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番外編4
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リリアの懸念
アリシアとジーンの結婚式の少し前、リリア・ゴルディ侯爵令嬢と、ハリジュ・ルーセント王弟殿下との婚約が発表された。
「リリア様、今度の陛下の生誕祭パーティーに王弟殿下のパートナーとして出席されるかしら?…ジーンそろそろ降りて良い?」
アリシアが国王の生誕祭の最後に王宮で開かれるパーティーの招待状を見ながら言う。
「まだ駄目。そうだなあ。まだ婚約お披露目もしてないし、学生だから舞踏会や夜会も欠席されているけど、婚約して始めての陛下の生誕祭だし、出られるかも知れないな。アリシア、リリア嬢に会いたいの?」
ジーンが自らの膝の上に横抱きで座らせたアリシアの髪を撫でながら言う。
「会いたいと言うか、同じ婚約解消された者として気になると言うか…ジーン恥ずかしいから降ろして」
「駄目。恥ずかしいって二人きりなのに?」
「二人きりでも恥ずかしいの!」
ジーンはアリシアの髪を指へ絡ませる。
「折角新婚なのに残念だなあ」
髪へ口付けてからアリシアを自分の隣りへ座らせる。アリシアは熱くなった自分の両頬を押さえた。
「婚約解消された者同士だからリリア嬢が気になるんだ?」
「私は、婚約解消されて、ものすごく幸せになれたけど、リリア様はセルダ殿下に婚約解消されて…今度はすごく年上の王弟殿下と婚約されて…何と言うか、幸せかしら?幸せだと良いなって気になっちゃうの」
「そうか…パーティーでお会いできると良いね。…アリシア、幸せになれたんだ?」
ジーンが隣りのアリシアの顔を覗き込んで悪戯っぽく笑う。アリシアは頬を赤くして唇を尖らせる。
「ものすごく、よ」
ジーンは素早くアリシアにキスをする。
「あんまり唇尖らせてるとキスするぞ」
人差し指でアリシアの唇をちょんっと突く。
「…してから言わないで~」
アリシアは真っ赤になりながらジーンの肩に顔を埋めた。
もうすぐ本格的な冬になる頃、国王陛下の生誕パーティーが開催された。このパーティーは基本学園を卒業するまでは参加しない物で、アリシアもパリヤと婚約した年にのみ参加した。しかしその時アリシアは9歳になったばかりだったのでほとんど覚えてはいない。
あ、リリア様。
アリシアはハリジュと並ぶリリアの姿を見つける。
背の高いハリジュが屈んでリリアに顔を近付け、何かを話して笑っている。リリアも笑顔でハリジュを見上げる。
「…仲良さそう」
アリシアが呟くと、ジーンが「ん?」と顔を寄せる。
「リリア様とハリジュ殿下が仲が良さそうだなと」
ジーンはリリアとハリジュの様子を見て
「そうだね」
と微笑んだ。
「君がクラーク伯爵となったジーン殿かい?」
休憩のためテラスに出ていたアリシアとジーンの元にハリジュとリリアがやって来る。ハリジュがにこやかな表情で右手を差し出した。
「はい。殿下にはご機嫌麗しく」
「ああ、堅苦しいのはいらないよ。ね、リリア。クラーク伯爵夫人も久しぶりだね。結婚おめでとう」
「はい」
リリアが頷くと、アリシアは「ありがとうございます」と礼を取る。ジーンはハリジュと握手を交わす。
「私、クラーク伯爵夫人とお話したかったんです」
「アリシアとお呼びくださいませ。リリア様」
ハリジュとジーンはリリアとアリシアから少し離れる。リリアとアリシアはテラスの隅にあるベンチへ並んで座った。
「アリシア様、あの…不躾なんですが、今、お幸せですか?」
リリアが窺うように言うと、アリシアは破顔する。
「はい。とっても。ご存知の通り、私は幼なじみでもある我が家の執事の事を慕っていたので、婚約解消されたのを幸いに我儘を通してしまいましたわ」
「婚約解消を幸いに、ですか?」
「はい。もちろんあのような事がなければ、私は今頃王太子妃となっていたでしょう。ウィルフィス家の執事であるジーンとは会う事も話す事もなくなっていたと思います」
「はい」
リリアは頷く。
「実は…リリア様には本当の事を言いますけど、婚約解消された後、私を次の王太子の婚約者に…との話が出て、駒の様にあてがわれるのが心底嫌になりまして。いかにして王太子妃になる事を拒むかと知恵を絞った結果、私に恋人ができればよいのでは…と言う事で、最初はジーンとは恋人同士、婚約者の振りをしていたのです」
「ええ!?」
リリアが驚きの声を上げ、アリシアは苦笑いをする。
「でも私は本当にジーンを好きで…ジーンも昔から私の事想ってくれていたので、結局そこは本当の話になったのですけどね」
「…良かった。それに、私も駒の様にあてがわれるのが嫌だと言う気持ちはわかりますわ。…セルダ殿下との婚約解消の後、王家が私の結婚相手としてご紹介くださったのがハリジュ殿下で、何度か会ったりお手紙の遣り取りをしていたのに、セルダ殿下が立太子なさる前、私に『またセルダ殿下と婚約しないか』とお話が来まして…」
「ええ?」
婚約解消して、他の相手を紹介しておいて、また解消した相手と婚約しないか、とは…人の気持ちを簡単に扱い過ぎではないかとアリシアは憤る。
「ですからパズルのように結婚相手を当てはめようとされるのが嫌な気持ちはよく分かります!」
「リリア様!」
「アリシア様!」
二人は手を取り合う。
「…私は今とてもとても幸せなんですが…リリア様は?」
「私も、ハリジュ殿下とは歳も離れていますけど、とても好きなんです。殿下も私を好きだと言って下さいますし…すごく幸せです」
二人は見つめ合って、互いの幸せを確信し、微笑んだ。
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「リリア様、今度の陛下の生誕祭パーティーに王弟殿下のパートナーとして出席されるかしら?…ジーンそろそろ降りて良い?」
アリシアが国王の生誕祭の最後に王宮で開かれるパーティーの招待状を見ながら言う。
「まだ駄目。そうだなあ。まだ婚約お披露目もしてないし、学生だから舞踏会や夜会も欠席されているけど、婚約して始めての陛下の生誕祭だし、出られるかも知れないな。アリシア、リリア嬢に会いたいの?」
ジーンが自らの膝の上に横抱きで座らせたアリシアの髪を撫でながら言う。
「会いたいと言うか、同じ婚約解消された者として気になると言うか…ジーン恥ずかしいから降ろして」
「駄目。恥ずかしいって二人きりなのに?」
「二人きりでも恥ずかしいの!」
ジーンはアリシアの髪を指へ絡ませる。
「折角新婚なのに残念だなあ」
髪へ口付けてからアリシアを自分の隣りへ座らせる。アリシアは熱くなった自分の両頬を押さえた。
「婚約解消された者同士だからリリア嬢が気になるんだ?」
「私は、婚約解消されて、ものすごく幸せになれたけど、リリア様はセルダ殿下に婚約解消されて…今度はすごく年上の王弟殿下と婚約されて…何と言うか、幸せかしら?幸せだと良いなって気になっちゃうの」
「そうか…パーティーでお会いできると良いね。…アリシア、幸せになれたんだ?」
ジーンが隣りのアリシアの顔を覗き込んで悪戯っぽく笑う。アリシアは頬を赤くして唇を尖らせる。
「ものすごく、よ」
ジーンは素早くアリシアにキスをする。
「あんまり唇尖らせてるとキスするぞ」
人差し指でアリシアの唇をちょんっと突く。
「…してから言わないで~」
アリシアは真っ赤になりながらジーンの肩に顔を埋めた。
もうすぐ本格的な冬になる頃、国王陛下の生誕パーティーが開催された。このパーティーは基本学園を卒業するまでは参加しない物で、アリシアもパリヤと婚約した年にのみ参加した。しかしその時アリシアは9歳になったばかりだったのでほとんど覚えてはいない。
あ、リリア様。
アリシアはハリジュと並ぶリリアの姿を見つける。
背の高いハリジュが屈んでリリアに顔を近付け、何かを話して笑っている。リリアも笑顔でハリジュを見上げる。
「…仲良さそう」
アリシアが呟くと、ジーンが「ん?」と顔を寄せる。
「リリア様とハリジュ殿下が仲が良さそうだなと」
ジーンはリリアとハリジュの様子を見て
「そうだね」
と微笑んだ。
「君がクラーク伯爵となったジーン殿かい?」
休憩のためテラスに出ていたアリシアとジーンの元にハリジュとリリアがやって来る。ハリジュがにこやかな表情で右手を差し出した。
「はい。殿下にはご機嫌麗しく」
「ああ、堅苦しいのはいらないよ。ね、リリア。クラーク伯爵夫人も久しぶりだね。結婚おめでとう」
「はい」
リリアが頷くと、アリシアは「ありがとうございます」と礼を取る。ジーンはハリジュと握手を交わす。
「私、クラーク伯爵夫人とお話したかったんです」
「アリシアとお呼びくださいませ。リリア様」
ハリジュとジーンはリリアとアリシアから少し離れる。リリアとアリシアはテラスの隅にあるベンチへ並んで座った。
「アリシア様、あの…不躾なんですが、今、お幸せですか?」
リリアが窺うように言うと、アリシアは破顔する。
「はい。とっても。ご存知の通り、私は幼なじみでもある我が家の執事の事を慕っていたので、婚約解消されたのを幸いに我儘を通してしまいましたわ」
「婚約解消を幸いに、ですか?」
「はい。もちろんあのような事がなければ、私は今頃王太子妃となっていたでしょう。ウィルフィス家の執事であるジーンとは会う事も話す事もなくなっていたと思います」
「はい」
リリアは頷く。
「実は…リリア様には本当の事を言いますけど、婚約解消された後、私を次の王太子の婚約者に…との話が出て、駒の様にあてがわれるのが心底嫌になりまして。いかにして王太子妃になる事を拒むかと知恵を絞った結果、私に恋人ができればよいのでは…と言う事で、最初はジーンとは恋人同士、婚約者の振りをしていたのです」
「ええ!?」
リリアが驚きの声を上げ、アリシアは苦笑いをする。
「でも私は本当にジーンを好きで…ジーンも昔から私の事想ってくれていたので、結局そこは本当の話になったのですけどね」
「…良かった。それに、私も駒の様にあてがわれるのが嫌だと言う気持ちはわかりますわ。…セルダ殿下との婚約解消の後、王家が私の結婚相手としてご紹介くださったのがハリジュ殿下で、何度か会ったりお手紙の遣り取りをしていたのに、セルダ殿下が立太子なさる前、私に『またセルダ殿下と婚約しないか』とお話が来まして…」
「ええ?」
婚約解消して、他の相手を紹介しておいて、また解消した相手と婚約しないか、とは…人の気持ちを簡単に扱い過ぎではないかとアリシアは憤る。
「ですからパズルのように結婚相手を当てはめようとされるのが嫌な気持ちはよく分かります!」
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「…私は今とてもとても幸せなんですが…リリア様は?」
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二人は見つめ合って、互いの幸せを確信し、微笑んだ。
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