87 / 125
第15章 4月の一斉試験
87 試験終了
しおりを挟む
4月2日。
今回の試験も社会見学実習と同様に、教室が指定された。
ただし今回は、どうやって教室を指定したかが、『4月の一斉到達度試験における教室指定のお知らせ』に、はっきり記載されている。
『教室の指定は、4月1日時点での全科目の学習済み単位時間数が上位40人までの者を第一教室、それ以下を第二教室としました』
ただし席指定は無く、正確な順位も不明。
わかるのは「学習済み単位時間数が上位40人か否か」だけだ。
そして教室に入って偵察魔法で確認したところでは、3月に一緒に女子会をした4人のうち、第一教室にいたのはカタリナとフイン。
しかしニナとヒナリは第二教室だった。
ニナはともかく、ヒナリは大丈夫だろうか。
なおアキト、そしてケイトは第一教室だ。
アキトは当然という感じだし、ケイトも予想通りかな。
そんな思いを抱きつつ、午前の試験に突入する。
◇◇◇
昼休憩のとき、ニナやヒナリと少しだけ話をした。
「思ったより皆、学習時間を増やしていたようです。これからは2日に1単位時間くらい増やした方がいいかもしれません」
「今回、本当にまずいかもしれません。前もぎりぎりだと警告がありました。一応試験対策はしたのですけれど」
知識魔法による翻訳を使っているので、口調はいつもと変わらない。
しかしヒナリはかなり危機感がある模様。
表情だけでもそれがわかる。。
午後の試験は自然科学と魔法の2科目。
課程の希望は今回は事前に提出済みなので、説明や回答の時間はなし。
だから魔力測定を終えた14時30分に、エノフ指導員からこんな説明が入った。
「この後は試験結果と課程選択決定の発表だ。15時40分にこの教室に集合してくれ。では解散」
再集合まで1時間以上ある。
今日は試験のせいで学習時間がとれないから、ここで少しでも進めておこう。
寮に戻り、少し疲れを癒すためにパンプディングを食べつつ、言語Ⅲの4単位時間目をやって。
その後、ぎりぎりより少しだけ早めに第一教室へ。
教室は思ったより静かだった。
もっと試験結果についてあれこれ話すかと思ったが、そうでもない。
授業等で集まる機会が少ないから、生徒同士が知り合いになりにくいため、会話も増えにくいのかもしれない。
タブレットを操作するふりをしながら、偵察魔法で周囲を探る。
アキトはテニフと、あと見知らぬ男子1人と話している。
フインはケイトと、やはり私の知らない女子と会話中。
カタリナの姿はまだ見えない。
私以上にぎりぎりで来るつもりなのだろう。
なんて思ったところで教室に入ってきた。
カタリナが来たなら、そろそろ指導員も来るはず。
廊下を確認すると、予想通りエノフ指導員とナラハ指導員が歩いてきている。
偵察魔法を解除し、タブレットを初期メニュー画面に戻して机上に置いて待つ。
エノフ指導員が入室した。
「それではタブレットを出してくれ。結果発表の時間だ」
前回と同様、タブレットの表示が変わって、今回の結果が表示される。
『第2回課程選択・精査結果通知
長期課程(Ⅰ)継続決定。施設、寮室の変更無し……』
これは予想通りだし、もともと落ちるとも思っていない。
それでも少しばかり安心しつつ、次の項目へ目を移す。
試験結果の欄には細かな講評もあったけれど、まずは点数だけ確認。
言語95点、魔法・数学・地理歴史は100点、自然科学95点。
