おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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第二部 第一三章 帰還を阻む者

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「ククク、そなたは妾の僕としてくれるわ」

 ノーライフキングに喉元を掴まれたかと思うと、首元がひんやりとしていく。

 この魔物が持つエナジードレインが発動したのであろうと思われた。

「グレイズさんっ!! 今助けるから待ってて!」

 ファーマが俺を救出しようとノーライフキングに攻撃を仕掛けようとするのを手で制す。

「おや、仲間に助けを求めぬのか? ならば、遠慮なく魂をもらい受けよう」

 ノーライフキングは、俺がエナジードレインを受け、全てを諦めたと思ったようだ。

「確かに、あんたは強いけどな。果たして俺の魂を吸いつくせるかな? こう見えても神器持ちの神様候補だぜ。ケフ、ケフ」

 喉元を締め上げられ苦しいが何とか声を絞り出して、ノーライフキングを挑発する。

 神様候補とはいえ生身の俺と、アンデッド魔物化しているノーライフキングでは腕力の桁が違い過ぎた。

 だが、暗殺者の男やSランク冒険者たちを一瞬で骨にしたエナジードレインに対しては、蚊に刺されたほども痛みを感じないでいたのだ。

「ほぅ、強がりを言いおって。ならば、全力で吸い尽くしてくれるわっ!」

 俺に挑発されたノーライフキングは語気を強め、生命力を吸い上げるエナジードレインを行う手の力を強めていた。

 けれど、やはり俺には余りダメージにならないらしい。

 魔法攻撃に対する抵抗もステータスMAXが功を奏しているようで、全く俺の身体は変化を起こしていかなかった。

「それが、全力か? もっと、吸っていいぞ。遠慮するな。ここしばらく吸ってなくて腹が減っているんだろう? 俺の方はまだまだ元気だぜ」

「くぬっ! そなた、妾のエナジードレインを受けて平然としているとは…‥‥!」

「あの女、グレイズの体力吸っている。それは許さない。魔力尽きるまでグレイズ回復させる」

 カーラが俺の背後から回復魔法をかけてくれると、ノーライフキングに吸われていく体力よりも回復量の方が上回っていく気がしていた。

「じゃあ、私も回復魔法かけるわ。グレイズさんのほっぺたを舐めたのが、ノーライフキングの誤算ね」

 カーラと同じようにメリーも自ら使える回復魔法を俺にかけ始めている。

 更に俺の体力の回復量が上がった気がする。

「ぐぬぬっ!! 小癪な奴らめ。妾の本気をなめるなぁ!!」

 俺の喉元に当てられた手から発せられる光が一段と強くなる。

 だが、一向に痛みも苦しみも感じることはなかった。

「わふぅう! (さすがグレイズさんです。神格が足りないかなって思っていましたが、アクセルリオン神が規格外の神様用に作った神器ですからねぇ。力だけじゃなく魔力も半端ないはずです)」

「まだまだ、タップリと残っているぞ。グイグイと吸い取ってくれていいからな」

 俺は喉元を掴んでいるノーライフキングを更に挑発するようにグイっと顔を前に近づけていく。

 その態度が更にノーライフキングの怒りに油を注いだようで、エナジードレインの光は更に光を強めていった。

「ぐぬぬううう! こやつ、吸っても、吸っても生命力が尽きぬだとっ! ええい、神候補というのは嘘では……」

 俺の身体から生命力を吸うノーライフキングの身体が一回り大きく膨らんでいた。

 明らかに吸い始めより体の大きさがデカくなっているのだ。

「まだまだ、余裕だ。そうだ。俺も回復魔法を使えるから、それも加えてやるぞ。だから、もっと吸っていいからな。遠慮するな。お前を倒せば無事にみんなで地上に戻れるからな」

 余裕の表情を浮かべ、更に追加の回復魔法を俺自身に発動させていた。

「ば、馬鹿にしおって! そなたらは妾が全部魂を喰らってぇ……ややや、やるわわ」

 有り余る魔力で一気に回復量が増えたことで、生命力を吸い上げているノーライフキングの身体が更に膨らむ。

 メリハリのある体をした美人顔のノーライフキングは大量の生命力を吸い上げたことで、身体の一部である腹が妊婦のように膨らみ、手足も最初の四~五倍にまで一気に膨らんだ。

「あああぁ、嘘じゃ。妾が魂を吸い切れぬなど……こんなことが……あ、ありえない」

 一向に衰弱した様子を見せない俺に対し、ノーライフキングはパンパンに膨らんだ顔に驚きを貼り付けた表情をしていた。

「ほらほら、俺はぴんぴんしているぞ。骸骨にして僕にするんじゃなかったか?」

「ぐぎいいいっ! 妾を馬鹿にしよって!」

 ノーライフキングも負けず嫌いな性格のようで、赤い眼から淡い光を帯びた液体を垂れ流しながらも、俺から生命力を吸い上げるのをやめずにいた。

「ノーライフキングさん、苦しそうー。ギブアップー?」

「最初から比べるととっても大きくなりましたね……。ふくよかな妊婦さんみたい……」

 手持無沙汰な様子でファーマとアウリースが、俺の生命力を吸い続けるノーライフキングの容姿の批評を始めている。

 すでに青白い皮膚はいつ破れてもおかしくないほどにパンパンに膨らみ、淡い光が内部から漏れ出ていた。

 明らかに自身が吸える魂の量の限界が近づいているようだ。

「妾がぁ、妾が吸い切れぬなどぉおおおおおおおおおおおおおおお!!! うぼぉおおおおおおっ!」

 俺から生命力を吸い上げることをやめなかったノーライフキングが、絶叫すると身体の表面の一気にひび割れが走っていく。

 すると、内部から吸い込んだ俺の生命力である淡い燐光だった物が、ノーライフキングの身体にできたひび割れから漏れ出し爆発的な眩しい光を発してダンジョンの中を照らしていった。

 眩しい光が漏れ出す度に、ノーライフキングの身体にできたひび割れは拡がっていき、生命力を吸いつくされ魂を体内に囚われていた男たちが解放されていくのが見えた。

 光が周囲を包んでいくとノーライフキングの僕となっていた骸骨たちは魂を取り戻し、回復魔法によって溢れ出した俺の生命力の残滓が、骸骨になった男たちの魂を身体に定着させ、生身の身体を復活をさせていたのであった。
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