
ファーマも、アウリースも、メリーも、グレイズも、そしてハクも、私の大事な、大事な仲間である。
知識を収集する中で、紙の本の中でしか出会えなかった『真の仲間』という存在に、私は幸運にも出会えたと思っている。
世界で一番大事な仲間。そんなみんなと共に、私はもっと成長していつかは『賢者』と称される世界一級の知恵者になって、グレイズのお世話をするつもりだ。
これでもエルフなので、寿命は驚くほど長い。長い分、無為に過ごす同族も多いが、私は知識の収集とグレイズのお世話という目標をすでに得たことに感謝せねばなるまい。
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