おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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第二部 第一三章 帰還を阻む者

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「え? え? これって死者蘇生? ですか?」

「い、いや。俺は魔法には詳しくないから分らんが……」

「わふ、わふ(神様候補なんで元々魔法は全て使えますからね。膨大な量が放出されたグレイズさんの生命力をダンジョン側が吸収するのを嫌って、近くの死者を復活させることに消費されたのかもしれません)」

「グレイズ、死人復活させられる。さす神」

「さす神ってなぁ。おい。いよいよ、本気で人外じみてきたぞ」

 生き返った暗殺者やSランクの冒険者たちは、俺を見て明らかに怯えた顔をして抱き合っていた。

 その眼は人を見る目ではなく、何か強大な魔物を見る目にも感じられ、心がチクリと痛むのを感じている。

 俺も好きでこの力を持ったわけじゃないんだけどな……。

 そんな俺を気遣ってか、メリーが背中をパンと叩く。

「グレイズさんの力があったから、みんな無事だったわけだし、それに私たちが居るといったでしょ。落ち込むグレイズさんの顔を見たくはないわ。いつもみたく飄々としていていいわよ」

 そのメリーの言葉で胸の痛みが和らいでいく。俺には人外の力を受け入れてくれる人がいっぱいいるのだ。

 けして、俺は一人じゃない。仲間たちがいっぱいいてくれるんだ。

「ああ、分かってるさ。俺の力はみんなを助けるためにあるからな。今回はちょっとだけ力が出過ぎて、あいつらまで復活させちまったけどな。でも、これで罪は償わせることができるはずだ」

 俺は怯えている男たちの方へ歩き出すと、例の黒装束の暗殺者に話しかける。

「悪いがうちの冒険者たちを傷つけた罪は償ってもらうぞ。それに隠していることを洗いざらい吐き出さないと、もう一度骸骨に戻してやるからな」

「ひ、ひぃいいいっ! 化け物!! わ、分かりました。知ってることは全部言いますからっ! 命ばかりはっ!!!」

 顔を近づけて相手を威圧するように喋ると、暗殺者の男は怯えまくり、床に水たまりがひろがっていった。

「そうか、それは助かる」

 暗殺者の男の方をポンと軽く叩くと緊張の糸が切れた男が泡を吹いて倒れていった。

 それを見た他の男たちが、俺が何かしたと思ったらしく、腰を抜かして無様に逃げ出そうともがいているのが見えた。

「ふぅ、俺は何もしてねぇよ……」

「しておるのじゃっ! このケダモノめっ! 妾のローブを返すのじゃ」

 男たちをため息交じりに見ていた俺は、背後からポカポカと叩かれているのに気付いた。振り向くと、そこには小さく縮んだノーライフキングが頬を膨らませて、俺が踏んでいる真紅のローブを引っ張っていた。

「おわっ! お前、生きてっ!!」

「馬鹿者っ! 妾は不死の王じゃ! あの程度では死なぬ!! ちょっと食べ過ぎて戻してしもうただけじゃ!! むきぃい! 足をどけよっ!! このけだものめ。妾の裸を見るでない!」

 見るとノーライフキングは身体を覆っていた革鎧が消え失せ、全裸になっている。

 慌てて視線を逸らし、天井を見るがノーライフキングは俺が足で踏んでいるローブが取れずにもがいていた。

「足をどけよと申しておる! これは妾に対する嫌がらせか、嫌がらせなのか!」

「ああ、すまん」

 俺は天井を向きながら、踏んでいたノーライフキングのローブから片足を上げる。

 しばらく天井を見ていると、幼女化したノーライフキングがローブを着る衣擦れの音が聞こえてきた。

 そして、足を軽く蹴り飛ばされるのを感じると身長に合わないローブを引きずって駆けだしているノーライフキングの後ろ姿が見えた。

「バーカ、バーカ! そなたの名はしかと覚えたからなっ! グレイズ、覚えておれ!」

 トトトと通路の奥へ駆け出したノーライフキングが、ローブの裾を踏んでべしゃっと地面に顔を打ちつけていた。

 思わず魔物だと言うことを忘れて助け起こそうとすると、メリーたちから咳払いが飛ぶ。

 おっと、そういえば魔物だったな。いかん、いかん。

 倒れたノーライフキングは目元をぐしぐしと手で拭うと、キッとこちらを睨みつけてきた。

「グレイズのバーカ! バーカ! 覚えてろー! うぁああああん」

 ノーライフキングは俺の悪態を吐くと、また裾を踏みそうな勢いで通路の奥に消えていった。

「ノーライフキングちゃん可哀想ー。お膝痛かったかなぁ。ファーマ、擦ってあげればよかった」

「確かにちょっと可哀想かも。でも、アンデットだし、魔物だし、傷は勝手に癒える」

「今回、グレイズさんによって力をかなり失いましたからね。しばらくは宮殿に籠られるんでしょうかね。今度深層階行ったら、お見舞い兼ねてご挨拶いきます?」

「あ、あのね。みんなあの子は魔物……って思ったけど、ちょっと意地悪しちゃったかな」

 どうやらうちのメンバーは、深層階のボスモンスターがあんな姿になったことに同情しているらしい。

 けども、アレは人に対しては余りにも危険な生物なんで同情とかしたらマズいとは思うぞ。

『グレイズさんの使徒にします? 神様の使徒には元魔物とかもいますよ。あたしも元は別世界の魔獣でしたし。今はかわいいオオカミの姿ですけどねー』

 ハクが俺たちの様子を床に丸まって後ろ足でお腹を掻きながら見ていた。

 いやいや、ノーライフキングを連れ歩く神様なんてヤバいだろ。あり得ないって。

『あー、はいはい。あの子はグレイズさんの使徒候補ですね。アクセルリオン神に報告しときまーす。わりと強い個体だったんですぐに承認されると思いますよ』

 ちょ、ちょっと待てい。そんな話をしてないだろう。

「グレイズさん、ハクちゃんとの会話は駄々洩れって忘れない? まぁ、グレイズさんには危害を加えられないことが判明したから、私は別にいいけど、その代わりみんなにはちゃんとほっぺにチューしてね」

 メリーが俺とハクとの話を聞いていたようだ。だか、明らかに事実誤認であると俺は言いたい。

 一言も使徒にしたいなどと言った気はないんだ。

「え!? ノーライフキングちゃんもファーマたちのお友達になれるの?」

「グレイズが許可したらという話」

 ファーマとカーラが俺の方を見ている。明らかにあの子を仲間にしたそうにしていた。

 見た目幼女になったけども、二人にはアレは魔物だと思い出して欲しい。

「なら、色々と片が付いたら甘いお菓子持っていくのはどうです? 小さくなっててお腹も空いているでしょうし」

 アウリースまで何だか乗り気な様子を見せている。

 これは非常にまずい空気だと直感した俺は一言だけみんなに伝えておくことにした。

「とりあえず、この話は保留。メラニアたちと無事地上に帰るのが先決だ」

「それも、そうだったわね。まずは地上に戻って色々とお片付けしないとね。帰還の道すがらこの男たちが色々と教えてくれるだろうし。さてと、もう一回縛り直さないとね。みんな、お仕事始めるわよ」

 仕切り役が板に付いたメリーがパンパンと手を叩くと、メンバーたちが手分けして男たちを縛り始めていた。

 こうして、俺はノーライフキングに対して完封勝利を収めることになったが、それとともに厄介な事態へのフラグも打ち立ててしまったようであった。
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