おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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最終章 そして、伝説へ

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 ジェイミーと話していると、街の住人と冒険者の人だかりが二つに割れた。

 そちらを見るとおばばが立っていた。

「ひぇ、ひぇ、ひぇ、魔物で溢れる枝街道を無理矢理押し通るとはグレイズも無茶するねぇ。まあ、お前の力なら当然の結果じゃのうぅ」

「おばばもしぶとく生き残っているみたいだな。押し寄せる魔物相手に陣頭指揮を執って大立ち回り、その後はジェイミーや冒険者をこき使っての強権指導力を発揮したとか聞いたぞ」

「一度は死んだかと思ったが、死にたくないって思った途端、思い通り動かなかった身体が軽くなって、もやがかかっていた思考も澄みわたってしまってのぅ。これでわしはあと五〇年は生きられそうじゃわい」

 腰をやらかして以来、ベッドで衰えが見えていたおばばだった。

 だが、俺たちがブラックミルズに帰ってきたらやたらと肌艶が良くなってて、しかも立って歩いていたのだ。

「おばばがあと五〇年も生きたら人を超える存在になりそうだな」

「おばば、元気になってよかったー。ファーマは心配してたんだ」

「さすがおばば、簡単に死なない女だけのことはある」

「ファーマもカーラも、わしが簡単死ぬとでも思っておったのかい? わしはグレイズの孫の顔を見るまでは生きるつもりじゃぞ。ひぇ、ひぇ、ひぇ」

 おばばの生きがいはそれかよ……。

 まぁ、よぼよぼのおばばよりもマシだが。

「ハハハっ! 最近じゃあ、おばばの方が魔物より怖いって言う冒険者も多いからな。オレはおかげで随分と楽できたけどな」

「ジェイミーも歳のわりに不甲斐ない子だからねぇ、わしが冒険者どもをびしっと仕切ってやったわい」

 おばばは力こぶを作り、Vサインを見せていた。

 長年の経験による指導力やカリスマ性を持つ、おばばは遊ばせておくには惜しい人材だった。

「そんなに元気ならブラックミルズ商店街連合会会長職はおばばに返してもいいな。俺も色々と押し付けられた役職が多くて困ってるところだ」

「そっちは、メリーがグレイズの後に就任する予定じゃわい」

「だったら、ブラックミルズのギルドマスター職でも」

「そっちはジェイミーの昇格が内定じゃろう」

「だったら、メラニアの相談役とか―」

「そっちはグレイズの仕事じゃわい。わしの次の仕事はグレイズの子供の子守り婆と決まっておるからな」

 そっち方面での仕事を期待されても色々と困るんだがな……。

 それに今は魔物流出問題を片付けないといけないし。

 そんなことをしている暇はないんだがな。

「おばば……」

「さぁて、グレイズたちが子作りできるように魔物どもの流出原因をぶっ壊しに行くとするかい」

「おばば、張り切りすぎ。これから対策考えるから落ち着くがいい」

「おばばさん、ファーマも負けないんだからねぇ!」

 若返りすぎて、やる気に溢れるおばばをカーラが止めてくれいた。

「おばばも元気ねー。でも、現状だと魔物の流出の根本を絶たないと日常が帰ってこないから、すぐに対策会議するわよー! 冒険者の子たちは冒険者ギルドに集まってー!」

 このままだと、おばばが剣をもって魔物に突撃しかねないと見たメリーが対策会議を行うと称し、みんなを冒険者ギルドへと誘導していた。

「ナイスだ、メリー。おおっし、対策会議するからみんな冒険者ギルドへ集合してくれ」

「グレイズも腰が座らない男だねぇ。メリー、あんたももう少ししっかりとグレイズの手綱を握らないと煮え切らないまま歳老いちまうよ」

「ちょっと、おばば。私が手綱を握るとか言わないでくれますか。ただでさえ、グレイズさんは慎重なんですから!」

「メリー、俺は先に行ってるからな」

 俺は逃げるように冒険者ギルドへ向かって駆けだした。



「あー、では俺たちがコーリアンで集めた情報を先に報告させてもらうから、みんな静かに聞いてくれ。アルマ頼むぞ」

「はい、ではグレイズさんの代わりに私からご報告させてもらいます。絶望都市からの魔物流出は目下のところこのハーベイ村にて冒険者主体の守備部隊が抑え込んでくれています。おかげで、本街道は王国軍の護衛付きながらおおよその交通を回復。枝街道ももうしばらくしたら一定の物資が運び込まれるかと思います。ブラックミルズ側も魔物の排除はほぼ完了とジェイミーさんから聞いてますので、絶望都市の攻略が急務かと思われます」

