悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

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ぴちぴち




 まだ幼いくーちゃんは、身体に魔力が入ってくるのが、こわいかもしれない。
 大人でも、あんまりそんなことしないから、聞いたことがないことをされるのは、びっくりしちゃうよね。

 だからこそ体内の魔力探査は、なるべく早く終わらせてあげないと。ちょっとでも行くところが分かれば、はやく終われるかも!

 恐がらせないように、くーちゃんの頭をやさしくなでなでして、真っ赤な顔をのぞきこむ。

「くーちゃん、お腹が痛いとか、息がくるしいとか、お手々が痛いとか、あるかな?」

 微笑んで聞く僕に、くーちゃんの大きな藍の瞳が、さまよう。

「……ぼく……あつい」

 ほっぺも、お手々も、あちあちだ。

「熱が出てるみたいだね。お手々も熱い。医士には診てもらったのかな?」

 聞いたら、のーすちゃんがうなずいた。

「どうして発熱してるのか、分からないって。
 ……どんどん、くーが衰弱して、寝台から起きあがれなくなって……」

 つらそうなのーすちゃんと、くーちゃんを見ているだけで、僕までつらい。

 他の医士に分からないということは、きんにくひめと一緒だ。

 身体のなかに、きっとなにか異常がある。


「やっぱり身体のなかを見なくちゃ。痛くないから、ね?」

 きゅうっと唇を噛んだくーちゃんが、うなずく。

「じゃあ横になって、楽にしてね」

 ふわふわの髪をなでなでした僕は、くーちゃんの隣に置いてある丸い木の椅子に座った。
 魔力補給に慣れてきてくれたカイとセゥスが、一瞬で僕の魔力を充填してくれたから、たぶんいける!

 しずかに目を閉じる。

 くーちゃんの手をにぎる。

 そうっと、そうっと、痛くないように、ほそくほそく、魔力の糸をのばした。




 くーちゃんの身体のなかは、光の魔力でいっぱいだ。

 くーちゃんの魔力を注がれたときは痛くて泣いちゃったけど、知りあってからちょっと経ったからかな? 僕の魔力とくーちゃんの魔力のなじみが、よくなっている気がする。

 くーちゃんの指先から、そうっと僕は緑の細い細い糸みたいにして魔力を滑りこませた。

 そうっと、そうっと。
 痛くしないように、気をつけて、ほそく、ほそく。

 初対面のきんにくひめの魔脈のなかを行ったときより、ずっとスムーズに魔力の糸がするする入ってゆく。

 拒絶されていない。

 思うだけで、うれしくて、にやけてしまいそうな頬を、あわてて引き締める。

 どんどん流れていってしまうから、異常がないか見落とさないように、ていねいに、でも素早く、くーちゃんの身体のなかに、僕の魔力の糸を巡らせてゆく。

 ……とってもきれいだね。
 とっても元気そうに見える、けど……

 きんにくひめの中を見たときより、ぴちぴちしてる! きんにくひめより、さらに若いからね!

 でも、きっとどこかに、異常がある、はず……

 指先から、腕、胸、お腹、足……通ってきたけど……ぴかぴかしてる……?

 こっちじゃない?

 てことは、この上、頭……??

 ぼ、僕の魔力を流しても、苦しくないかな……?

 でも何とか探索しないと、きっと、よくないところが分からない。


 もっと、もっと僕の魔力の糸を細く、細く、限界まで、細く──!

 緑にきらめくひかりの糸が、のびてゆく。


「苦しくなったら、すぐ教えてね」

 くーちゃんの手をにぎる指に、力をこめる。

「わかった、もっちもっち」

 熱い手で、僕の手をにぎった、くーちゃんが、うなずいてくれた。






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