3 / 28
もえる
しおりを挟む「……え……初対面、だけど……」
戸惑うような真紀の瞳に厭悪がないことに、泣きたくなるくらい、ほっとした。
背の高い真紀を見あげる俺の唇が、ふるえてる。
「二度目です!
……もう、逢えないかもしれない、から……だから……!」
「……え、と……きみから見たら、俺はおじさんなんじゃ……?」
そらされる瞳に、握りこんだ指が、ふるえる。
「……俺なんて、子どもで……恋にならない……?」
自分で言って、自分で泣きそうになった。
「……いや……その……」
戸惑う真紀と、懸命な俺の後ろから、声が飛ぶ。
「きゃー! がんばって!」
「すごい、人が告白してるとこ、はじめて生で見た!」
「な、何やってんだよ、愛希──!」
「……満員電車だぞ。すげえな」
耳まで燃えた。
は、はずかしい……!
夢中すぎて、気づいてなかった!
差別されるんじゃないかとか、きもちわるいと思われるんじゃないかとか、そうっと見あげた皆の目は、びっくりと応援だった。
いやそうに目をそらした人もいたけれど、でも
「がんばれ!」
応援してくれる人がいる。
泣きたくなって、あわてて目を拳でぬぐった。
「すきです! つきあってください!」
頬が、熱い。
鼓動が、燃える。
まるくなった真紀の瞳が、照れくさそうに、そらされた。
──……あぁ、だめだ。
はじめての恋が、散ってゆく。
……泣いたら、だめだ。
ぎゅっと唇を噛んだら、つやつやの髪が、揺れる。
「……うん」
「きゃ──!」
歓声が、聞こえた。
「おめでとう!」
「がんばったな!」
肩をたたいてくれる人がいる。
びっくりして、泣きたくなるから、笑った。
「あ、あの、俺、片白愛希です!」
「おぼえてる」
ちいさな声に、鼓動が跳ねる。
「……よろしく、あき」
大きな手が、俺の手をにぎってくれた。
「よ、よろしくお願いします、まきちゃん!」
「……は……!?」
目をむいた真紀の耳が、真っ赤だ。
「えへへ。名前、おそろい。うれしかった」
燃える頬で、笑う。
ふわふわ栗色の髪が、揺れる。
「……愛希、いくつ」
ぼそりと聞かれる。
声まで、かっこいー。知ってた!
「15歳!
高校1年生だよ。まきちゃんは?」
「……24。……9歳も違うのか……!
待て、俺に3年も我慢しろって──!?」
悲壮な顔になっても、かっこよすぎるかんばせを見あげる。
「……だめ……?」
ぎゅう
つながった手を、にぎる。
ふうわり紅くなった真紀が、俺の手をにぎりかえしてくれた。
「……だめじゃない」
ささやく吐息が、かすれてる。
「……まきちゃんも、俺のこと、いいなって思ってくれた、の……?
よだれまみれにしちゃったのに……?」
そうっと聞いたら、真紀が笑う。
「びっくりした。最初は気分がわるいのかと思って焦ったけど、満員電車で熟睡するなんて、すげえなって。
……揺れてるから、倒れないように抱きよせたら、よだれまみれにされるし」
喉の奥で笑う真紀が、かっこよすぎて、つらい。
「ご、ごめんなさい……!」
のびた長い指が、くしゃりと髪をなでてくれる。
「抱っこしてたら……ちっちゃくて、かわいくて、あったかくて……すきになってた」
ささやきが、耳朶にふれる。
「今日、逢えるの、楽しみにしてた」
ふうわり、ほんのり紅いまなじりで、笑ってくれる。
「告白してくれて、うれしかった。
……俺からは、絶対、無理だから。
ありがとう」
つながる手を、にぎってくれる。
「まきちゃん、だいすき──!」
抱きついたら、抱きとめてくれた。
「まきちゃんは止めてくれ、はずかしい……!」
真っ赤な耳で叫ぶ真紀ちゃんが、世界でいちばん、かっこかわいー!
俺の彼氏になってくれるなんて、夢みたい……!