やはりケアレスミスが2問あるけれど、前回より10点上がっていた。
1日あたりの学習進度は平均7.6時間。前回と同じだ。
特別科目が少なかった分、もっと多いかと思ったけれど、考えると特別科目も単位計算に含まれている。
そして私の1日のスケジュールは、運動が毎日加わった以外は大きく変わっていない。
なら、この結果も妥当だろう。
順位という欄はないので、この中で私がどれくらいなのか、もっと上がいるのか、いるなら何人かはわからない。
でもまあ、どう考えても悪い方ではないはずだ。
施設卒業後、ヒラリア共和国の特別A基準コースに進めるかはわからないけれど。
エノフ指導員の声が聞こえる。
「後の要領は前回と同じだ。15時50分になったら第一施設から迎えが来る。今回の移動者はこの教室から2名、第二教室から10名、素行不良で自室にて試験を受けている者1名の、合わせて13名だ。詳しく知りたい者は知識魔法で確認してくれ。ただし個人情報は表示されない。知り合いなら直接本人に聞くか、偵察魔法で廊下に出たところを見届けてくれ。
それでは迎えが来るまで質問時間だ。声に出しての私語は禁止だが、仲間内で伝達魔法を使うのは自由だ」
特に質問は無いようだ。
そして伝達魔法なら、話すのも自由だと。
音ではなく、気配としか言いようのない何かのざわめきが広がる。
『ケイトだけどさ、チアキ。今回のテスト、どうだった?』
さっそくケイトから伝達魔法が飛んできた。
『今回は大丈夫、課程も変更なし』
『そっちは心配してないっしょ。アタシが聞いてんのはさ、何問間違えたかってこと。ちなみにカタリナに聞いたら「2問、修行不足」って返事だったわ。アタシは5問も間違えたし、マジで修行どころじゃないんだけど』
うわっ!
カタリナは予想の範囲内だとしても、ケイトもそんな成績とは。
やっぱり洒落にならない。
今回の試験も社会見学実習と同様に、教室が指定された。
ただし今回は、どうやって教室を指定したかが、『4月の一斉到達度試験における教室指定のお知らせ』に、はっきり記載されている。
『教室の指定は、4月1日時点での全科目の学習済み単位時間数が上位40人までの者を第一教室、それ以下を第二教室としました』
ただし席指定は無く、正確な順位も不明。
わかるのは「学習済み単位時間数が上位40人か否か」だけだ。
そして教室に入って偵察魔法で確認したところでは、3月に一緒に女子会をした4人のうち、第一教室にいたのはカタリナとフイン。
しかしニナとヒナリは第二教室だった。
ニナはともかく、ヒナリは大丈夫だろうか。
なおアキト、そしてケイトは第一教室だ。
アキトは当然という感じだし、ケイトも予想通りかな。
そんな思いを抱きつつ、午前の試験に突入する。
◇◇◇
昼休憩のとき、ニナやヒナリと少しだけ話をした。
「思ったより皆、学習時間を増やしていたようです。これからは2日に1単位時間くらい増やした方がいいかもしれません」
「今回、本当にまずいかもしれません。前もぎりぎりだと警告がありました。一応試験対策はしたのですけれど」
知識魔法による翻訳を使っているので、口調はいつもと変わらない。
しかしヒナリはかなり危機感がある模様。
表情だけでもそれがわかる。。
午後の試験は自然科学と魔法の2科目。
課程の希望は今回は事前に提出済みなので、説明や回答の時間はなし。
だから魔力測定を終えた14時30分に、エノフ指導員からこんな説明が入った。
