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16 閑話休題
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「あぁ、可愛い子たちがみんな出ていってしまいましたわ。寂しくなります」
最後の一人を見送って、清白の館には啓生の祖父母と使用人しか居なくなった。
はぁ、と淋しげにため息を吐く祖母の腰を、祖父ががっしりと抱きしめる。
「何を言う! これからは毎日私が居るではないか。ようやく息子に引き継ぎを終えて、毎日一緒に居られるというのに」
「あら、私は今まで通りでもよろしいのに」
「ひ、ひどい。そんなお前も素敵じゃ。あぁ、それにしても」
面倒くさいのぉ、と館の中に入って祖父が呟く。
そのまま、祖母をエスコートして館の中に入ると、そこでは残された使用人たちが残って集まっていた。
咲也は使用人すべてを雪藤だと思っていたが、彼らは雪藤の分家に過ぎない。
雪藤と名乗れるのは、雪藤の一族分家の中でもアルファと一部のベータのみ。
それ以外は、名乗ることを許されていない。
そして、雪藤と名乗るのは四方の近くに侍る者たち、そして雪藤の当主のみとなる。
雪藤の中にオメガが生まれたりすると、分家へ養子に出される。
雪藤の与えられた使命を果たすために。
「清白、これで全部かの?」
「はい、愁生様」
清白、それはこの清白の館を管理する一族だ。
清白もまた、雪藤の分家ということになるが、雪藤本家と同じくらい清白たち館の管理者たちも特別な一族である。
「では清白、始めてくださる? 大掃除は、きちんとしなければね」
「はい。では、これより読み上げる者のみこの場に残り、呼ばれなかった者たちは仕事に戻りなさい」
よろしいですね? と清白はメガネを直す。
何が行われるのかとざわざわし始める使用人たち。
それを、冷たい目で祖父母が見ている。
「……――――――、以上。呼ばれなかったものだけ、仕事に戻りなさい」
そうして、ごく少数の人たちだけが仕事に戻るために去っていく。
「連星と啓生のためと思って人を増やしましたが、あの子達は外で番を見つけてしまいましたし、必要ないものが増えましたわ」
失敗しました、とため息を吐いた祖母に、そんなことはない、と祖父がぎゅっとその体を抱きしめた。
「私が許可を出したのだ、私の失敗だ」
何も悪いことは無い、と祖父は言う。
そんな二人を尻目に、清白はざわつく使用人たちを見て告げた。
「この場に残った者は数日中に荷物を纏めて退去願います」
えっ! どうして! と声が大きくなる。
そのことに清白は眉を潜めた。
「言われなければ分かりませんか? 仕事が出来ない方、覚えようとしない方、そして、あろうことか主人の陰口を叩き、夢見がちにも主人に選ばれようとする方。すべて、四方の方にお仕えするに足りません」
「しかし! 我々は、先代からずっと」
「先代はよく働いてくれました。しかし、自分が先代と同じような仕事ができているのですか?」
そうして見つめてくる清白に彼らは何も言い返せない。自分が、相応の仕事をしているとは思えないからだ。
時代が変われば、柔軟に自分も変わらなければいけない。けれど、それができていただろうか?
「新しい屋敷から声が掛かれば、そちらで働けるでしょうが……。まぁ、雪藤に残れればの話ですが」
「な、なぜ」
「四方に仕える雪藤が、雪藤の分家が、主人に害を成すと判断されるとどうなりますか?」
どんどん顔色が悪くなっていく彼らに、はぁ、とため息を吐いた清白はちらりと祖父母を見た。
「うむ。今までご苦労であったな。私達は雪藤に関与することはない。今後のことは雪藤に任せておる。そなたらの今後を祈っておこう」
「旦那様っ」
「私達の都合で希望を持たせてしまって悪いとは思っている。だが、増長したのはそなたらであろう? 私らはただ、後世の子どもたちに不要なものを残さないようにしないといけないのでな」
不要なもの、と言われて更に彼らの顔が青く染まる。
「大掃除はきちんとしなければ、ね?」
祖母は、本当にいい笑顔で笑っていた。
★☆★☆★☆
咲也がお風呂に入っている時、座っている啓生の眼の前で風都が学校で有ったことを啓生に報告している。
「その子……伊丹の子だっけ? どうしたものかな」
「咲也様は気にしていないみたいですが」
むしろ可愛いと言っていたし、本当に気にしていないんだろう。
咲也が気にしていないなら、こちらから手を出しても咲也に嫌な顔をされるだけ。
でも、番としては自分のオメガに手を出されて黙っているのも納得できない。
「そうなんだよね。むしろ、友達が要らないって言うし……学校楽しいかな?」
「学ぶために学校を選んだようなので、楽しいかどうかは二の次のように思いますが」
「そう、そこね。咲ちゃん、変なところで淡白だよね」
元ベータということで、咲也にはオメガという自覚が薄い。