「物資流入が再開するのは嬉しいことじゃな。食い物は十分にあったが、色々とその他の物資が足りなくなってきてたからのぅ」

「はい、おばば様の言われた通り、不足してる物資優先で配送してくれるようにコーリアンの対策本部には連絡を出しておきますね」

「すまんのぅ、アルマ。日常の生活を少しでも取り戻さないと不安がる輩が多いから物資統制はあまりしたくないんじゃ」

「おばば様、分かっております。そっちの心配はもうほとんどしなくてもいいかと思います」

 アルマの言葉を聞いた冒険者たちも胸を撫でおろしていた。

 やっぱり物資の心配は結構あったんだろうな。

 みんなの顔に安堵が広がっているのを見て、俺も胸を撫でおろしていた。

 異常事態のなかで日常を維持してくれたおばばに改めて感謝だわ。

「するってーと、街道への魔物流出は下火になっているから、こっち側からもハーベイ村に人員送ったほうがいいか?」

「いえ、他の地方の冒険者も来てますし、ハーベイ村側の防衛はほぼ完ぺきかと。むしろ、絶望都市の監獄をまず攻略して更なる魔物流出の封じ込めを提案いたします」

「絶望都市の監獄かぁ……。ハーベイ村以外の道ってなると――」

 ジェイミーが掲示板に貼られた周辺地図を指でなぞっていく。

 あれは最新の地図だから絶望都市の位置も記載されていたな。

 みんなの視線がその指先に集中する。

 絶望都市に入る道で、ハーベイ村以外のところは……細い山道くらいか。

「そこだとラムザ鉱山への山道しかないな。あそこから抜けれるのか、ジェイミー?」

「おー、大丈夫なはずだ。オレが送った探索パーティーはその道を通り抜けて行ったからな。だが、大人数で通り抜けるのは厳しいかもな」

「グレイズさん! オレも行くっす! 仲間外れはダメっスからねっ!」

 ジェネシスが、俺に先手を打たせないように参加を申し出ていた。

「はいはい、お前が付いてくるのは計算内。ジェイミー、山道を通れそうな人数はどれくらいだ」

「帰還した奴らの報告だと二〇人くらいだって話だ」

 二〇人か……。

 うちのメンバーとおっさんず、あと選抜した冒険者たちってとこか。

 往来するのは厳しそうだし、向こうに探索拠点みたいなものを設置した方がいいかもな。

 荷物は俺が担いでいけばいいし、しっかりした探索拠点を作れば、そこから絶望都市に冒険者を送り込めるだろうし。

「反対側に拠点を作る先遣隊二〇名ってことにしとくか。さすがに俺も魔物が溢れる絶望都市を少数で探索する勇気はないからな」

「物資はグレイズ一人いれば大量に運び込めるって寸法か。そっちの方がいいかもしれんな。さすがにオレもグレイズたち単独で絶望都市に送り込む気はないぞ」

「よぉーし、大体の方針は決定したようじゃな。わしもそっちの探索拠点に――」

 おばばが腕まくりをはじめたのを見たメンバーたちが慌てて抑えに走る。

 これはゆっくり腰を据えてると、おばばが魔物を狩りに行き始めるかもしれない。

「おばばが暴走する前に色々と話を進めることにするぞ」

「おっす、みんなーグレイズさんがやる気出してるから、準備をすぐにするぞー」

「「「「おおぉー」」」

 冒険者たちも日常を取り戻すためにやる気に漲っていた。
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