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第二部 第一四章 真実

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 ノーライフキングを撃退することに成功した俺たちは、上のフロアにいたジェネシスとメラニア、それに若い冒険者たちのグループに追いつく。

 彼らはノーライフキングから退避しろといった俺の指示をキチンと守り、整然と隊列を組んで『おっさんず』を先頭に地上を目指していてくれた。

「グレイズ様……。ご無事で何よりです。あの魔物を撃退されたようですね……。それに、その方たちって、一度骸骨に……」

 俺たちの姿を見て歩みを止めた集団からメラニアとジェネシスがこちらに出てきていた。

 二人は一度、ノーライフキングに魂を吸われ、命を落としたはずの暗殺者たちやSランクの冒険者たちの姿を見てビックリした顔をしている。

「ああ、色々とあってな。今のところは生きているのさ。メラニアの件も色々と協力を申し出てくれているんで、今日はここで野営しようと思う。なんだか、このまま地上に戻るときな臭い気もするからな。情報だけは先に収集しておいた方がいい」

「確かヴィケットとかいう男の指示で、姉上たちを殺そうという話しだったな。王都の暗殺者ギルドや腕利きのSランク冒険者を使っているとなると、黒幕はチンケな商人如きではあるまい」

 ジェネシスは、男たちを睨みつけていく。

 彼からしてみれば、散々身内を殺された組織の男たちであり、最後の身内である姉を殺そうとした憎い相手であったのだ。

「それも、含めてな。飯を喰いながらやろうと思う。今日は色々とあり過ぎて、腹が減っているんだ」

 ノーライフキングとの戦いで体力こそ余っているが、回復魔法を大量に使ったので魔力が減っている。

 魔力回復ポーションを飲んだものの、腹の方は固形物を欲していたのだ。

「おぅ、無事に戻ってきたな。お前らなら、撃退できると思っていたぞ。今、野営と聞いたが、ここで今日は休むか?」

 後続が止まったことで、様子を探りにきたグレイが、野営の準備の有無を聞いてきた。

 すでに低層階まで帰還しているため、大きな危険は無いと思われるし、色々とあって疲れたまま地上に戻るよりは、一旦ここで休息をとり情報を集め、地上での行動予定を決めた方が良いと思われる。

「ああ、そうする。野営準備に取りかかるとしよう。こいつらも、飯は食わせてやらんといかんからな」

 俺は捕えている男たちの方を見て、肩を竦めていた。

 さすがにこいつらも飯抜きというわけにもいかんからなぁ。上に戻るまでに餓死されても困る。

「グレイズさんは、相変わらず甘い。余ならそのような者たちは飯抜きで行軍させ弱らせてやるが……」

「まぁ、そう言うな。死なれたら情報も引き出せないだろ。それにこいつらも地上に戻れば罪に服すると言っているんだ」

「甘いですね。でも、それが余の知っているグレイズさんだがな。その男たちはグレイズさんが捕まえたので、グレイズさんの好きにせよ」

 ジェネシスも男たちを憎んではいるようだが、殺す気はないようで、彼らの処遇を俺に一任してくれた。

 処罰を任せられたが、俺たちが地上に戻り、冒険者ギルドに突き出せば、彼らはこの地の領主であるクレストン家の当主の判断で処罰されることになるはずだ。

 甘いとは思われるかもしれんが、俺が刑罰を決めればそれは私刑でしかない。それに一度死んだ身であるし、これ以上のことは領主に任せるべき事柄である。

「野営ってなれば、早速準備しないとね。みんなー。野営するらしいわよ。ほら、荷物おろして」

 メリーが前にいた若い冒険者の集団に野営の指示を出していく。

 店を切り盛りしてきたメリーであるため、この脱出行の期間中に若い冒険者たちからの信頼を得て彼らのまとめ役におさまっていたのだ。

 仕切りに関しては明らかに俺よりも手早く、確実にみんなへ仕事を割り振れる頼れる人材になっている。

「グレイズさんも背負っている荷物から食材出してねー。ファーマ、カーラ、アウリース、あとメラニアもご飯部隊引き連れてご飯の準備よろしくー」

「はーい。カーラさん、アウリースさん、メラニアさん、ご飯の準備しよー」

「はい、じゃあ、私はお水用意しますね」

「グレイズ、背負子から食材取りたい。おろして」

「皆さん、わたくしもお手伝いします」

 メリーの仕切りで食事の準備と野営の準備が始まり、周囲はガヤガヤと喧騒に包まれていく。

 荷物を降ろした俺にはお仕事が割り振られなかったので、先ほどから言っていた男たちに事情をすべて話してもらうことにした。

 リーダー格の冒険者の男と暗殺者のリーダーの男の二人の縄を解き、俺の前に連れてくる。

 ジェネシスもお役目を振られなかったようで隣で立っていた。

「さて、フラマー商会のヴィケットが依頼者だと言うことだが、なんで俺たちを皆殺しにしろと依頼された?」

 男二人は俺の力を目の当たりにして、まともに目を合わせようとせず、下を向いたままでいる。

 心なしか怯えているようで、肩が震えているように見えていた。
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