「この後は試験結果と課程選択決定の発表だ。15時40分にこの教室に集合してくれ。では解散」
再集合まで1時間以上ある。
今日は試験のせいで学習時間がとれないから、ここで少しでも進めておこう。
寮に戻り、少し疲れを癒すためにパンプディングを食べつつ、言語Ⅲの4単位時間目をやって。
その後、ぎりぎりより少しだけ早めに第一教室へ。
教室は思ったより静かだった。
もっと試験結果についてあれこれ話すかと思ったが、そうでもない。
授業等で集まる機会が少ないから、生徒同士が知り合いになりにくいため、会話も増えにくいのかもしれない。
タブレットを操作するふりをしながら、偵察魔法で周囲を探る。
アキトはテニフと、あと見知らぬ男子1人と話している。
フインはケイトと、やはり私の知らない女子と会話中。
カタリナの姿はまだ見えない。
私以上にぎりぎりで来るつもりなのだろう。
なんて思ったところで教室に入ってきた。
カタリナが来たなら、そろそろ指導員も来るはず。
廊下を確認すると、予想通りエノフ指導員とナラハ指導員が歩いてきている。
偵察魔法を解除し、タブレットを初期メニュー画面に戻して机上に置いて待つ。
エノフ指導員が入室した。
「それではタブレットを出してくれ。結果発表の時間だ」
前回と同様、タブレットの表示が変わって、今回の結果が表示される。
『第2回課程選択・精査結果通知
長期課程(Ⅰ)継続決定。施設、寮室の変更無し……』
これは予想通りだし、もともと落ちるとも思っていない。
それでも少しばかり安心しつつ、次の項目へ目を移す。
試験結果の欄には細かな講評もあったけれど、まずは点数だけ確認。
言語95点、魔法・数学・地理歴史は100点、自然科学95点。
やはりケアレスミスが2問あるけれど、前回より10点上がっていた。
1日あたりの学習進度は平均7.6時間。前回と同じだ。
特別科目が少なかった分、もっと多いかと思ったけれど、考えると特別科目も単位計算に含まれている。
そして私の1日のスケジュールは、運動が毎日加わった以外は大きく変わっていない。
なら、この結果も妥当だろう。
順位という欄はないので、この中で私がどれくらいなのか、もっと上がいるのか、いるなら何人かはわからない。
でもまあ、どう考えても悪い方ではないはずだ。
施設卒業後、ヒラリア共和国の特別A基準コースに進めるかはわからないけれど。
エノフ指導員の声が聞こえる。
「後の要領は前回と同じだ。15時50分になったら第一施設から迎えが来る。今回の移動者はこの教室から2名、第二教室から10名、素行不良で自室にて試験を受けている者1名の、合わせて13名だ。詳しく知りたい者は知識魔法で確認してくれ。ただし個人情報は表示されない。知り合いなら直接本人に聞くか、偵察魔法で廊下に出たところを見届けてくれ。
それでは迎えが来るまで質問時間だ。声に出しての私語は禁止だが、仲間内で伝達魔法を使うのは自由だ」
特に質問は無いようだ。
そして伝達魔法なら、話すのも自由だと。
音ではなく、気配としか言いようのない何かのざわめきが広がる。
『ケイトだけどさ、チアキ。今回のテスト、どうだった?』
さっそくケイトから伝達魔法が飛んできた。
『今回は大丈夫、課程も変更なし』
『そっちは心配してないっしょ。アタシが聞いてんのはさ、何問間違えたかってこと。ちなみにカタリナに聞いたら「2問、修行不足」って返事だったわ。アタシは5問も間違えたし、マジで修行どころじゃないんだけど』
うわっ!
