【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ

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おかしい

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 あこがれの人が彼氏になってくれて、電話番号を交換しちゃったなんて、夢みたい……!

 メッセージアプリを開いて、『真紀』ながめるだけで、へにゃへにゃしちゃう……!


「じゃあ、また明日ね!」

 ぎゅ

 真紀に抱きついたら、照れくさそうに笑ってくれる。


「また明日」

 微笑んでくれたら、天上にのぼる気がする。


「あ、クリーニング代……!」

 あわてて財布を出そうとする俺に、真紀は首をふった。


「今度デートのときに、何かおごって」

 秋の朝日に輝く髪で、笑ってくれた。


 ──でーと……!

 ほ、ほんとに、彼氏だ……!


 どきどきの胸が、破裂する。


「う、うん──!」

 ぶんぶんうなずいて、燃える頬で手を振って満員電車を見送った瞬間

「ちょ、愛希、何やってんだよ──!」

 幼なじみの友樹に肩をつかまれた。


「えへへへへ。彼氏ができちゃった!」

 とろけて笑った俺は、あわあわ背を正す。


「そ、その、きもちわるいとか思うかもしれない、けど……」

「思うわけないだろ! 化石かよ!」

 叫ばれた。
 びっくりした。


「……う、うん。あの、幼なじみ、つづけてくれたら、うれしい」

 ふわふわ熱くなる頬で笑ったら、友樹の顔が、ぐしゃりと歪んだ。


「昨日逢ったばっかだろ。告白って、なんで──」

 悔しそうな友樹に首をかしげた俺は、胸を張る。


「恋は、落ちるものなんだよ。
 友樹もさ、恋をしたらわかるって」

 お兄さんになった気分で友樹の背を叩いたら、ものすごい目でにらまれた。


「してるよ!」

「……あ、あ、そっか、ご、ごめん。応援する……!」

 ……………………。

 友樹の目に刺された。こわい。







 めちゃくちゃかっこいー社会人な真紀と、高校生の俺が、おつきあいすることになったなんて、夢みたい!

 頭も、心も、ぽわぽわしてる。

 暇さえあればスマートフォンを開いて『真紀』なぞってしまう。

 あまりメッセージを送ったら迷惑かな、思いつつも、どきどきしながら文字を打つ手は止まらない。

『おはよう、真紀ちゃん!
 愛希だよ。真紀ちゃんの彼氏だよ♡』

 告白から一夜明けて、目が覚めた次の瞬間、夢じゃないことを確かめるみたいに、ぽわぽわの寝ぐせの頭で送ってしまった。

 ららぽるん!

 真紀からのメッセージのときだけ鳴るようにした、大すきな恋の歌のイントロが流れた。


「きゃ──♡」

 わくわくの頬で、画面を開く。


『……朝から、はずかしい』

 真紀ちゃん、かわいー♡


『照れ屋さん♡♡♡』

『うざ』言われてしまいそうなのに、舞いあがった頭じゃ、気づけない。




真紀に逢った日から、ずっと、真紀のことばかりを考えて。

真紀で頭も心も、いっぱいになってしまう。

ぽわぽわした頭と心に『恋』が降る。



 今までずっと苦痛で仕方なかった、早起きの満員電車が、至福になった。


 最愛の真紀に、堂々と抱きついていい。

 密着していい。

 ほっそりした身体を抱きしめても、広い胸に顔をうずめても、誰にも何にも言われない……!


「真紀ちゃん、めちゃくちゃいー匂いする……!」

 ぎゅむぎゅむしたら

「くるしい……! こら、尻をもむな……!」

 しかられた。

 おかしい。
 彼氏なのに!



『今日も真紀ちゃん、さいっこーにかっこよかった!』

 学校についたら、すぐにメッセージを送る。
 マナーモードにしてあるから、真紀の着信音は鳴らない。

 そのかわり、てのひらから響く鼓動みたいに、バイブがふるえる。


『愛希も可愛かった。尻をもむのは止めろ』

 しかられた。

 おかしい。
 彼氏なのに!


 ちょっとふくれる頬まで、熱くて。

 どきどきが、あなたに向かって、駆けてゆく。






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