僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ

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おぉお!

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 線の細い、風が吹いたら倒れそうな、たおやかなムニャと、ちんまり、ちっちゃい3歳児の僕、どう見ても、ぽこって、おかねを奪いやすそう!

 両替商から出てきて、おっきい袋を持ってるだなんて、致命的だ──!

「ど、どうしよぅ……!」

「確かに、危険ですな……」

 心配そうに、おじいちゃんも、うなずいた。


 おっきな袋を持たずに、どうやってお店を出る……?
 隠すところなんて、ない。

 服のなかに、いっぱい、つめこむ?

 突然、ふたりで、ぽっちゃりさんになる??

 あやしくない??

 歩くたびに、ちゃりちゃり、鳴っちゃう!

 ぽこんて、なぐられたら、じゃらららら! おかねがあふれて、皆が、ひろいに来ちゃう!


 に、任務は、無事にお金を持って、ちゃんとお家に帰ることでした……!

 ど、どうしよう……!


「ふにゃ! むーちゃん、どうしよぅ!」

 あわあわする僕に、ムニャが微笑む。

「こういうのは、僕、得意なんだ」

 ムニャの夜空の瞳が、輝いた。

 真っ暗な……いや、暗いのに、ほのかに、まぶしいような……あぁ、そうだ、真っ暗な夜空に星のひかりが瞬くような、不思議な光があふれてく。

 ムニャの髪が、星のひかりを宿したように、きらめきながら、舞いあがる。

 両替商の大きな窓から射しこむ冬の陽を受けて、できていたムニャの影が、大きな袋をのみこんだ。


「………………ほへ?」

 くるりと、あたりを見回した。

 おっきな袋が、どこにもない。
 ちゃりちゃり、音もしない。

 きょとんとする僕に、ムニャは照れくさそうに微笑んだ。

「ないしょね」

 こくこくうなずく僕の向こうで、真っ青になったおじいちゃんが、声をあげる。

「そ、その力は……!」

 ムニャが唇のうえに人さし指をあてる。

「害はありません。心配なさらず」

 ふるえたおじいちゃんが、おののいたように、うなずいた。

「わ、わかりました……し、しかし、そのお力は、人目にふれぬほうが、よろしいかと……」

 心配そうに白い眉をさげるおじいちゃんに、あわてたようにムニャが目を伏せる。
 うつむいたムニャの髪が、光を失くしたように、しずかに流れた。

「そ、そうですね、ごめんなさい。びっくりさせました」

「い、いえ! や、やはり、あなたさまは……」

 もごもごつぶやいた、おじいちゃんは、胸に手をあてた。
 ゆっくり、ひざを折る。

 胸に手をあてるのは、心からの気もちを、ひざを折るのは敬意を表す、ゼフィロア大陸の諸国で共通の仕草だ。

 えらい人が来たときは、胸に手をあてて、ひざを折るんだよ。

 僕も、できるよ!
 えへん!

 その敬礼を受けているのは、ムニャだ。

「むーちゃん、えらいひと?」

 首をかしげた僕が、胸に手をあてて、ひざを折ろうとするのを、ムニャの手が止めた。

「やめて。
 ぽては僕に、そんなこと、しなくていい。
 ぜったい、しないで」

 瞬いた僕は、つめたい、おこの気配に、びくりとふるえる。

 いつも、しかられたときは、こぶしが、足が、飛んできた。
 おそう痛みに身構えそうになった僕は、ムニャは決してそんなことをしないと、あわてて首をふる。

「わ、わかた」

 うなずく僕の頭を、ムニャの大きな手が、なでなでしてくれた。

 ……おこ、おしまい?

「おじいさんも、なさらないでください」

「わ、わかりました! これは、とんだ失礼を」

 ムニャのしずかな瞳に、ぶんぶんうなずいて、さらに深くひざを折ろうとするおじいちゃんが、あわあわ止まる。

「わ、わたくしはモァフと申します。この町に住んでもう62年になります。たいていのことは分かります。何かお困りのことがございましたら、いつでもおっしゃってください」

「はい!」

 僕はさっそく、手をあげる。


「なにかな?」

 にこにこしてくれるモァフおじいちゃんに、たいせつな質問があるのです。






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