カタリナは予想の範囲内だとしても、ケイトもそんな成績とは。
やっぱり洒落にならない。
86
あなたにおすすめの小説
力は弱くて魔法も使えないけど強化なら出来る。~俺を散々こき使ってきたパーティの人間に復讐しながら美少女ハーレムを作って魔王をぶっ倒します
枯井戸
ファンタジー
──大勇者時代。
誰も彼もが勇者になり、打倒魔王を掲げ、一攫千金を夢見る時代。
そんな時代に、〝真の勇者の息子〟として生を授かった男がいた。
名はユウト。
人々は勇者の血筋に生まれたユウトに、類稀な魔力の才をもって生まれたユウトに、救世を誓願した。ユウトもまた、これを果たさんと、自身も勇者になる事を信じてやまなかった。
そんなある日、ユウトの元へ、ひとりの中性的な顔立ちで、笑顔が爽やかな好青年が訪ねてきた。
「俺のパーティに入って、世界を救う勇者になってくれないか?」
そう言った男の名は〝ユウキ〟
この大勇者時代にすい星のごとく現れた、〝その剣技に比肩する者なし〟と称されるほどの凄腕の冒険者である。
「そんな男を味方につけられるなんて、なんて心強いんだ」と、ユウトはこれを快諾。
しかし、いままで大した戦闘経験を積んでこなかったユウトはどう戦ってよいかわからず、ユウキに助言を求めた。
「戦い方? ……そうだな。なら、エンチャンターになってくれ。よし、それがいい。ユウトおまえはエンチャンターになるべきだ」
ユウトは、多少はその意見に疑問を抱きつつも、ユウキに勧められるがまま、ただひたすらに付与魔法(エンチャント)を勉強し、やがて勇者の血筋だという事も幸いして、史上最強のエンチャンターと呼ばれるまでに成長した。
ところが、そればかりに注力した結果、他がおろそかになってしまい、ユウトは『剣もダメ』『付与魔法以外の魔法もダメ』『体力もない』という三重苦を背負ってしまった。それでもエンチャンターを続けたのは、ユウキの「勇者になってくれ」という言葉が心の奥底にあったから。
──だが、これこそがユウキの〝真の〟狙いだったのだ。
この物語は主人公であるユウトが、持ち前の要領の良さと、唯一の武器である付与魔法を駆使して、愉快な仲間たちを強化しながら成り上がる、サクセスストーリーである。
【完結】能力が無くても聖女ですか?
天冨 七緒
恋愛
孤児院で育ったケイトリーン。
十二歳になった時特殊な能力が開花し、体調を崩していた王妃を治療する事に…
無事に王妃を完治させ、聖女と呼ばれるようになっていたが王妃の治癒と引き換えに能力を使い果たしてしまった。能力を失ったにも関わらず国王はケイトリーンを王子の婚約者に決定した。
周囲は国王の命令だと我慢する日々。
だが国王が崩御したことで、王子は周囲の「能力の無くなった聖女との婚約を今すぐにでも解消すべき」と押され婚約を解消に…
行く宛もないが婚約解消されたのでケイトリーンは王宮を去る事に…門を抜け歩いて城を後にすると突然足元に魔方陣が現れ光に包まれる…
「おぉー聖女様ぁ」
眩い光が落ち着くと歓声と共に周囲に沢山の人に迎えられていた。ケイトリーンは見知らぬ国の聖女として召喚されてしまっていた…
タイトル変更しました
召喚されましたが聖女様ではありません…私は聖女様の世話係です
追放された公爵令息、神竜と共に辺境スローライフを満喫する〜無敵領主のまったり改革記〜
たまごころ
ファンタジー
無実の罪で辺境に追放された公爵令息アレン。
だが、その地では神竜アルディネアが眠っていた。
契約によって最強の力を得た彼は、戦いよりも「穏やかな暮らし」を選ぶ。
農地改革、温泉開発、魔導具づくり──次々と繁栄する辺境領。
そして、かつて彼を貶めた貴族たちが、その繁栄にひれ伏す時が来る。
戦わずとも勝つ、まったりざまぁ無双ファンタジー!
転生魔法伝記〜魔法を極めたいと思いますが、それを邪魔する者は排除しておきます〜
凛 伊緒
ファンタジー
不運な事故により、23歳で亡くなってしまった会社員の八笠 美明。
目覚めると見知らぬ人達が美明を取り囲んでいて…
(まさか……転生…?!)
魔法や剣が存在する異世界へと転生してしまっていた美明。
魔法が使える事にわくわくしながらも、王女としての義務もあり──
王女として生まれ変わった美明―リアラ・フィールアが、前世の知識を活かして活躍する『転生ファンタジー』──
公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。
【完結】平民聖女の愛と夢
ここ
ファンタジー
ソフィは小さな村で暮らしていた。特技は治癒魔法。ところが、村人のマークの命を救えなかったことにより、村全体から、無視されるようになった。食料もない、お金もない、ソフィは仕方なく旅立った。冒険の旅に。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる