おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

文字の大きさ
204 / 232
王都編 グレイズ、冒険者ギルドに喧嘩を売る

7

しおりを挟む

 突如、円卓会議室に現れたヒッグス・マイヤーを名乗る青年からハリアー解任の再考を促されていた。

 王都の影王と言われるほどの権勢を得ている男が表に出てきてまで、王に直訴することは極めて異例なことだろうと思われる。

 ヒッグス・マイヤーのハリアー解任の再考の申し出によって、王国否定派も息を吹き返し始めていた。

「お、恐れながら申し上げます。私もハリアー殿の解任の再考を陛下に願い出させてもらいます」

 一人のギルドマスターがジェネシスの前に進み出ると、こぞって王国否定派のギルドマスターたちが同じ行動に出ていた。

 ヒッグスの支援を期待して、ジェネシスの圧力をなかったことにしようと動きだしたらしい。

 そんなギルドマスターたちをジェネシスが冷たい視線で見据えている。

「ふむ、再考せよと申すか……余が、この国の最高権力者であるという認識はその方らにはあるよな?」

「もちろん、存じております。ジェネシス陛下は全てを決められる方であり、何者にも縛られない存在であると」

 ジェネシスが威圧的に喋ると、ギルドマスターたちは首を竦めたが、ヒッグスだけは小馬鹿にした微笑を浮かべて軽く頭を下げただけだった。

 両者の睨み合いは続き、円卓会議室内は息を呑むのも憚られるような緊張感に包まれていた。

 空気は最悪と言ったところだな……。

 ヒッグス・マイヤー的には掌中の巨大利権組織を国王のジェネシスに弄らせたくないため、強烈な意思表示をしたということか。

「ふぅ、仕方あるまい。王都の影王殿に逆らえば余とて色々と困ったことになる。申し出通り、ハリアー殿の解任は見送るとしようか」

 ジェネシスはこちらが驚くほど呆気なく折れた。

 彼の性格上、やり始めたことを止めることはなく、最後まで突っ切るものだと思っていたからだ。

 折れたジェネシスを見ていたヒッグス・マイヤーはニヤリといやらしい笑いを浮かべていた。

 自分の権勢が王すらも上回ったと感じているに違いない。

 影であるはずの王が、表の王に意見をしてそれを通させたので、その喜びは分らないでもないが……。

 影ってのは、影を作ってくれた人あるからこその影なんだがなぁ……。

 俺はヒッグスの笑みになぜか憐れみを感じていた。

「ジェネシス陛下の賢明なる判断に感謝いたします。早速、ハリアー殿を呼び戻して参りましょう」

 勝者の笑みを浮かべているヒッグスに対し、ジェネシスは落ち込んでいるかと思えば――

 顔を伏して笑っていた。

 やばい、絶対まだ何か画策してて、上手くいったとか思ってる顔だろ、あれは。

 王としては規格外のぶっ飛んでいる男なので、何を繰り出すのか不安でならない。

 本当なら、俺はこんなことで心配をする必要もないのだが、メラニアの弟でもあるし、押しかけ弟子として半ば無理矢理弟子入りした男ではあるが、面倒は見てやると言った手前、巻き込まれるのは仕方ないと覚悟はしていた。

「それには及ばぬ。余たちが出ていくことにしょう。ああ、ついでに言っておくことがあるが、余は新たな冒険者ギルドのネットワークを立ち上げるぞ。そちらが余が認可する正統な冒険者ギルドだ。そこの本部ギルドマスターはグレイズ殿に就任してもらい、本部もブラックミルズに置くことになっておる」

「!?」

「ちょ、は!? 新しい冒険者ギルドとか? ジェネシス、お前何を考えているんだ」

 ジェネシスの提案を聞いた俺は頭にハテナマークが数個浮かんでいた。

「あ、えーっと、グレイズさんは絶対拒否するから言わなかったけど、元々新しいの作るつもりだったんで、ちょうど良かったっす」

「へ、陛下!? 新しい冒険者ギルドですと!?」

 先ほどまで勝ち誇っていたヒッグスの顔に焦りが浮かんでいた。

 完全に想定外の事態に巻き込まれた人みたいになってて、ちょっとだけ可哀想な気もする。

「余は新規立ち上げの冒険者ギルドに『のみ』、税徴収代行権、治安維持権、ドロップ品取り扱い権、ドロップ品販売権を与えることにした。これは国王の専権事項であるため、意義の申し立ては受け付けない。ちなみに多くのダンジョン都市にある冒険者ギルドはこっちに参加の意向を受けておるぞ。なにせ本部からのピンハネ徴収が激減するからな」

 ジェネシスとともに入場してきていたギルドマスターたちがニヤニヤと笑っている。

 つまり、そういうことだ。

 元々、解体する気満々だったということらしい。

 俺の呼び出しはその出汁にされたのかもしれない。

「あー、ジェネシス。ぶっ壊すのはいいが、冒険者たちが飯を食えなくなるのは頂けないぞ」

「ギルドマスター不参加の街にもすぐに支部が建つ予定なんでご安心を、まぁ、首を挿げ替えるだけなんでよゆーっす」

 仕事が早い……すでに反対しそうなギルドマスターの居る支部は職員を買収済みか……。

 ヨシュア辺りが暗躍してそうだけども、お仕事頑張り過ぎだぞ。

 狼狽えた表情をしたヒッグスが、こちらを見ている。

 だが、俺は名目上のお飾りなんで、冒険者の生活が困らないなら、とりなす気なんてサラサラないぞ。

「あ、あの! 陛下、ジェネシス陛下! そのような前例のないことをすれば大混乱が生じます! 歴史ある冒険者ギルドを破壊するなどあってはならぬこと!」

 真っ青に顔色を染めたヒッグスは必死にジェネシスに再考を申し出ていた。

 国王の認可が無くなれば、非合法販売とされ、闇市と同じ扱いにされてしまう。

 そうなれば、表立っての商売行為はできないため、どれだけの規模があろうが干上がってしまうのは目に見えていた。

 ジェネシスは相手が抜かないだろうと思っていた伝家の宝刀を容易く抜いて突きつけたのだ。

「すでに新冒険者ギルドは立ち上がっておる。明日にもサイアスが起草して国民に公布されるであろうな」

「へ、陛下! なんということを!」

「冒険者ギルドは古くなり過ぎてカビが生えかかっていたからな。一旦ぶっ壊すのもいいだろうさ。悪評は余が受ける。それに新冒険者ギルドのトップに座るのは余が全幅の信頼を置くグレイズ殿だからな。きっと冒険者ギルドの利益だけじゃなく、冒険者の利益まで考えてくれる施策をバンバン通してくれると期待している」

「そのようなことを……すれば、安定が失われます! 冒険者ギルドが王国にどれだけの税を払っているかご存知なのか! それを捨てると申されるのか!」

「確かに多大なる税を冒険者ギルドからは納めてもらっているが、それ以上に幹部たちの脱税が目に余るものがあるのでな。そちらはそちらでサイアスたちに厳しく追及させるので安心せよ」

 居並ぶ王国否定派のギルドマスターたちが身体竦むのが見えた。

 相当、中抜きして蓄財を貯めていたらしい。

 実際、ハリアーもやたらと高級そうな馬車を乗りまわしていたもんなぁ。

 自業自得だ。

 だが、俺も身を慎んで金は綺麗に使い切らないと危なそうだ。

 溜まっている個人資産は、みんなの装備の更新しようかなぁ。

 俺が場違いな考えを思索している間に話はドンドンと進んでいく。

 その時、再びドアが開くと、街道で俺たちが助けた初老のヒッグス・マイヤーが現れた。

「陛下、我が影の『ヒッグス・マイヤー』の一人が迷惑をおかけした」

「総領様!? こ、これは違うんです! 私はただ冒険者ギルドを守るべきだと陛下に上申しただけで……」

 青年の方のヒッグス・マイヤーはカタカタと震えはじめると、初老の男の前に跪いて頭を垂れていた。
しおりを挟む
感想 1,071

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。