211 / 232
最終章 そして、伝説へ
5
しおりを挟むコーリアンを拠点にした、枝街道の魔物討伐も一週間が瞬く間に過ぎ去っていた。
枝街道を占拠していた魔物たちは、俺たちによって一掃され、絶望都市へ繋がるハーベイ村を解放に成功していた。
「グレイズさん、これでこの村を拠点にして枝街道に向かう魔物たちを迎撃できるわね」
「グレイズさん、コーリアンに王国軍の先発隊が到着したようだし、ここの防衛にも冒険者を振り分けられると思うっす。これで、ブラックミルズにも救援に行けれるっすね」
「まぁ、絶望都市から湧き出る魔物の大半がこのハーベイ村を経由していくからな。ここさえ抑えられれば魔物流出もかなり限定できるようになる」
村人たちは魔物たちが大量に来る前に、コーリアンの方へ避難しており、村は無人化していた。
人的被害が出なかっただけでも幸いか。
村の中は魔物たちが暴れていておかげで、グチャグチャになっていたが、屋根や塀も残っているし野営しても寒さに震えることはないだろう。
「グレイズさーん、応援の冒険者の人たち来たよー!」
村の入り口を見張っていてくれたファーマから声がかかった。
十数人のフル装備の冒険者たちが、ゾロゾロと村の入り口から入ってきた。
「ちぃーす、グレイズさん。アルマさんたちからこっちのお手伝いしてくれって言われました」
「おう、ご苦労さん。しばらくの間、ここに籠って魔物が這い出してくるのを防いでくれ。くいもんはたっぷりと持ち込んであるから自由に飲み食いしていいぞ
「おぉ、さすがグレイズさんっすわ。ありがてぇ、腹ごしらえさせてもらいますわ」
冒険者たちが食料を受け取ると、近くの焚火で食事の準備を始めていた。
「周りの魔物は一掃してあるから、これから続々来る予定の冒険者たちと一緒にここの村を防衛してくれ! 頼んだぞ」
「了解っす。ここで魔物が溢れだすのを食い止めたら、がっぽり稼げますからね。たっぷりと稼がせてもらいますよ」
アルマがこのハーベイ村の防衛依頼に多額の依頼料を提示しているようだ。
ここさえ抑えられれば、絶望都市から溢れ出す魔物の八割近くは封じ込めれるし、枝街道、本街道の防衛も負担軽減できる急所だしな。
さすが、アルマだ。
金と人の使い道を知っている。
「アルマも大胆な手を使えるようになったわね。グレイズさんの次の代の本部ギルドマスターは、初の女性本部ギルドマスターの誕生かしらねー。今からせっせとアルマとのパイプを太くしておかないと」
商魂たくましいメリーが、アルマの将来性を見出して手をわきわきさせていた。
メリーの言う通り、俺が本部ギルドマスターとして椅子に座る期間はそう長くないつもりだ。
なので、今回の魔物流出の対応を全てアルマに丸投げしてギルドマスターたちや冒険者たちに、彼女の能力の高さを見せつけておいた。
今回の実績をもってすれば、本部ギルドマスター代行業務スムーズに移行できるし、代行が取れても能力の信認してもらえるはずだ。
「ちゃんと公私の分別はつけておいてくれよ。ただでさえ、色んな役職が付いてて癒着とか言われてかねないからな」
「分かってます。私はお金を稼ぐのは好きだけど、貯め込むのは別に好きじゃないからねー。グレイズさんが私の稼いだお金をちゃんとみんなに還元してもらえるだろうし」
また、メリーが莫大に稼ぎ出す金の使い道を考えないといかんなぁ……。
商売するのが好きと公言するメリーだが、商行為で利益を出すのが好きなので、それによって出た利益を自分のために使うことにはあまり興味がなかった。
出た利益は商売の元手にしていくから、どんどんとメリーの会社が巨大化している。
王都でもちゃっかりと取引先を増やして、商取引を拡大していた。
「俺の口座に勝手に入ってくる金はみんな還元するつもりだしな。絶望都市騒動で避難している村の人たちの復興資金として供出するのもいいな」
「さすが、グレイズ。持っている男はやることのスケールが違う」
「グレイズさん、それいいよー。みんな、畑も家も壊されちゃってるしね。冬を越せない人も出てくるかも」
「復興資金、素晴らしいと思います。さすが、グレイズさんです」
「ブラックミルズ公爵家も被災された方への全力支援を表明いたしますわ」
メリーが稼ぎ出す金の使い道が決まった。
今回の騒動で多数の避難者も出ているし、怪我や死人、家や畑にも被害が出ている。
それらの人々に稼いだ金を還元することに決めた。
「分かった。分かった。使い道も決まったしな。その前にブラックミルズにも一旦帰りたいし、絶望都市の魔物流出も止めないといけないしな」
俺たちの話が終わるのを待っていた冒険者の代表がペコリと頭を下げて会話に入ってきた。
「グレイズさん、ここは俺らが面倒見るんで、お疲れ様っした。ここにいる皆さんと同じようにアルマさんが早く戻ってきて欲しいそうにしてましたよー。モテる男はつらいっすねー」
「うるせー」
「そうやって照れているから、みんなもグレイズさんを弄り倒すんすよ。そろそろ、『そうだろ、お前らも俺みたいになれるよう頑張れよ』って威張ってもいいレベルっすよ」
冒険者の代表の男がニコニコ笑いながら話していた。
これでも色々と大変なんだぞ。
主にみんなが有能過ぎて、俺の仕事が無くなりつつあるって危機感が半端ない。
頑張らないとヒモになりかねないのだよ。
ヒモ男がそんなセリフ吐いてたら、かっこ悪いどころの騒ぎじゃなく、男としての価値も無くなってしまう。
「俺はそんなセリフを吐けるほど、仕事してないしな。もっと、もっと彼女たちの役に立てる男にならないといかんのだ」
「さすがっすね。グレイズさんのそういうとこが痺れるっすっ!! いやー、オレもそんなセリフ言ってみてぇー」
ジェネシスが何か一人で感動しているようだ。
別にかっこいいセリフを言ったわけでもないし、俺の思いをみんなに聞かせたかっただけだなのだが。
「さぁ、俺のことはどうでもいいから、ここは任せてコーリアンに戻るぞ」
俺は冒険者たちにハーベイ村を任せると、コーリアンに一旦戻り、ブラックミルズへの帰還の準備を進めることにした。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。