787
あなたにおすすめの小説
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
夜が明けなければいいのに(洋風)
万里
BL
大国の第三皇子・ルシアンは、幼い頃から「王位には縁のない皇子」として育てられてきた。輝く金髪と碧眼を持つその美貌は、まるで人形のように完璧だが、どこか冷ややかで近寄りがたい。
しかしその裏には、誰よりも繊細で、愛されたいと願う幼い心が隠されている。
そんなルシアンに、ある日突然、国の命運を背負う役目が降りかかる。
長年対立してきた隣国との和平の証として、敵国の大公令嬢への婿入り――実質的な“人質”としての政略結婚が正式に決まったのだ。
「名誉ある生贄」。
それが自分に与えられた役割だと、ルシアンは理解していた。
部屋に戻ると、いつものように従者のカイルが静かに迎える。
黒髪の護衛騎士――幼い頃からずっと傍にいてくれた唯一の存在。
本当は、別れが怖くてたまらない。
けれど、その弱さを見せることができない。
「やっとこの退屈な城から出られる。せいせいする」
心にもない言葉を吐き捨てる。
カイルが引き止めてくれることを、どこかで期待しながら。
だがカイルは、いつもと変わらぬ落ち着いた声で告げる。
「……おめでとうございます、殿下」
恭しく頭を下げるその姿は、あまりにも遠い。
その淡々とした態度が、ルシアンの胸に鋭く突き刺さる。
――おめでとうなんて、言わないでほしかった。
――本当は、行きたくなんてないのに。
和風と洋風はどちらも大筋は同じようにしようかと。ところどころ違うかもしれませんが。
お楽しみいただければ幸いです。
ランドセルの王子様(仮)
万里
BL
大学生の森下優太(20)は、ある日の夕暮れ、ひったくり犯に襲われ絶体絶命のピンチに陥る。そんな彼を救ったのは、鮮やかなシュートで犯人を撃退した小学生の少年、日向蒼だった。
ランドセルを背負いながらも、大人顔負けの冷徹さと圧倒的なカリスマ性を持つ蒼。その姿に、優太はあろうことか「一目惚れ」をしてしまう。「相手は小学生、これはただの尊敬だ」と自分に言い聞かせる優太だったが、蒼のクールな瞳と救われた手の温もりが頭から離れない。
親友には「自首しろ」と呆れられながらも、理性と本能(ときめき)の狭間で葛藤する。禁断(?)のドキドキが止まらない、20歳男子による「かっこよすぎるヒーロー(小学生)」への片思い(自認はリスペクト)。
出戻り王子が幸せになるまで
あきたいぬ大好き(深凪雪花)
BL
初恋の相手と政略結婚した主人公セフィラだが、相手には愛人ながら本命がいたことを知る。追及した結果、離縁されることになり、母国に出戻ることに。けれど、バツイチになったせいか父王に厄介払いされ、後宮から追い出されてしまう。王都の下町で暮らし始めるが、ふと訪れた先の母校で幼馴染であるフレンシスと再会。事情を話すと、突然求婚される。
一途な幼馴染×強がり出戻り王子のお話です。
※他サイトにも掲載しております。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
偽りの聖者と泥の国
篠雨
BL
「感謝すら忘れた者たちに、明日を語る資格はない」
自らの都合で聖王セシルを追放し、異世界から新たな「勇者」を召喚したアドレアン聖王国。
しかし、その身勝手な選択が、国を、大地を、そして人々の心を根底から腐らせていく。
壊れゆく少年勇者と、彼を歪に愛した騎士。
二人の執着が交わったとき、聖王国は二度と再生不能な終焉へと突き進む。
裏切り者たちには、因果応報という名の、容赦なき報いが下る。
これは、傲慢な国が崩壊するまでの、無慈悲な記録。
-----------------------------------------
『嘘つき王と影の騎士』から引き続き読んでくださる皆様へ
この物語は、セシルを虐げた者たちが、ただただ因果応報の末路を辿るだけの物語です。
本編に救いはありません。
セシルたちのその後が気になるという方は、本編は飛ばして、最終話の後に掲載する「閑話」のみをお読みいただくことをお勧めいたします。
本作は『嘘つき王と影の騎士』の続編となりますが、前作をお読みでない方でも一つの物語としてお楽しみいただけます。
【創作BLオメガバース】優しくしないで
万里
BL
壮士(そうし)は男のΩ。幼馴染の雅人(まさと)にずっと恋をしていた。雅人は太陽のように眩しくて、壮士の世界を変えてくれた存在。彼の影を追うように、同じスポーツを始め、同じ高校に進学し、ずっと傍にいた。
しかし、壮士のヒートのせいで、雅人も充てられて発情してしまう。壮士は必死に項を守り、番になることを拒む。好きだからこそ、こんな形では結ばれたくなかった。壮士は彼の幸せを願って別の大学へ進学する。
新しい環境で出会ったのは、α・晴臣(はるおみ)。彼もまた、忘れられない人がいるという。
互いに“好きな人”を抱えたまま始まる関係。心の隙間を埋め合うふたり。けれど、偽りのはずだったその関係に、いつしか本物の感情が芽生えていく?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる