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ちゅうしていいのは
しおりを挟む『ぜったい治す』言いたいけれど、言えない。
だって、ほんとうの僕は、ちょこっとした、すり傷を治すのが精一杯なんだ。
セゥスやトトラのお腹や、きんにくひめや、多紀くんを、ちょこっと回復に導けたのは奇跡みたいなものだ。
──それでも、奇跡を起こしたい。
セゥスとのーすちゃんの、たいせつな弟、くーちゃんのために。
くーちゃんの熱い手をにぎる僕に、くーちゃんの大きな藍の瞳が、泣きだした。
「もっちもっちだぁあ……!」
僕に抱きついて、わんわん泣くくーちゃんを抱きとめる。
くーちゃんの身体が熱い。
どこが、苦しいんだろう。
僕はくーちゃんの身体を観察する。
真っ暗なもやが、どこかに見えないか、ていねいに。
セゥスのお腹と、トトラのお腹、多紀くんの胸には、真っ暗なもやが見えた。
きんにくひめは、身体全体が薄いもやに覆われてる感じで、どこがよくないのか、わからなかった。
症状として強く表れるものは真っ暗なもやが濃く表れて、あまり症状がないものは分からないのかな?
僕の魔力が、ちょこっとしかないからかも。
これから頑張ってゆけば、もっと分かるようになれるかも。
今の僕だと、くーちゃんの身体のよくないところが、分からないみたいだ。
「くーちゃん、僕の魔力をくーちゃんの身体のなかに流して、どこがよくないのか見てもいいかな?」
やさしく聞いたら、くーちゃんの大きな瞳が、さまよった。
「痛くしないように気をつけるよ。僕の魔力は、とってもちっちゃくて細いから、きっと平気だよ」
ちいさな手を両の手で包みこんで、微笑んだ。
「くー、恐いかもしれないけど、くーを治すためなんだ。ゆーりが遠いところから来てくれた。がんばって、やってみよう」
のーすちゃんのごつごつの手が、くーちゃんの手をにぎる。
大きな瞳が揺れて、うつむいたクゥスが、うなずいた。
「……う、うん……もっちもっちが、してくれるの……?」
「そうだよ。心配しないで。横になって、楽にしてくれてたらいいからね。
お手々を、にぎらせてね」
やさしくくーちゃんの、ふわふわの髪をなでたら、カイとセゥスを振りかえる。
「魔力補給をお願いします!」
「かしこまりました」
「がんばって、ユィリ」
僕の首に口づけて、魔力を注いでくれるカイとセゥスに、真っ赤なくーちゃんが跳びあがる。
「な、なななな……! ぼ、ぼくの、もっちもっちに、なにしてるの──!」
真っ赤な頬で、カイとセゥスを僕から押しのけようと、ちっちゃな手を伸ばすクゥスを、ノゥスの手が止める。
「魔力補給だ。いちばん効率がいい。ゆーりは魔力が少なくて、がんばってくれたらすぐ魔力枯渇になって倒れちゃうんだ。
くーの身体のなかを調べるには、たくさん魔力がいる。だから仕方なく──」
「し、しらべなくて、いいもん! もっちもっちに、ちゅうして、いいのは、ぼくだけ、だもん──!」
ぎゅうう
熱い身体で抱きつくくーちゃんを、やさしく抱きしめてから、やさしく離す。
「くーちゃんの身体の、どこがよくないのか、ぱっと見た感じじゃ分からないから、身体のなかを調べなくちゃいけないんだ。
だから、ちょっとだけ、僕の魔力を流させて。ね?
痛くしないように、がんばるよ!」
僕の魔力の、とってもいいところは、ちっちゃすぎて、ふつうの人には入ってきたこともわからないことなんだよ!
────────────────
ずっと読んでくださって、ほんとうにありがとうございます!
皆さま、朝陽さま原作のアニメの放送がはじまりましたね!
ご覧になりましたかー!?
地上波が放送されない地域なので、アベマさまの配信で拝見しました。
めちゃくちゃ可愛かったです!
30分と言われると、お忙しい方は、うーん……と思ってしまったりするかと思うのですが、4分で、さくっと拝見できるので、ぜひぜひ!
オンラインで書いたお話が、本になって、漫画になって、アニメになるというのは、ほんとうに夢だと思うので、叶えてゆかれる方々を心から尊敬し、さらなるご成功をお祈りしています!
というわけで自力で(笑)つよつよ治癒士ユィリな動画をつくってみました!(笑)
もしよかったら、インスタとYoutubeにあがるので、プロフのwebサイトからどうぞです!→あがりました!
表紙や動画の『つよつよもっちもっち』は本人のイメージであり(笑)実際とは異なります(笑)
もっちもっちユィリも、読んでくださる、あなたさまに楽しんでいただけるお話になったらいいなと思って、がんばりますー!
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