オメガの自覚を促すような事もしていないから当然と言えば当然だけれども。
「とりあえず、伊丹についてはこちらで調べてみますね」
「お願いね、そーじろー」
宗治郎が調べると言えばきっちり調べてくるだろう。
それにしても、と息を吐く。
啓生は咲也を大切にしたいが、それがとても大変だと笑うのだった。
食事を終えて、お風呂に入ってから、戻ると咲也の様子がどこか変だ。
すぐに就寝の支度をして一緒にベッドに入りたかったけど、二人に話を聞いてみるしかなさそうだ。
「それで?」
啓生が二人を睨むと、宗治郎が視線を反らして風都は呆れたように宗治郎を見た。
一目瞭然とはこの事か。
「宗治郎、咲ちゃんに何をしたの?」
「いえ、私は……」
風都が呆れたようにため息を吐いて、そのため息に宗治郎はビクリと体を震わせた。
「宗治郎が咲也様に、咲也様は本当に啓生様のための番なのだと申し上げました」
「……なるほど? どうしてそんな話になったのか、いちいち聞かないけど……咲ちゃんに余計な事、言わないように。次はないよ」
「かしこまり、ました……申し訳、ございません」
「わかってるなら良いよ」
宗治郎は、たまに一言余計な言葉を言う。それが、啓生に対してなら啓生は受け流すのだが、咲也に対しては別だ。
啓生の本気を宗治郎も風都も感じ取ったのか、息を呑んでいた。
さて、と啓生は二人を残して立ち上がった。あんまり待たせると拗ねちゃうから、と思って寝室に戻る。
「あらま」
咲也は啓生の枕を抱きしめて眠ってしまっていた。
「ねぇ、咲ちゃん。僕の枕返して?」
「んぅ……」
「あら、寝ちゃった」
もう、と咲也の枕をそっと引き抜いた。
眉間にシワを寄せて、不愉快そうにしている咲也を抱きしめれば、途端にそれが解けて笑みを浮かべた。起きてるのかと思えば、眠ってしまっているようで本当に無意識らしい。
「んふふ、僕の咲ちゃんは可愛いなぁ……おやすみ、咲ちゃん」
額にキスをして目を閉じた。
最後の一人を見送って、清白の館には啓生の祖父母と使用人しか居なくなった。
はぁ、と淋しげにため息を吐く祖母の腰を、祖父ががっしりと抱きしめる。
「何を言う! これからは毎日私が居るではないか。ようやく息子に引き継ぎを終えて、毎日一緒に居られるというのに」
「あら、私は今まで通りでもよろしいのに」
「ひ、ひどい。そんなお前も素敵じゃ。あぁ、それにしても」
面倒くさいのぉ、と館の中に入って祖父が呟く。
そのまま、祖母をエスコートして館の中に入ると、そこでは残された使用人たちが残って集まっていた。
咲也は使用人すべてを雪藤だと思っていたが、彼らは雪藤の分家に過ぎない。
雪藤と名乗れるのは、雪藤の一族分家の中でもアルファと一部のベータのみ。
それ以外は、名乗ることを許されていない。
そして、雪藤と名乗るのは四方の近くに侍る者たち、そして雪藤の当主のみとなる。
雪藤の中にオメガが生まれたりすると、分家へ養子に出される。
雪藤の与えられた使命を果たすために。
「清白、これで全部かの?」
「はい、愁生様」
清白、それはこの清白の館を管理する一族だ。
清白もまた、雪藤の分家ということになるが、雪藤本家と同じくらい清白たち館の管理者たちも特別な一族である。
「では清白、始めてくださる? 大掃除は、きちんとしなければね」
「はい。では、これより読み上げる者のみこの場に残り、呼ばれなかった者たちは仕事に戻りなさい」
よろしいですね? と清白はメガネを直す。
何が行われるのかとざわざわし始める使用人たち。
それを、冷たい目で祖父母が見ている。
「……――――――、以上。呼ばれなかったものだけ、仕事に戻りなさい」
そうして、ごく少数の人たちだけが仕事に戻るために去っていく。
「連星と啓生のためと思って人を増やしましたが、あの子達は外で番を見つけてしまいましたし、必要ないものが増えましたわ」
失敗しました、とため息を吐いた祖母に、そんなことはない、と祖父がぎゅっとその体を抱きしめた。
「私が許可を出したのだ、私の失敗だ」
何も悪いことは無い、と祖父は言う。
そんな二人を尻目に、清白はざわつく使用人たちを見て告げた。
「この場に残った者は数日中に荷物を纏めて退去願います」
えっ! どうして! と声が大きくなる。
そのことに清白は眉を潜めた。
「言われなければ分かりませんか? 仕事が出来ない方、覚えようとしない方、そして、あろうことか主人の陰口を叩き、夢見がちにも主人に選ばれようとする方。すべて、四方の方にお仕えするに足りません」
「しかし! 我々は、先代からずっと」
「先代はよく働いてくれました。しかし、自分が先代と同じような仕事ができているのですか?」
そうして見つめてくる清白に彼らは何も言い返せない。自分が、相応の仕事をしているとは思えないからだ。
時代が変われば、柔軟に自分も変わらなければいけない。けれど、それができていただろうか?
「新しい屋敷から声が掛かれば、そちらで働けるでしょうが……。まぁ、雪藤に残れればの話ですが」
「な、なぜ」
「四方に仕える雪藤が、雪藤の分家が、主人に害を成すと判断されるとどうなりますか?」
どんどん顔色が悪くなっていく彼らに、はぁ、とため息を吐いた清白はちらりと祖父母を見た。
「うむ。今までご苦労であったな。私達は雪藤に関与することはない。今後のことは雪藤に任せておる。そなたらの今後を祈っておこう」
「旦那様っ」
「私達の都合で希望を持たせてしまって悪いとは思っている。だが、増長したのはそなたらであろう? 私らはただ、後世の子どもたちに不要なものを残さないようにしないといけないのでな」
不要なもの、と言われて更に彼らの顔が青く染まる。
「大掃除はきちんとしなければ、ね?」
祖母は、本当にいい笑顔で笑っていた。
★☆★☆★☆
咲也がお風呂に入っている時、座っている啓生の眼の前で風都が学校で有ったことを啓生に報告している。
「その子……伊丹の子だっけ? どうしたものかな」
「咲也様は気にしていないみたいですが」
むしろ可愛いと言っていたし、本当に気にしていないんだろう。
咲也が気にしていないなら、こちらから手を出しても咲也に嫌な顔をされるだけ。
でも、番としては自分のオメガに手を出されて黙っているのも納得できない。
「そうなんだよね。むしろ、友達が要らないって言うし……学校楽しいかな?」
「学ぶために学校を選んだようなので、楽しいかどうかは二の次のように思いますが」
「そう、そこね。咲ちゃん、変なところで淡白だよね」
元ベータということで、咲也にはオメガという自覚が薄い。
オメガの自覚を促すような事もしていないから当然と言えば当然だけれども。
「とりあえず、伊丹についてはこちらで調べてみますね」
「お願いね、そーじろー」
宗治郎が調べると言えばきっちり調べてくるだろう。
それにしても、と息を吐く。
啓生は咲也を大切にしたいが、それがとても大変だと笑うのだった。
食事を終えて、お風呂に入ってから、戻ると咲也の様子がどこか変だ。
すぐに就寝の支度をして一緒にベッドに入りたかったけど、二人に話を聞いてみるしかなさそうだ。
「それで?」
啓生が二人を睨むと、宗治郎が視線を反らして風都は呆れたように宗治郎を見た。
一目瞭然とはこの事か。
「宗治郎、咲ちゃんに何をしたの?」
「いえ、私は……」
風都が呆れたようにため息を吐いて、そのため息に宗治郎はビクリと体を震わせた。
「宗治郎が咲也様に、咲也様は本当に啓生様のための番なのだと申し上げました」
「……なるほど? どうしてそんな話になったのか、いちいち聞かないけど……咲ちゃんに余計な事、言わないように。次はないよ」
「かしこまり、ました……申し訳、ございません」
「わかってるなら良いよ」
宗治郎は、たまに一言余計な言葉を言う。それが、啓生に対してなら啓生は受け流すのだが、咲也に対しては別だ。
啓生の本気を宗治郎も風都も感じ取ったのか、息を呑んでいた。
さて、と啓生は二人を残して立ち上がった。あんまり待たせると拗ねちゃうから、と思って寝室に戻る。
「あらま」
咲也は啓生の枕を抱きしめて眠ってしまっていた。
「ねぇ、咲ちゃん。僕の枕返して?」
「んぅ……」
「あら、寝ちゃった」
もう、と咲也の枕をそっと引き抜いた。
眉間にシワを寄せて、不愉快そうにしている咲也を抱きしめれば、途端にそれが解けて笑みを浮かべた。起きてるのかと思えば、眠ってしまっているようで本当に無意識らしい。
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