王太子殿下から婚約破棄されたのは冷たい私のせいですか?

ねーさん

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 週末の休日の朝、アリシアとホリーは校門の前で迎えの馬車を待っていた。
周りには同じくお出掛けをする男女が何人か迎えを待っている。
「ねえ、アリシア、折角のデートなのに私が一緒で良いの?」
「デ…デートじゃないわ。事情説明よ。それに『ホリーも一緒に』ってジーンから連絡もあったし」
「そう?なら良いけど…」
 しばらくするとウィルフィス家の馬車が停まる。
「アリシア、待たせたか?」
 ジーンが降りて来る。アリシアが「ううん」と言うと、ジーンの後ろから顔色の悪いグレッグが降りて来る。
「お兄様も一緒なの?…顔色悪いけど」
「グレッグ様?大丈夫ですか?」
 ホリーが言うと、グレッグは
「大丈夫。ただ寝不足なだけだから」
 と言う。ジーンはため息を吐きながら言った。
「まあ、とりあえず行こうか」

 四人でカフェの個室に入る。
 デートで良く使われるカフェは、デートだけに周りに関心が向いていないのと、適度な騒めき具合で、意外と内緒話向きだ。
 それぞれの前にケーキと飲み物が置かれ、店員が出て行く。
「さて、先ずはセルダ殿下の件だが」
 ジーンが話始める。
「簡単に言えば、殿下の婚約者が未定なのは、殿下には好きな令嬢が居て、その令嬢を立太子式までに口説き落とせれば、その令嬢と婚約する。口説き落とせなければ、立太子式の後で改めて婚約者を選定するという取り決めが議会と王家でされたからなんだ」
「好きな令嬢が…」
 アリシアとホリーはぽかんとしてジーンを見る。
「一応、これは議会と王家と宰相などの重役しか知らない話しだから、漏らさないように気をつけて。ちなみに殿下の好きな令嬢が誰なのかは陛下と王妃、王弟殿下と、当の令嬢の周囲しか知らないらしい」
「ええ!?」
「それで、殿下がその令嬢を口説き落とせなくて、改めて婚約者を選定する場合、その婚約者にアリシアを据えたい。と言うのが議会の思惑だった訳」
「あの…聞いて良いのか分からないけど…ジーン様は何故そんな情報を?」
 ホリーがおずおずと言う。アリシアはうんうんと頷く。
「えーと…」
 ジーンは自分の頬をポリポリと掻く。
「旦那様…公爵家の情報網と…『アリシア様親衛隊』からの情報で、ね」
「「えええっ!?」」

 まさか、親衛隊がこんな所でも出て来るなんて!

 アリシアは驚きながらホリーを見る。親衛隊情報ならホリーも知っていたのかと思ったのだ。
 ホリーはアリシアを見て首を横に振る。
 ジーンは視線を斜め上にあげて言った。
「あのね『親衛隊』の、隊長…俺なんだ」
「……」
「……」
「「えええええ~!!」」
 一瞬の沈黙の後、アリシアとホリーは驚愕の声を上げた。

「アリシアは入学する前から生徒に人気があったんだけど、入学してから人気が沸騰してね。多くの生徒がアリシアの私生活を嗅ぎ回ったり、物を盗もうとしたり」
「そういえば一年生の時、ペンとか消しゴムとかよく失くしてたわ!」
 アリシアは「おかしいな~と思ってたのよね」と言って、ホリーに「アリシア鈍い…」と言われる。
「更に、アリシアと仲良くなろうと不自然に近付いたりする生徒が続出して、生徒同士でも小競り合いが起きたり、このままじゃアリシアにまで危害が及ぶと思い、俺がファンの生徒の取りまとめをし始めたんだ」
「なるほど。それが後の『親衛隊』になったと」
 ホリーが頷く。
「そう。ちなみに親衛隊に男子生徒がいないのも、俺がそう決めたから。男子生徒には個人的に話を着けたからね」
 ジーンはそう言ってにっこりと笑う。
「そっそう…」
 圧を感じてアリシアとホリーは苦笑いをする。

「グレッグ、目を開けたまま寝るな」
 終始ぼーっとしたままケーキを口に運んでいたグレッグの頬をジーンが軽く叩く。
「あ。ああ…ジーンの話は終わったのか?」
 グレッグは眠そうな顔で自分の頬を両手でぺちぺちと叩く。
「お兄様、昔から睡眠不足だとこんな感じになるの。それでも食べたり飲んだり出来るのって逆にすごいと思うわ」
 アリシアがホリーに小声で言う。
「そうね。今もちゃんとケーキ食べて紅茶飲んでらしたものね」
「終わったぞ。次はグレッグの番だ。アリシア」
 ジーンはグレッグの肩を叩くと、席を立ち、アリシアへ手を差し伸べる。
「え?」
「グレッグはホリーさんに話があるんだ。俺たちは席を外そう」

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